まず早く提供し、利用者からフィードバックをもらい改善を進めていくこと。次に選択肢を増やし柔軟に対応できるようにすること。さらに従量課金制で必要なときだけ利用することでコスト削減につなげられるようにすること。アマゾンのビジネスは「低マージン&高ボリューム」、つまり「薄利多売」。
利益が出たらコストで顧客に還元するため、この6年間で26回もの値下げをしているのだそうです(余談ですが2012年11月にはアマゾンとGoogleがほぼ同時に値下げを発表しました。クラウドサービスは今後価格面でも競争が進みそうです)。
2009年、アマゾンはAmazon RDS(Relational Database Service)としてデータベースもサービスとして提供するようになりました。流れとしては必定でした。サーバがサービスになるならば「次はデータベースも」となりますよね。アマゾンは要望の高い製品から順次Amazon RDSで提供しています。ちなみに、データベースサービスについては、Googleも「Google Cloud SQL」を提供していますし、Oracleも「Oracle Cloud」を発表しています。
現時点でAmazon RDSがサポートしているデータベース製品はMySQL、Oracle Database、SQL Serverの3つ。まだサポートしていない製品で要望が高いものにPostgreSQLが挙がっているそうです。これについては、今後サポートされるかについて、玉川氏は明らかにしませんでしたが、可能性はありそうです。
Webサービスでデータベース製品を選べることはAmazon RDSの特徴です。いい方を変えると、どの商用製品でもない独自のデータベースをWebサービスとして提供するSalesforce.comのDatabase.comとは対照的です。
AWSのデータベースサービスで複数の製品を選べるようにしていることについて、玉川氏は「既存のアプリをそのまま使えることで移行コストがかからないこと、ロックインを回避できること」をメリットとしてあげていました。これはまさにAWSが重視する2つ目の項目にあたります。
ところでAWSでAmazon RDSでサポートされていないデータベース製品を使いたい場合はどうすればいいのでしょう?
Amazon EC2を使って独自にインストール・設定すれば使えないことはありません。が、AWS Marketplaceを利用する方法があります。
こちらはおおざっぱないい方をするとAmazon EC2にソフトウェアをセットとしたもの。データベース系のソフトウェアならSAP HANA One、MongoDB、CouchDB、PostgreSQLなどさまざまなデータベースが各種ソフトウェアベンダから提供されています。中にはMongoDBのように有志が無償で提供しているものもあります。現時点ではAmazon EC2の利用料金のみで利用できてしまいます。現状ではAmazon RDSでサポートされていなくても、AWS Marketplaceを使えばデータベースの選択肢はかなり豊富にあるといえます。
AWSのデータベースサービスはまだあります。その中の1つであるAmazon RDSはRDBですが、いわゆるNoSQLデータベースとしては、Amazon DynamoDBがあります。その前に出たAmazon SimpleDBの進化版というところです。KVS型なので、ソーシャルゲームなどで利用されています。
玉川氏は今後のAWS展開について「アマゾンはカスタマ中心主義の企業。お客さまの望むものを考え、力を入れていきます」と話していました。AWSの新機能は年々増加傾向にあり、2012年は158もの新機能やサービスを追加したほどです。アマゾンはエンタープライズ分野をフォーカスエリアとして掲げているため、今後企業が求める機能、役立つ機能がさらに充実してきそうです。
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