第6回 Windows 8をUSBメモリで持ち運ぶ、Windows To Go次世代 新Windows「Windows 8」プレビュー(2/2 ページ)

» 2012年03月29日 00時00分 公開
[打越浩幸デジタルアドバンテージ]
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NTFSパーティションの作成とアクティブ化

 install.wimイメージ・ファイルとimagex.exeツールの用意ができたら、次はUSBメモリに対してWindows 8 CPのファイルをコピー/展開する。このためには、Windows 7 OSに付属するdiskpart.exeコマンドを利用する。

 作業用のWindows 7システムにUSBメモリを接続して、正しく認識されることを確認する(タスク・バーにUSBメモリ接続されたデバイスの一覧が表示されるし、フォーマット済みのドライブならエクスプローラで確認できるだろう)。

 次に管理者権限のあるコマンド・プロンプトを開き、diskpartコマンドを起動する。ここで行うべき作業は、フォーマットするべきディスクの確認、ディスクの初期化、プライマリ・パーティションの作成、パーティションのアクティブ化、NTFSでのクィック・フォーマットである。

※2台目として接続した500GbytesのディスクにWindows To Goをインストールしてみる。作業はWindows 7上で行っている

D:\Work>diskpart…diskpartの起動

Microsoft DiskPart バージョン 6.1.7601
Copyright (C) 1999-2008 Microsoft Corporation.
コンピューター: UXPC251103

DISKPART> list disk…ディスクの確認

  ディスク      状態           サイズ   空き   ダイナ GPT
  ###                                          ミック
  ------------  -------------  -------  -------  ---  ---
  ディスク 0    オンライン           931 GB      0 B …Windows 7のディスク
  ディスク 1    オンライン           465 GB   465 GB …Windows To Goで使う500Gbytesのディスク。ここにインストールしてみる

DISKPART> select disk 1…ディスクの選択。番号を間違えないように

ディスク 1 が選択されました。

DISKPART> clean…ディスクの初期化。既存の内容はすべて消去されるので注意

DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。

DISKPART> create partition primary size=64000…プライマリ・パーティションの作成。ここでは64Gbytesだけ使用。size=〜を省略すると、全領域が1つのパーティションになる

DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。

DISKPART> list par…作成したパーティションの確認

  Partition ###  Type                Size     Offset
  -------------  ------------------  -------  -------
* Partition 1    プライマリ               62 GB  1024 KB …これが作成されたパーティション
DISKPART> active…パーティションのアクティブ化。GUIのディスクの管理ツールでは、このアクティブ化ができない

DiskPart は現在のパーティションをアクティブとしてマークしました。

DISKPART> format fs=ntfs quick label="WinToGO"…NTFSでクィック・フォーマット

  100% 完了しました

DiskPart は、ボリュームのフォーマットを完了しました。

DISKPART> assign…ドライブ文字を割り当てる

DiskPart はドライブ文字またはマウント ポイントを正常に割り当てました。

DISKPART> list vol…ボリュームの確認

  Volume ###  Ltr Label        Fs    Type        Size     Status     Info
  ----------  --- -----------  ----  ----------  -------  ---------  --------
  Volume 0    F                      DVD-ROM         0 B  メディアなし
  Volume 1    G                      DVD-ROM         0 B  メディアなし
  Volume 2        SYSTEM RESE  NTFS  Partition    100 MB  正常       システム
  Volume 3    C   WIN7NOTE     NTFS  Partition    292 GB  正常       ブート
  Volume 4    D   WORKVOL      NTFS  Partition    595 GB  正常
* Volume 5    E   WinToGO      NTFS  Partition     62 GB  正常 …作成したパーティション。ドライブ名に注意
DISKPART> ◆bgcolor=yellow◇exit…diskpartの終了
DiskPart を終了しています...
D:\Work>

Windows 8 CPのOSイメージの展開

 パーティションが用意できたら、次はimagex.exeコマンドを使って、Windows 8 CP版のOSイメージを展開する。

 imagexコマンドは、「imagex /apply <WIMファイル名> <イメージ番号> <イメージ・パス>」のように使う。<WIMファイル名>は、展開したいwimファイルのパス名、<イメージ番号>はWIMイメージの中に含まれているイメージの番号(1つのWIMファイルには、複数のエディションのイメージを格納できるので、その番号を指定する)、<イメージ・パス>は展開先のパスである。今回の例では32bit版のWindows 8 CP版のイメージを、E:\として用意したパーティション(実際のドライブ名は先のdiskpartコマンドの結果によって異なるので注意)に書き込んでみる。メディアにもよるが、ハードディスクなら10〜20分程度、USBフラッシュメモリなら数時間(書き込みが遅いため)というところである。

