これだけのメリットがあるライブラリですが、当然リスクやデメリットもあります。
デメリットの1つとしては、作成されたライブラリが更新されなくなったときに、対応できるOSが昔のままとなってしまうことがあります。
例えば古いOSバージョンのときに作られたライブラリを組み込んでアプリを作成し、その後にiOSのバージョンが変わると、ライブラリの機能が正常に動作しなくなる場合もあります。ライブラリの作者が必ずOSバージョンアップに対する対応を行う保証はありませんので、そうなると自分でライブラリを改編するか、ライブラリの利用をあきらめるしかありません。
また、OSSライブラリには必ずライセンスが付与されており、ライセンスの内容を理解しないで導入するのはリスクとなります。次はライセンスついても簡単に説明します。
ライセンスはコードごとに異なった内容のものが付与されます。制約が厳しいものでは、作成したアプリ内でライセンスを利用している旨の表示を求めたり、ソースコードの開示を求められたりすることがあります。
ライセンス内容は作成者が自由に定めることができ、数千種類のライセンスが存在しますが、土台となるライセンスの種別はあまり多くないので、大枠さえ覚えておけば大きな問題は避けることができます。
ライセンスを確認せずにライブラリを利用したり、選定時に判断を誤ると実業務では大きな問題になりかねないため、ライブラリを導入する際にはライセンスの種別は十分に確認しましょう。
先に書いた通り、iOSライブラリは世界中で無数に公開されていますが、現時点で人気のあるものを以下にいくつか挙げてみました。
例えば、メインメニューがあって音楽の再生、画像の加工、加工画像をSNS連携、カレンダーの閲覧を行うだけのアプリを作る場合、これらのライブラリを組み合わせるだけで十分リッチなアプリが作れます。
今回は連載第1回ということでライブラリに関する基本的な説明をメインにしました。第1回の要点をざっくりまとめると、以下の4点です。
すでにiOSアプリを開発していて、これからライブラリ利用を検討される方は、前述した内容を意識していただければ必ず今よりも高速な開発ができると思います。まだiOS開発をしていない方はライブラリを利用することで初期習得コストをかなり削減できるので、お試しください。
次回からは、目的別にライブラリいくつかを紹介していきます。実際にライブラリを組み込みながら技術的な側面も合わせて詳細に説明していくので、お楽しみに。
株式会社ソニックス スマートデバイスソリューション事業部 コンサルティンググループ
コンサルティング業務として、モバイルファースト開発ガイドラインやテストガイドラインの作成を行いながら、日々各スマートデバイス向けアプリケーションの開発に従事。Windowsストアアプリ開発コミュニティ「Windows 8 Developers」もやってます。
株式会社ソニックス スマートデバイスソリューション事業部
板前から転身したエンジニア。iOS開発歴3年。今は自社クラウドサービス「Scirocco Cloud」の開発を日々行っています。趣味は醤油工場めぐり。
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