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» 2013年01月30日 18時00分 公開

ITS/BTSによるプロジェクト運営7つの勘所と手軽に使える5ツールDevOps時代の開発者のための構成管理入門(2)(2/2 ページ)

[縣俊貴, 染田貴志,株式会社ヌーラボ]
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手軽に利用できるITS/BTS、5選

 ここまででITS/BTSの構成管理における役割について触れましたが、では実際に使いたい場合に手軽に利用できるITS/BTSにはどんなものがあるかを以下にリストアップしました。何が「手軽」であるかは読者によって異なるかと思いますので、ここでは、以下の2つの視点で紹介します。

  1. 「利用に際して料金が発生しない」意味でオープンソース
  2. 「すぐに利用開始でき、運用をお任せできる」意味でホスティングサービス

 まずはオープンソースで、代表的なものが2つあります。

 どちらも基本的に、インストールを行うサーバの準備はユーザーが行う必要があります。

 次に、ホスティング/クラウドサービス/SaaSです。

 BacklogやJIRAはホスティングだけではなく、インストールタイプのパッケージも提供しています。

 これらのツールは、おのおの特徴がありますので、詳細は各ツールのサイトをご覧いただければ良いかと思いますが、基本的に前節で述べたようなことは、どのツールでも実現は可能です。

 本特集を読んで興味がわいたら、ぜひ気に入ったツールを触ってみてください。

ITS/BTSによるプロジェクト運営、7つの勘所

 ここからは、筆者たちが自社でBacklogを活用したプロジェクト運営の実践から学んだ、いくつかの勘所を紹介しています。

 ITS/BTSはワークフローや業務プロセスを劇的に変化させます。そのため「全社に導入!」となると、なかなか理解を得るのが難しかったり、導入に反対されてしまうこともあります。ですので、まず導入をスムーズに進めるための方法から始めてみましょう。

【1】小さなチームでITSのファンを増やす

 まずは小さなチームやプロジェクトで試験的に導入して、ITSのファンを増やすことをお勧めします。

 ITSは「使い出して初めて、その価値が体感できる」ものなので、何はともあれ、使ってもらわないことには、そのメリットをなかなか理解してもらえないものです。

 ただ、1度ITSベースのプロジェクト管理に慣れると、メールやExcelベースの情報共有には、そう簡単には戻れないのも事実です。ですので、最初は小さなチームで成功体験を生み出すことでファンを増やしながら、少しづつ全社導入を目指すのが良いでしょう。

【2】ルールは定め過ぎない

 導入を進めようとするときにやりがちなのは、タスクの登録や運用方法に対して最初から細かなルールを定めて、それをメンバーに順守させようとすることです。

 導入に際して、予実の管理をしっかりしたいなどの目的があることは良いのですが、最初から厳密にやり過ぎるとメンバーがメリットよりも先に面倒に感じてしまい、結局タスクがまったく登録されない事態に陥りがちです。

 立ち上がり時点は、ある程度ツールに慣れることを優先して、まずそのメリットを先に感じられる状況を作った方が、後々に多少複雑な運用ルールを定めるにせよ、スムーズに進むことが多いです。

【3】とはいえ、最低限のルールは定めておく

 ただ、反対に全くルールを定めないと、どう使ってよいのか分からず、これまた結果として使われないことも起こり得ます。ですので、以下のようなシンプルなルールは最低限設けた方がよいでしょう。

  • 課題の完了の条件はXXXしたとき
  • すぐやらないといけないタスクは期限日を必ず設定する

 例えばBacklogには、こういった運用ルールの認識を合わせるために、プロジェクトの立ち上げ時に、Backlog の使い方に関するワークショップを開いて、自分たちの業務のフローでどういう風に使えばよいのかを参加メンバー同士で認識合わせをされているユーザーもいます。

 上記すべてに共通していることですが、ITSの導入時に大事なのは、利用するメンバーにメリットを感じてもらうこと、これにつきます。プロジェクト管理をする立場からすると、どうしても管理的な側面に目が行きがちですが、最初はそこに多少目をつぶってでも、ITSに情報が集まり、その上でコミュニケーションが生まれる状態にすることをまず目標にするのが良いでしょう。

