メールシステムのバックエンドに大容量分散ストレージを、センドメール米Scalityの分散ストレージシステムとのコネクタを開発

センドメールは4月17日、メールストアサーバ「Mailcenter Store」と分散ストレージシステム「Scality Ring Organic Storage」のネイティブ接続が可能なコネクタ「MC Connector」を開発した。

» 2013年04月17日 12時59分 公開
[高橋睦美,@IT]

 センドメールは4月17日、メールストアサーバ「Mailcenter Store」と分散ストレージシステム「Scality Ring Organic Storage」のネイティブ接続が可能なコネクタ「MC Connector」を開発したことを発表した。Scality Ring Organic Storageと組み合わせたパッケージの形で、同日から販売を開始する。

 Mailcenter Storeは、メッセージ配送サーバ(MTA)とPOP/IMAPサーバ、専用データベースによるメールストアを統合した電子メール製品。これに、最大でエクサバイト級のストレージシステムを構築できるScality Ring Organic Storageおよびコネクタを組み合わせることで、大容量のメール環境の基盤をISPなどに提供する。

 Scality Ring Organic Storageは、独自に開発したKVS(キーバリューストア)を活用した分散ストレージシステム。Linux(Red Hat Enterprise Linux 6/CentOS 6)上で動作する専用ソフトウェアを導入することで、汎用IAサーバを「ノード」として利用できるようになる。各ノードはP2Pで接続し、論理的に1つの「リング」構造を取る。マスターノードやインデックスを持たないため、単一障害点が発生しないこと、ノードの追加に伴ってリニアに容量、性能が向上することなどが特徴だ。各ノードを地理的に離れた場所に分散配置することで、ディザスタリカバリにも対応できる。

 さらに、Scality Ring Organic Storageの開発元であるScalityは、もともとメールシステムを開発していたことから、データのサイズやアクセスの特性など、メールシステム特有の要件を把握した上で設計されていることも特徴という。Scality Ring Organic Storageは元々、Amazon S3互換のAPI(REST)のほか、Webアプリケーション、POSIXベースのファイルシステムとの接続用コネクタを提供してきたが、新たにMailcenter Store用のコネクタを提供することで、大規模なメールシステムでの導入を容易にした。

 センドメール社長の末政延浩氏によると、多くの通信事業者やISPにとって、メールというサービスは大きな差別化の要因とはなりがたく、一方で切り捨てるわけにはいかない悩ましい存在。その中で、いかにコストや管理負荷を抑えながら、メールストレージ容量の拡大を図るかが課題になっているという。

 Mailcenter StoreとScality Ring Organic Storageの組み合わせは、これを解決する手段になるといい、すでに米国やヨーロッパの通信事業者が採用している。価格はオープンプライスだが、参考価格は20TBのScality Ring Organic Storageが360万円から、MC Connectorのライセンス価格は年額280万円となっている。

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