12月6日、「SUSE Conference Japan 2012」に合わせて来日したSUSEの社長兼ゼネラルマネージャ、ニルス・ブラウクマン氏は、「SUSEは再び、いままでにない速度で成長し始めている」と述べた。
「SUSEは再び、いままでにない速度で成長し始めている」――。12月6日、「SUSE Conference Japan 2012」に合わせて来日したSUSEの社長兼ゼネラルマネージャ、ニルス・ブラウクマン氏はこのように語った。
1992年に設立されたSUSEはLinuxディストリビュータの老舗だ。2004年に米Novellの傘下に入ったが、そのNovellが2010年にAttachmateに買収されることになり、改めてスピンアウトした。設立から20周年を迎えたいま、「再スタートを切り、とてもエキサイティングな時期を迎えている。この1年間で新たに2800社の顧客を獲得した」とブラウクマン氏は述べた。
今後力を注いでいく市場の1つがエンタープライズ向けLinuxだ。既に1999年からIBMと提携を結び、System zをはじめとする多数のIBMのハードウェア上でSUSE Linux Enterprise Serverが動作している。また、ドイツ生まれという縁もあって、SAPとも密に連携。SAP ERPシリーズやSAP HANAに最適化したスペシャルバージョンを提供し、ミッションクリティカルな分野にLinuxベースのソリューションを提供している。今後も、カーネルの機能追加などを通じて引き続きこの分野を強化し、UNIXからLinuxへのワークロード移行を推し進めていくという。
同氏が2つ目に挙げたのは、統合Linux事業だ。いわゆるモバイルデバイス以外の、医療機器や放送、テレコム向け機器など、軽い動作が求められるさまざまなデバイス向けにカスタマイズしたLinux、「ジャストイナフ(必要十分な)Linux」を提供していく。
そして3つ目がクラウド市場だ。SUSEは先に、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」への支持を表明し、OpenStack Foundationをプラチナスポンサーとして支援している。8月には、OpenStackを利用したプライベートクラウド向けのパッケージ「SUSE Cloud」をリリースした。
ブラウクマン氏は、過去20年間に企業システムで起こったオープンソース普及の歴史が、クラウドでも繰り返すと見ているという。
「いくつかの顧客はプライベートクラウド技術に興味を持ち始めている。そこで、“オープンソースのクラウドを使ってみてはどうでしょう”と提案すると、たいてい“イエス”という答えが返ってくる。過去20年間、Linuxの世界で起こってきたのと同じことが、オープンソースクラウドインフラでも起ころうとしている」(ブラウクマン氏)。
Linuxが企業システムに進出し始めた当時、それは低コストで“クール”であっても、機能や品質、安定性といった面で企業の要求する水準を十分に満たすものではなかった。しかし、何かトラブルが起きたときにサポートしてくれるベンダの存在が、Linux、ひいてはオープンソースに対する企業の目を変えていったという。
オープンソースによって選択肢が提供されただけでなく、エンタープライズ向けの商用サポートサービスの提供によって、企業が安心して導入できる準備が整った。さらに、「ロンドン証券取引所やドイツの空港管制システムなど、ミッションクリティカルな領域も含め、いくつもの導入事例がある」(同氏)ことも、企業、特に日本企業での導入を後押しする追い風になっているという。
そして、この一連の動きと同じことがクラウドでも起こるだろうとブラウクマン氏は予測する。「OpenStackという、最も規模の大きなコミュニティが生み出すしているものと同じコアテクノロジをベースに、ベストなサポート、ベストなサービスを統合した形で提供していく」(同氏)。将来的には、SUSE Cloudをベースに、ミドルウェアやストレージを組み合わせるなど、さまざまなオプションも検討していくという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.