 次に通常のプロジェクト運営時に筆者が意識しているポイントを紹介します。

【4】まずはタスク化する

 仕事やプロジェクトのあらゆる活動をタスクと見なして、まずは登録しましょう。タスク化することで、進ちょく状況など自動的に共有され記録として残せます。思わぬところから助言やツッコミをもらうこともできます。

 以下は、CacooやBacklogのプロジェクトで実際に登録されたタスクの一例です。開発、運用、マーケティング、サポートなどにかかわるタスクをプロジェクトメンバー全員が共有できるようになっています。

  • エンタープライズ版アップグレードプレスリリースを作成
  • SSL証明書を更新する(2012)
  • インストールマニュアルを修正
  • Amazon EC2+CDNでのパフォーマンスを確認
  • 課題の一括操作を設計

 例えば、突発的なサーバの障害対応など、タスクを起こす前に仕事が始まってしまうこともあります。その場合、後からタスクを起こして原因や作業ログなどを記録します。

【5】タスクの件名は動詞で終わるようにする

 タスクには分かりやすい件名を付けるようにしましょう。一覧やメールでの通知の際に、ぱっと見て何をしたいのかが明確なるようにするのがポイントです。特に重要なのが「動詞」です。

件名:セキュリティページへの導線

 例えば、上記の件名だと、「セキュリティページへの導線を新しく作るのか」「改善したいのか」が分かりません。以下のよう「動詞」で終わるような件名にすることで、タスクの目的が明確になります。

件名:セキュリティページへの導線を改善する

【6】定期的にタスクの棚卸しをする

 タスクを挙げることが日常化すると、登録されるタスクも増え、長期間対応されない放置タスク、誰にも担当が当たっていない迷子タスクなども生まれてしまいます。

 こういったタスクは課題の一覧性も損ねますし、何より未完了のタスクがたくさんあると精神的にも好ましくありません。ですので、「定期的にタスクの整理をして、必要なものは担当をつける」「不要になったら完了する」といった整理を行いましょう。

 なお、こういうときに判断に迷うのが「やらないよりはやった方がよいけれど、長期間対応されていないタスク」です。内容としては「やった方が良いこと」だからついつい残してしまいがちなのですが、筆者の経験上、こういったタスクの多くは対応しないまま完了にしてしまって問題ありません。

 理由として、特にソフトウェア開発プロジェクトでは、時間が経つと別の解決策が生まれて、当初考えていた優先度よりも低くなることが往々にしてあります。結果「長期間対応されなかった」事実が、その優先度が下がっていることを証明していますし、もし再度重要性が高まったのなら、そのときにまたタスクを挙げ直せば済む話です。

 ITSは日々目にしながら仕事をするものです。部屋やデスクと同様、プロジェクト内にあるタスクも定期的にきれいに整理しておきましょう。

【7】コミュニケーションを大事にして利用する

 ITSは先にも述べたようにコミュニケーションのハブ的な役割も持っています。

 依頼やフィードバックなど、他の人に考えや気持ちを伝えるのは、リアルコミュニケーションとそれほど変わりません。ITSの中には絵文字やアイコンが使えたり、コミュニケーションをサポートする機能が備わっていますので、それらを活用しつつ、人間らしいやりとりを工夫しましょう。

 また、タスクを起こすだけでは伝わりにくい場合もあるので、対面やチャットなどで併せて連絡したりすることを組み合わせるのも大切です。あくまでも目的は「プロジェクトがうまくいく」ことですので。

Backlogにおける絵文字を使ったコミュニケーション

次回は、バージョン管理(SCM)

 今回は構成管理における、ITS/BTSの立ち位置を中心に、その利用の勘所なども紹介しました。次回は、いよいよ「バージョン管理(SCM)」です。お楽しみに。

著者プロフィール


縣俊貴

プロジェクト管理ツール「Backlog」、ドローツール「Cacoo」など、コラボレーション型のWebサービスの企画と製品開発を行う。福岡在住。株式会社ヌーラボ所属。著作に「良いコードを書く技術(技術評論社)


染田貴志

株式会社ヌーラボにて、プロジェクト管理ツール「Backlog」、ドローツール「Cacoo」の開発、インフラ運用などにたずさわる。ソフトウェアとロックと家族を愛する開発者。京都在住


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