※imagexコマンドを使ってWindows 8 CP版のOSイメージを展開する

D:\Work>dir…WIMファイルとコマンドの確認
 ドライブ D のボリューム ラベルは WORKVOL です
 ボリューム シリアル番号は E0B5-F6A4 です

 D:\Work のディレクトリ

2012/03/26 16:24 <DIR>          .
2012/03/26 16:24 <DIR>          ..
2009/07/14 07:10        481,680 imagex.exe …imagexコマンド
2012/02/18 22:36  2,944,186,746 jpn-win8cp-x64-install.wim
2012/02/18 20:23  2,195,993,991 jpn-win8cp-x86-install.wim …これを展開してみる
        3 個のファイル       5,140,662,417 バイト
        2 個のディレクトリ  377,516,277,760 バイトの空き領域

D:\Work>imagex /apply jpn-win8cp-x86-install.wim 1 e:\…imagexで書き込む。64bit版でも同様
ImageX Tool for Windows
Copyright (C) Microsoft Corp. All rights reserved.
Version: 6.1.7600.16385 …Windows AIKに含まれているimagexのバージョン

[ 100% ] Applying progress …実行中はここに進行状態が表示される

Successfully applied image.

Total elapsed time: 12 min 50 sec …USB 2.0で接続した2.5インチのハードディスクでは、13分弱で終了した

D:\Work>dir e:…作成されたディスク内容の確認
 ドライブ E のボリューム ラベルは WinToGO です
 ボリューム シリアル番号は E44C-A591 です

 E:\ のディレクトリ

2012/02/18  17:20                24 autoexec.bat
2012/02/18  17:20                10 config.sys
2012/02/18  17:47    <DIR>          PerfLogs
2012/02/18  20:11    <DIR>          Program Files
2012/02/18  17:47    <DIR>          Users
2012/02/18  20:12    <DIR>          Windows
               2 個のファイル                  34 バイト
               4 個のディレクトリ  61,701,525,504 バイトの空き領域

 この例では、作成に要した時間は13分弱、作成されたディスクの使用量は5.5Gbytes程度であった。コマンドの実行中は予測終了時間などが表示されるので、遅いデバイスの場合は気長に待とう。

ブート情報の書き込み

 ファイルの展開が完了したら、次はこのUSBメモリにブート・プログラムを書き込み、起動できるようにする。現在はまだファイルが書き込まれただけの状態なので、ブートすることはできないからだ。

 ブート・プログラムを書き込むには、OS標準のbcdboot.exeというコマンドを利用する。これはWindows 7やWindows Server 2008 R2以降で用意されているコマンドである。それ以前のOSを使っている場合は、いったんWindows 8 CP版をインストールして、そこに含まれているbcdboot.exeコマンドを使うとよいだろう。BCDとはブート構成データ・ストアの略であり、Windows Vista/Windows Server 2008以降で導入されたブートのメカニズムである(以前のboot.iniに代わるもの)。詳細についてはTIPS「bcdeditでVista/Windows Server 2008のブートOSメニューを変更する」を参照していただきたい。

 bcdbootコマンドは、「bcdboot <Windowsソース> /s <ブート・ドライブ>」のように使う。<Windowsソース>には、先ほど展開したWindowsイメージのフォルダ(「?:\Windows」フォルダを指定する)、<ブート・ドライブ>には、ブートするべきドライブ名を指定する。今回の例ではE:\Windowsフォルダに展開しているので、「bcdboot e:\windows /s e:」とする。

 なおWindows 8のbcdbootコマンドにはさらにブート方式を指定するオプションが追加されている(詳細はWindows 8の「bcdboot /?」で確認のこと)。「/f BIOS」なら従来と互換(Windows 7のbcdbootに相当)、「/f UEFI」ならUEFIファームウェア経由でのブート、「/f all」なら通常ブートとUEFIブートの両用、となる。今回はMBR形式のディスク上にNTFSのパーティションを1つ作っただけなのでUEFIブートする必要はない(これは先のimagexコマンドで64bit版のWindows 8 CPのイメージを書き込んだ場合も同じ)。Windows 7上のbcdbootコマンドで十分だ(UEFIについては関連記事参照)。

