人気急上昇中のシンプルで高速軽量なWebアプリケーションフレームワーク、FuelPHPについて学ぶイベントをレポートする
FuelPHPはCodeIgniterの流れをくみ、PHP 5.3以上で動作する、シンプルかつ柔軟で高速軽量なWebアプリケーションフレームワークです。日本でも昨年から人気急上昇中で、東京では昨年、有志のメンバーを中心に2回の勉強会が開催されました。いずれも大盛況で、注目度の高さがうかがえる勉強会になりました。
第3回目となる今回の勉強会では、参加者全員で勉強会を盛り上げたいと考え、ゲスト講演3本のほか、参加者によるLT(ライトニングトーク)大会を行いました。LT大会では13名の有志が、FuelPHPに関係するLTを披露しました。場所は、渋谷マークシティのサイバーエージェントで開催しました。
【参考】勉強会については以下のページをご覧ください。
FuelPHPの日本語参考書といったらこれ! と、もはや定番になっている、ソーテックから発売中の『FuelPHP入門』の著者、QRA Networksの早川聖司さんが、『FuelPHP入門』出版に至るまでの経緯や苦労話、裏話などを話しました。
早川さんはPHPのフレームワークの1つであるCodeIgniterを利用したWeb制作やAndroid向けアプリケーション開発の傍ら、技術書を執筆しています。FuelPHPとの出会いは2011年後半で、HMVC対応やFormクラス、Fieldsetクラスの使いやすさ、Restコントローラ、Templateコントローラの標準実装が気に入ったそうです。
しかしながら、当時はPHP5.3以上というFuelPHPの動作要件を満たす環境を用意できない場合や、既存の開発案件に新しいフレームワークを導入するのは受注開発をメインで行う上でハードルが高いなどの理由があり、業務での利用はまだ早いと感じられていたそうです。
そんな中、2011年12月22日、ほかの案件で付き合いのあった出版社の担当編集者にFuelPHPの入門書を執筆したらどうかとメールで企画提案したところ、即日で企画が通り本格的な執筆が始まったそうです。
早川さんは、プログラミング書籍の執筆が10年以上ぶりだったこと、MVCフレームワークを扱う関係でその解説が難しかった点、長くなり過ぎないように実用的な解説ソースを作成することに苦労した点、CodeIgniterに比べコアクラスにバグが多く存在したため、回避策の検討に苦慮した点などを語りました。最も苦労したのは、執筆が一段落し校正を行っていた2012年のゴールデンウイーク付近で、FuelPHP Ver1.2がリリースされたことだそうです。書籍自体はFuelPHP Ver1.1に準拠して執筆していたため、Ver1.2に関する内容はコラムという形で注記し、無事に出版できたそうです。出版後は、Amazonのレビューを非常に気したそうで、レビューのコメントに一喜一憂しながらもそれなりに受け入れていただけたのではと、執筆直後の思いを語りました。
書籍出版から1年、FuelPHPはVer1.2からVer1.5にバージョンアップしており、開発環境についても整備が進んでいると説明し、例としてNetBeansプラグインを紹介しました。また、FuelPHPで開発され現在、日本語化が進んでいるCMSであるNOVIUS OSにも触れました。
早川さんの発表資料はこちらから閲覧できます。
shoakagiさん(blog:あかぎメモ)が、FuelPHPのドキュメント翻訳活動について話しました。
FuelPHPの公式ドキュメントについては有志により日本語翻訳作業が進められています。shoakagiさんはFuelPHP勉強会 東京 vol.1、vol.2のときにもドキュメント翻訳についての講演を行っており、今回は最新の翻訳状況を説明するとともに、翻訳作業にかかわったことがない人向けに、翻訳作業のやり方や注意点が説明されました。
FuelPHPの原文ドキュメントはGithubで管理されています。そのため、誰でも自由に加筆修正が可能になっています。日本語ドキュメントはNEKOGETさん(ネコネットデザイン事務所)のGithubレポジトリで管理されています。
2012年9月時点のドキュメント翻訳者は約6名、今年1月から2月にかけて開催されたFuelPHP 1.5 翻訳ウィークでは、約12名が翻訳に携わっています。翻訳ウィーク中はGithubへのPull Request件数が100件を超えており大盛況だったと振り返りました。
講演の中で説明された、ドキュメント翻訳の手順と注意点について簡単にまとめます。
手順
(1)GithubのNEKOGET/FuelPHP_docs_jpリポジトリをfork
(2)forkしたリポジトリをローカルブランチにclone
(3)ローカルに作業用ブランチを作成
(4)和訳実施
(5)変更点をadd&commitして自分のリモートブランチにpush
(6)GithubからPull Requestを実施
shoakagiさんの資料は以下のURLで公開されています。Githubの使い方なども丁寧に解説されていますので、ドキュメント翻訳に興味関心がある方はぜひご一読ください!
http://www.slideshare.net/akagisho/lets-translate-fuelphp-docs-reloaded
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