観客の投票で決める、未来観客賞に輝いたのはチーム:ベリーキューブ((神奈川工科大学 Kait Future Creators!! KFC)の瞬刊少年マルマル。体験の面白さにフォーカスが当たった作品だ。3位に当たる川上記念特別賞、協賛企業賞のクリスティ・デジタル・システムズ社賞も瞬刊少年マルマルに与えられている。
マンガ内の風景もゲームのようにインタラクションし、「降ってくる隕石を受け止める」などのアクションはマンガの中に入ったように演じることができる。
体験終了と同時にマンガがプリントアウトされ、持ち帰れる。
「マンガの中に入る」「自分が主人公になったマンガが出力される」という通常では存在しない感覚が味わえるのが面白い。
マンガのストーリーは決まっているが、ポーズによってエフェクトが異なり、集中線が出たり雷のようなエフェクトが入ったり、セリフのコマの周りが変わったりする。いかにもマンガっぽく、「ジョジョ立ち」のような特徴的なポーズを取ると派手なマンガになるし、そのポーズをしている人を外から眺めるのも面白く、エンターテインメントとしての完成度は随一だったように思う。ブースにはいつも人だかりができていた。
同じくスタジオを構えていたブースが「拡張のどごし感」(チーム:のどごし一番 筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻インタラクティブプログラミング研究室)
この作品では、飲み物のCM撮影をするという設定で、体験者がスタジオを模したブースで渡されたサイダーの缶を開け、コップに注ぎ、飲み干す。その過程の
がそれぞれ拡張され、それぞれ大げさな「良い音」でスピーカーから流れることで、本当にテレビの中のような感触が味わえ、ついついオーバーアクションで「プハー!」と言ってしまいたくなる。
最後に、グリーンバックのスクリーンと背景(花火大会、浜辺など、飲み物の撮影っぽい背景を最初に選ぶ)が合成され、CMが完成する。
あり得ない感覚の再現で異彩を放っていたのが「あ」(チーム:Panai 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科Reality Media Project 技術指導:大塚依都美)。
シリコン製の硬めの豆腐のような触感(ただし、濡れてはいない)の「あ」の字形を、触ったり、叩いたり、なでたりすることで「あー」「あっ!」「ああー……」など、さまざまな「あ」の音声で反応する。
デジタル音声であることは分かるが、どこをたたいても同じ反応が返ってくるわけではなく、非常にアナログな、生き物のような感じを受ける、新しい生き物のような感じだ。ぜひ動画で見ていただきたい。
「あ」の書体はこのために起こしたオリジナル、触感と反応のバランスを取るために、数十個の「あ」を作り直したというこだわり。
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