そして、いまアシストのイチオシは「InfiniDB」。シンボルとなっているのが「∞(無限)」のメガネをかけたハチ。岸和田氏が「名前はハッチかと思った」ととぼけると、すかさず「違いますよ。インフィニです」と同社情報基盤事業部 データベース製品統括部 2部 主任 花谷俊英氏(写真)がつっこみます。
InfiniDBはデータウェアハウス専用のデータベースです。ベースはMySQL。特徴をキーワードで掲げると、「Fast(高速)」、「Simple(簡単)」、「Scalable(拡張可能)」です。
1つ目の「Fast」を実現するのは、集計処理に向いた列指向型アーキテクチャ(他製品では「カラム型データベース」などと呼ばれることも)と、独自の水平垂直パーティショニングです。これらにより、物理I/Oを削減。さらにマルチスレッドアーキテクチャによってCPUリソースを最大限活用できるようにしています。
2つ目の「Simple」はエクステントマップというアーキテクチャにより、索引のメンテナンスが不要となっています。高度なチューニングも不要です。管理負荷が減らせそうです。
ただし、こうしたシンプルさを追求すると、がっちり最適化されたアプライアンスになりがちで、最小構成を選んでも大きなお買い物になってしまいがちです。しかしInfiniDBはアプライアンスではなく、ソフトウェアなので本当に小さいところから始めることが可能です。これが3つ目の「Scalable」。CPUコア数やサーバ台数に応じて、リニアにスケールするようになっています。
アシストでは、3人とも「顧客の選択肢を増やすこと」を口にしていました。商用だけではなくてオープンソースも、MySQLだけではなくてMariaDBも、データウェアハウスにはInfiniDBも。環境や要件によって答えは1つではないため、“顧客に多くの選択肢を提示できるように”と、考えているそうです。
9月10日、PostgreSQL 9.2がリリースされました。これに先立ち、日本PostgreSQLユーザ会の高塚遙氏(写真)がPostgreSQL 9.2の新機能を解説してくれました。
PostgreSQL 9.2に関しては3月号でお伝えしたことがありました。あれから半年。「9.2の新機能について変化はありますか?」と聞くと、「2月のPostgreSQL Conferenceで発表したものと比べると、減りました」とのこと。一瞬残念なニュースかと思いましたが、安定性を重視するため厳選したということのようです。
とはいえ、主要な新機能はそのままです。最大の目玉はマルチコアにおけるスケーラビリティ。昨今のサーバではマルチコア化が進んでいるため、そのリソースを生かせるようになることが課題となってきている点が背景にあります。下図はPostgreSQL Conferenceで来日したRobert Haas氏が64コアのサーバで検証したもので、同氏のブログより引用させていただきました。PostgreSQLコミュニティでは「Haasグラフ」と呼ばれています。
次に「Index Only Scan」。読み込み時など“インデックスだけ読んで済むもの”は、テーブルへのアクセスをスキップするようにしました。聞けば簡単なようですが、PostgreSQLの追記型アーキテクチャでは行バージョンがあり、壁となっていたのです。ところが意外なところから道が開けました。Vacuumのための「visibility map」を参照することで実現に至ったのです。これに気づいた人は誰だったのでしょうか。大発見ですね。こちらも性能、特に読み込み性能で大きな効果が期待できます。
それからレプリケーション関係の機能拡張。顕著なのが、レプリケーションでカスケードできるようになった点があります。マスタサーバの負荷を軽減できるだけではなく、スタンバイからバックアップをとるような構成も可能となりました。ほかにも同期レプリケーションでremote_writeモード追加、pg_recievexlogユーティリティ追加など、機能拡張が施されています。
ほかにも、SQL構文の拡張として、範囲を表現するデータ型「Range data type」が追加されました。これは8.4あたりから「次バージョンの新機能候補」に挙げられていたそうです。9.2で、ようやく日の目を見ることができました。
なお、11月30日にはJPUGがPostgreSQL Day 2012を開催することが決まりました。PostgreSQL 9.2の詳しい話が聞けるかもしれませんね。
ではまた来月、お会いしましょう。過去記事もどうぞ!
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