※ブート情報を書き込む

D:\Work>bcdboot e:\Windows /s e:…bcdbootの実行。「e:」は環境に合わせて変えること ブート ファイルは正常に作成されました。

D:\Work>

システムをUSBメモリからブートする

 以上で作業は完了である。後はシステムに接続してUSBメモリからブートすればよい。USBメモリからブートさせる方法はシステムごとに異なるので詳しくは触れないが、一般的なPCなら、起動時に[F2]や[F10][F12]などのファンクション・キーを押していると、ブートするデバイスを選択する画面が表示されるものが多い(詳細は各機種のマニュアルを参照のこと)。そこで、例えばUSBメモリを選択すれば、そのドライブからブートする。いちいち選択するのが面倒なら、BIOSセットアップなどでUSBメモリからの起動の優先順位を上げればよいが、それだと通常使用時に余計なメッセージが出たりするかもしれないので(Windows OSが入っていないUSBメモリを接続していると、起動に失敗するなど)、各自の環境や用途などに合わせて設定していただきたい。

 ところでWindows To Goを起動すると、最初は、Windows 8の初期設定作業(デバイス・ドライバのインストールなども含まれる)が始まる。そのときシステムが自動的に再起動するが(現在のWindows 8 CP版では、最低1回の再起動が要求される)、手動でブート・デバイスを選択するようにしていると、この再起動で、USBメモリではなく、オリジナルのWindows OSが起動するかもしれない。その場合は、改めてシステムを再起動し、USBメモリを選択してブートしていただきたい。

 初期設定作業では、プロダクト・キーの入力やライセンス条項への同意、コンピュータ名の入力、(必要なら)ワイヤレス設定、ユーザー名(アカウント名)の入力などを行う。すべての初期化作業が終了すると、通常のWindows 8のスタート画面が表示される。ハードディスクで利用しているなら、この初期化作業にかかる時間は通常のWindowsのインストールとほぼ同じであるが、USBフラッシュメモリのような遅いデバイスを使っていると(USBフラッシュメモリは、読み出しは速いが、書き込みはかなり遅い)、この初期化作業で数十分とか、1〜2時間程度かかることもある。初期化が一度済んでしまえば、次回からは高速に起動する。

 いったん起動すれば、その操作感などは通常のWindows 8 CP版の場合と同様である。アプリケーションが必要なら、通常と同様にしてインストールすれば、どこでも同じように動作する環境が構築できる。

[メモ]キーボード配列に関する注意
 以上の手順でWindows To Goをインストールできるが、キーボードの配列が英語101キーボード配列になっていることがある。 これを直すには、[システムのプロパティ]から[デバイス マネージャ]を起動してキーボードのプロパティを開き、[ドライバー]タブから[ドライバーの更新]を実行する。そして[コンピューターを参照してドライバー ソフトウェアを検索します]をクリックして[コンピューター上のデバイス ドライバーの一覧から選択します]を選ぶ。[互換性のあるハードウェアの表示]のチェック・ボックスをオフにして、「標準 PS/2 キーボード」から「日本語 PS/2 キーボード (106/109)」へ変更する。これで直るはずであるが、再起動すると元に戻ってしまうことがある。どうしても変更できないようであれば、以下のサポート技術情報に基づいて、レジストリを変更する。



 Windows OSをUSBメモリやハードディスクに入れて持ち運べるようになるWindows To Goは、非常に有用な、Windows OSの新しい活用方法だといえる。ハードディスクやSSDを使えば十分快適に使えるが、USBメモリを使うと非常に遅く、おすすめできない。実験するなら、なるべく高速なデバイスを用意するのがよいだろう。

 なお小型のUSBメモリは紛失や盗難などが心配だが、Windows To Goの場合は、より深刻なので注意が必要である。なにしろWindows OSとユーザー・アプリケーション、データがすべて丸ごと入っているのだから、ノートPCを紛失するのとほぼ同様の危険性がある。安全のためには、BitLockerで暗号化をかけるなどの対策が必要である(今回はその方法は省略する)。


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