Fusion-ioは2月28日、PCIeフラッシュの新製品「Fusion ioScale」を国内で発表した。同社はPCIeフラッシュが、大規模データセンターにおいてパフォーマンスと経済性を両立できるとして、「オールフラッシュデータセンター」を提唱している。
Fusion-ioは2月28日、PCIeフラッシュの新製品「Fusion ioScale」を国内で発表した。米国で1月に発表された際、1GB当たり3.89ドル相当という低価格が話題となったioScaleだが、日本でもあまり変わらない価格で提供されそうだという。同社はPCIeフラッシュが、大規模データセンターにおいて最も高いパフォーマンスを発揮できると同時に経済的だとして、ioScaleにより「オールフラッシュデータセンター」を推進する。
米Fusion-io CEO兼社長のデビッド・フリン(David Flynn)氏によると、ioScaleは、ハイパースケールデータセンターに向けた製品。ハイパースケールデータセンターが、エンタープライズとは対照的なユーザーであることが、新製品の発想の中核にあるという。
ハイパースケールデータセンターの人々は、最新の製品を真っ先に取り入れる。また、オープンソース技術の利用をはじめとして、節約のために技術を投入することを惜しまない。例えばFusion-ioが提供するioMemory SDKを使って、アプリケーションをさらに高速化できるような人たちだと、フリン氏は話した。
こうした人々のために開発されたioScaleは、ハーフレングスPCIe接続のフラッシュメモリカード。容量は最大3.2TB(これは既存製品ioDrive2の最大容量3.0TBとあまり変わらない)で、コントローラは単一。最新のNANDフラッシュメモリを使っているが、利用年数を2、3年と考えて設計したという。
販売に関しても、この製品では、ユーザー企業とより直接的に関わっていきたいとフリン氏は話した。このためもあってか、Fusion-ioはioScaleの詳細なスペックを公表していない。
同社の日本における販売について確認したところ、Fusion-ioの他製品と同様、東京エレクトロンデバイスやシステムベンダなどのパートナーを通じて提供する予定とのこと。大規模データセンターを対象とし、サーバに搭載した形での納入が主流になるようだ。価格については、米国における価格と大きく異なることはないだろうという。
米国での発表内容の価格に関する部分を改めて整理すると、まずioScaleの最少販売単位は100。最も安価なモデルの場合、1GB当たり3.89ドル相当の価格から。つまり、さらに大規模な購入の場合は3.89ドル/GBよりも安くなる。
PCIeフラッシュは、製品価格ではハードディスクや、SSD+RAIDアダプタに比べて高くとも、これを大きく上回る節約効果があると、フリン氏はいう。小型サーバでも大容量を搭載できるため、サーバ数を減らせるとともにラック密度を向上できる。フラッシュメモリの節電効果に加え、サーバ数減による電気とスペースのコスト削減が可能で、空調、ソフトウェアライセンス、メンテナンスなども節約できる。パフォーマンスと経済性を両立させるために、サービス事業者はオールフラッシュデータセンターに移行すべきだと訴えた。
ioScaleの国内発表の場には、アップルの共同創業者で、現在Fusion-ioのチーフサイエンティストであるスティーブ・ウォズニアック(Steve Wozniak)氏も登場した。
同氏は数々のコンピュータや周辺機器を設計してきた経験から、「複雑でないこと」を信条としていると語った。「製品はシンプルで、物理的に小さく、部品が少なく、低コストで処理タスクにかかわるTCOも低くなければならない」。同氏はディスプレイでは、コンピュータ側にビデオメモリを持たせることで、それまでとは比較にならない表現が可能になったと説明。フロッピーディスクへの読み書きについても、通信を集中制御するボードをコンピュータ側に設け、さらにコンピュータでドライブを制御するプログラムを書くことによって、利用できる容量とスピードを大きく向上できたと語った。Fusion-ioもこれと同じだという。ケーブルの向こうにある独立した機器ではなく、コンピュータのバスに直結することで、介在する部品が少なくなり、スピードと信頼性が高まる。ソフトウェアを書くことによって、さらに有効活用ができると話した。
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