2011年7月に発表されたVMware vSphereのメジャー・バージョンアップ、VMware vSphere 5。ITインフラのクラウド化をターゲットとしたさまざまな新機能を備えている。本連載では、サーバ仮想化ソフトウェアという範疇を超えて、企業の社内や事業者のクラウド基盤へ進化するVMware vSphere 5を、特徴的な機能に絞って紹介する
ヴイエムウェアは2011年7月にVMware vSphere 5を発表した。VMware vSphereはヴイエムウェアのフラッグシップ製品であり、約2年ぶりのメジャーリリースである。8月下旬に正式出荷が開始されているため、すでに最新版を利用中という読者もいることだろう。
本連載では、VMware vSphere 5の新機能に主にスポットを当てながら、これまでのリリースとの違いや効果的な利用方法などについて紹介していきたい。
VMware vSphere 5になっても、製品体系の考え方は基本的にこれまでと同様である。ハイパーバイザと呼ばれる、ハードウェア上で直接動作する仮想化レイヤであるVMware ESXiと、これらを管理するソフトウェアVMware vCenter Serverがその根幹となる。
ハイパーバイザに関しては、2007年より2種類のアーキテクチャの実装を並行して提供していた。ESXとESXiである。これがVMware vSphere 5ではESXiと呼ばれるアーキテクチャに一本化された (参考:もう1つのハイパーバイザ実装「VMware ESXi」)。
ESXには「サービスコンソール」と呼ばれるLinuxをベースに実装された管理用コンソール用OSが付帯していたが、ESXiではこれを削除している。このためディスクフットプリント(記憶媒体を占有するサイズ)が非常に小さくなった。またLinuxをベースとする汎用的なコンポーネントを削除したことで、セキュリティ的にも堅牢性が増している。これまでに提供されたESX用パッチは、サービスコンソールに収録されているLinuxベースのモジュールに対するセキュリティ修正がそのうちの多くを占めてきた。ESXiではサービスコンソールを削除したことで、攻撃の対象にされ難くなり、またパッチ適用の工数を低減することにも成功している。
ESXiアーキテクチャに一本化したことにより、新機能vSphere Auto Deployの実現にも成功している。vSphere Auto Deployとは、サーバのパワーオンごとにESXiをネットワーク経由で起動し自動構成する、新しいvSphereの構成方法である。詳細は別稿で解説予定である。
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