今年のアドテックで伝説となったセッション「アホテック東京」。AR三兄弟、バーグハンバーグバーグ、吉本、バイバイワールド、PARTYの猛者が作り上げた舞台の裏側を紹介する
2012年10月31日、デジタルマーケティングイベント「アドテック東京(ad:tech tokyo)」のイノベーションステージにて「アホテック東京(aho:tech tokyo)」が開催されたのをご存じだろうか。この記事では、アホテック主催者「株式会社人間」(以下、人間)の代表でもある筆者が、「アホテック東京の裏側」をお伝えしたい。
アホテック東京は、アドテック東京の公式カンファレンスに呼ばれなかったクリエイターたちが「やればできる」と信じ、独自の解釈でマーケティングについて語るという趣旨のイベントだ。
Webで開催を発表した瞬間、Twitterやニュースサイトからうわさが広がり、当日大勢の人々が集まった。
アドテック東京のイノベーションステージはもともと、公募に合格すれば誰でも出演できるステージだ。とはいえ、いきなり、マーケティング業界最大級のイベント「アドテック東京」の一部を任された。
私たちは初めて「モデレータ」という立場でイベント作りをすることになったのだ。これまで、「Kinect巨乳Worldcup2012」くらいしかイベントをしたことがないため、不安だった。
「アドテック東京」で行う「人間」のイベント、企画に関して難航するかと思いきや、答えはいきなりやってきた。
「アホテック東京」
なんて甘美な響きのダジャレだろう、大方の人は本能的にダジャレが好きだ。
しかし、「アホ企業が集まるイベント」という内容は、タイトルの面白さだけで決めたわけではなく、そもそもメインのカンファレンスのテーマを眺めていて「なぜ“笑いがテーマ”のコンテンツがないんだ」と驚いたからである。
「笑い」は複数ある重要な「見せ方」の1つのはず。特にテレビ、街頭、インターネット、どれをとっても笑いを誘う広告ばかり。われわれは、その業界において「見せ方」にこだわる人間たちの発表の場を作るべきだと考えた。
今回のイベントで一番頭を悩ませたのは“誰に出てもらうか”だった。
いざ探してみると「笑い」を売りにしている会社って少ない。いろんな人に相談しても一向に出てこない。「世の中にアホ企業なんてないのでは?」と弱気にもなった。
悩みに悩んだ末、最終的に“アホに説得力を持たせる”AR三兄弟川田さん、“アホ設定の鬼”シモダさん、“アホをビジネスに変えている”吉本クリエイティブ・エージェンシー佐藤さん(with バイバイワールド)に決定した。
ついに企画は本格的に動き出し、シモダさん、川田さんとのミーティングの末、テーマを「メインに呼ばれなかった人たちが、自分にもできるぞと同じテーマでしゃべるイベント」に決定。
このインパクトのある設定を生かすため、分かりやすいアホさと、怒られない程度の皮肉を散りばめたサイトを作ったところ、Twitterやニュースサイトなどでヒット。口コミでイベント情報が広がっていき、「アドテックとは別でアホテックをやるみたい」と、勘違いする人が出るほど名前が目立ち始め、思わぬ効果を生むことに。
Webサイトが話題になり、機嫌よくエゴサーチをしていると気になるツイートを発見。
「アホテック東京出たいけど企業単位なのか」と、PARTY清水さんがツイートしていた。清水さんといえば、去年参加させていただいたIT業界の文化祭「dotFes」で「自動でカツラが飛ぶシステム」など、アホなことばっかりやってた大物! もともと、広告業界で最も変な企画ができる会社として尊敬していたので、即オファーを出した。
その返信で清水さんは、「なんなら行きの電車からボロボロの格好していっていいですか?」と恐ろしいアホさを見せる。あっさり大物ゲストの参加が決定した。
今回は“アホ”をテーマにしたトークイベントなので、どうしてもステージが“アホ”に見えないと困る。
従って、モデレータである人間・花岡は「何かバケモノのようなもの」に扮することが決まった。問題はどんなバケモノになるか。
最初は司会の池辺さんのお腹に花岡の顔が埋め込まれてるという案でほぼ決定していたが、「池辺さんの腹を突き破らないといけない」ことが問題となり、最終的に「身長230cmくらいあるアホテックさま」に落ち着いた。
縦に長いので、当日、人ごみの後ろの方からでも目に付く、いいキャラに仕上がったのだが、各所のレポート記事を見ていると、アホテックさまも花岡にも一切触れられていなかった。
当日前夜、有楽町の飲み屋の個室で人間2名、司会の池辺さん、シモダさん、川田さんで最終打ち合わせ。一夜で驚くほどスケジュールが変わる変わる。ここでも「アホテックさま」の設定について熱く議論。
当日になり、東京国際フォーラムではもちろん本家のアドテック東京が開催されていた。
初めてのアドテック東京。出展企業はきらびやかで豪華なブースを用意して、ビジネスマンを呼び込んでいる。
そんな感動もつかの間、汚くてでかいホームレスが目の前を横切った。PARTYの清水さんだ。
本当に汚しメイクのまま、会場に来てくださったのだ。「できる人は違う」と心から尊敬した(半笑いで)。
そして、イベント開始時間には、アホテック会場は近所迷惑なほどの大人数のお客さんで埋め尽くされた。
このときの写真を見れば「アホテックすごい! やばい!」と思っていただけると思うし、イベントに参加した各社の誇れる実績はこちらの発表資料を確認してほしい。
それにしても一番驚いたのは、あんな大勢の人々がいたのにイベント後にはサーッと5分も経たないうちに引いてしまい、名刺が3枚くらいしか減らなかったことだ。
来年こそはカバンいっぱいの名刺を持って、公式の方のカンファレンス「最先端テクノロジーで人を笑わせる見せ方とは?」を目指します!
年末におばかアプリファミリーが出演しますクリスマスにおばかアプリ選手権。メリーおばか!
著者プロフィール 山根淳
株式会社人間 代表取締役
「面白くて 変なことを 考えている」をモットーに、作品を作り続ける「株式会社人間」の小さい方の社長。デジタル、アナログに関わらず、“笑い”を中心とした広告表現にこわだり活動を続けている。チーム内では主に“童貞っぽさ”を担当している。
Twitter:@shiboru
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.