さくらインターネットはVPSにSSDプランを追加。HDDの7倍速く、データベースサーバなどの利用にも向くとする
さくらインターネットは12月5日、「さくらのVPS」にSSDプランを追加し、12月13日から提供開始すると発表した。追加するのは、メモリ1GBと2GBの2プラン。ストレージはそれぞれSSDで50GB、100GB。価格は月額費用で、それぞれ1780円、3680円。詳細は以下の通り。
従来のHDDに比べてランダムリード、ランダムライトともに7倍程度に高速という。レイテンシも、リードで24倍、ライトで2倍高速だ。アプリの作り変えやミドルウェアの変更なしで、「チューンアップしなくても、そこそこ使える」(さくらインターネット代表取締役社長 田中邦裕氏)のがポイントで、データベース・サーバなどでの活用も見込んでいるという。
SSDプランは容量的にはHDDに比べると少ないが、多くのケースで50GBは十分な容量で、むしろ、最近のHDD容量は「オーバーシューティング気味だった」(田中氏)というのが田中氏の見立てだ。
「SSDは容量単価ではHDDにかなわない。しかし、HDDはオーバーシューティング気味。IOPSが上がっていないので、シェアできる数が上がっていない」(同)
多くのVPSのメニューでHDD容量が増えている。安価なエントリレベルですら100GBというのが珍しくない。しかし、これはユーザーニーズを反映したものというよりも、ドライブのIO性能の上限と、シェアする仮想OSインスタンスの数で決まってくるものだからという。1000ユーザーや2000ユーザーでシェアすると性能が出ないので、実際に必要とされる容量が20GBという場合でも、HDDを使っている限り、そうしたメニューを用意できない。
「小さなディスクに関してはSSDのほうが安くなっていくのではないかと考えている。(台数当たりのシェア数を上げて運用ドライブ数を減らせるので)消費電力も減る。さらに言うと、今後はHDDをやめてSSDのみにしていく可能性もある」(田中氏)
HDDとSSDのプランで、今後の申し込み比率は3対1程度で推移していくと見ているという。「新しい選択肢としてSSDプランをまず出してみて、ユーザーがどう使っていくのかを見ていきたいというのが正直なところ」(田中氏)で、今後は上位プランのメモリ4GBや8GBといったプランでのSSDの提供も計画している。現在、SSDプランのVPSのインスタンスは北海道・石狩のリージョンのみが選択ができるが、リージョン選択も増やしていくという。
「お客さんにCPUが遅いと言われることは少ない。これはインフラエンジニアの方に聞いたことですが、今はヒト、モノ、カネ、IOPSという4つのボトルネックがある。その中でもほしいのは人とIOPS。IOPSはSSDやioDriveで解決され始めている」(田中氏)
IO性能のボトルネックを打破し、スケーラビリティを確保するという意味で、NoSQLが注目されている。ただ、永続化層のストレージとしてSSDを使うことで、NoSQLを導入するまでもないアプリケーションも多いことだろう。開発に割ける人的リソースがボトルネックであるならば、RDBMSをNoSQLに切り替えるよりもHDDをSSDに切り替えるという選択肢も現実的だ。今後、HDDの利用は動画などの大容量データとバックアップ目的となっていくのかもしれない。
さくらインターネットは2010年9月にVPSの提供を開始。2012年11月現在で利用件数は4万件を超えているという。
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