特集
» 2013年04月10日 18時00分 公開

仮想化の足を引っ張らないネットワークの姿とは?@ITネットワークトレンドセミナー レポート(2/2 ページ)

[柏木 恵子,@IT]
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拡張性とワンホップを両立させる「QFabric」

セッション3「仮想化時代を支えるクラウドネットワークの革新」

ジュニパーネットワークス株式会社

ビジネス開発本部ディレクター 沢田大輔氏


 ここ数年、IT業界のトレンドはクラウドとモバイルだ。言い方を変えると、モバイルインターネットの伸びがクラウドの利用を促進しているとも言える。

 データ量、ユーザー数、端末数はそれぞれ爆発的に増加しているため、データセンターには効率が重要となる。ユーザー増加に合わせて設備を増設していてはコストが見合わない。

ジュニパーネットワークス株式会社 ビジネス開発本部ディレクター 沢田大輔氏

 データセンターの効率を上げるには、核になるネットワークに注目する必要がある。サーバ、アプリケーション、ストレージは仮想化を積極的に取り入れており、すでに効率を上げやすくなっているが、現状ではネットワークが障壁になっている。原因は、2つある。リソースプール実現のためのネットワーク接続性と、実現することによって発生するセキュリティの課題だ。

 アプリケーションサーバがデータベースに問い合わせを行うようなシステムでは、互いが1ホップで通信できる同一セグメントにあれば遅延は発生せず、快適な環境となる。しかし、vMotionなどを使い、アプリケーションサーバがそのセグメントから出た場合、従来の階層型ネットワークではホップ数が増えて大幅な遅延が発生する可能性がある。

 また、従来型ネットワークのセキュリティは、内と外、中間のDMZをセグメント分けして境界を守る方式を取ってきた。サーバが、セキュリティ関連アプライアンスが入っているセグメントから外には出られないようにするのがセキュリティ、ということだ。しかし、仮想化による柔軟な運用をするためには、フラットなネットワークが必要になる。

 シンプルで管理しやすく、高パフォーマンスなネットワークを作るための技術としてジュニパーネットワークスが提案するのが「QFabric」である。論理的には1個のスイッチに見える分散したスイッチにより、拡張性とワンホップを実現し、運用コストの削減と稼働率の向上につなげている。またセキュリティに関しては、外に出るトラフィックに対しては物理ファイアウォールを使用し、仮想マシン間の通信には仮想アプライアンスでモニタするという方法をとる。

 ジュニパーでは、“6-4-1”SDN戦略を提唱している。「6」は、SDN移行への6つの主要原則のことで、技術は目的ではなくツールであることを意味する。「4」は管理の集中化、サービスの抽出、コントローラの集中化、ハードウェアの最適化という、SDN移行に向けた4つのステップのことだ。そしてそれらの機能を「1」つのライセンスモデルで提供する。これにより、ユーザーはポータビリティを持つことができるとしている。

【関連ホワイトペーパーはこちら】

データセンターネットワーク設計の新常識

http://wp.techtarget.itmedia.co.jp/contents/?cid=12492


事業者の立場から見たSDNは? 最適解はどこに?

特別講演「ほんとうのSDNの話をしよう」

モデレータ:三木 泉(アイティメディア ITインダストリー事業部 エグゼクティブエディター)

パネリスト:

岩田淳氏(日本電気株式会社 システムプラットフォーム研究所)

小宮崇博氏(ブロケード コミュニケーション システムズ株式会社 Cloud Technology Officer)

澤田大輔氏(ジュニパーネットワークス株式会社 ビジネス開発本部 ディレクター)

佐藤陽一氏(NTTコミュニケーションズ株式会社 ネットワーク事業部ネットワークグランドデザイン室)


 SDNおよびOpenFlowという言葉は、まずデータセンター事業者が注目したことから世に広まった。利用シーンとしては、データセンターおよびクラウドサービス、企業ネットワーク、通信事業者によるWAN接続、およびデータセンター間接続の3つが考えられる。「ほんとうのSDNの話をしよう」と題したこのパネルディスカッションでは、これら3つの領域それぞれについて、課題と解決策について議論が交わされた。

 データセンター事業者であるNTTコミュニケーションズは、コロケーションだけでは生き残れないとしてクラウドサービスへ業務領域を広げた。クラウドサービスではユーザー企業から頻繁に構成変更の要望があるが、それに人手で対応すると人為ミスが発生する可能性が高くなる。それによってユーザー企業に迷惑がかかることは、事業者として最も避けなければならない事態だと佐藤氏はいう。また、大規模になるにつれてVLANが4000程度しか設定できないことの問題も見えてきたことから、OpenFlowの導入を決定したという。

 データセンター事業者が抱える課題に対し、OpenFlowが最適解なのかという点について、ブロケードの小宮氏は「プロビジョニングの自動化という観点から、OpenFlowは未来のあるテクノロジ。ただ、ファイバチャネルをイーサネットに応用することでシンプル化や自動化も可能だ。その場合、『今までと同じ』という点がポイントになる」と述べた。

 また、ジュニパーの澤田氏は「OpenFlowはSDNの重要なプロトコルではあるが、それ自体がイコールSDNではない。今後出てくるテクノロジを組み合わせて応える」とした。

 NTTコミュニケーションズの佐藤氏は「たとえコントロールプレーンに問題があっても、データプレーンに問題がなければ転送を続けてサービスが継続されることが必要」とデータセンターのニーズを説明。NECの岩田氏は、「OpenFlowは集中管理型でコントロールプレーンとデータプレーン分離モデルなので、そうしたニーズに応えることができる」とした。

 「企業ネットワーク」においては「手間がかからない」ということが最も重要な要素なる。というのは、社内にネットワークに詳しい担当者がいるとは限らないため、ちょっとした変更でも外部に依頼するというケースが多く、そのつどコストが発生するからだ。

 ファブリックを使ったネットワークでは、ネットワークコントローラの導入により自動的にネットワークを再構成することで、このニーズを満たす。一方、OpenFlowの場合はネットワークの構築がプログラマブルになっているため、新入社員やサーバ担当者でも運用を簡単に覚えることができるという。また、バックアップサイトとの物理構成の違いを吸収する点も大きなメリットだ。

 3つ目の「キャリアネットワーク」では、従来、L2とL3のネットワークを別々に構築、運用していた。これをフローベースで構築すればいいという点に期待がかかるものの、製品がまだ追いついていないのが課題という。

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