BLU Accelarationは、これらのキーとなる技術全てを組み合わせることで、処理を高速化する。今回のBLU Accelerationで採用されている技術は、さまざまな特許で保護されており「他社が追随しようとすれば、他のアルゴリズムを開発することになります。ですから、DB2の優位性は長い間続くと考えています」とヴィンセント氏は自信を見せる。
さらに、BLU AccelerationではこれらがDB2の1機能として実現している。アプリケーションからは、BLU Accelerationのテーブルは、これまでのDB2のテーブルと同じに見える。そのため、データベースの管理においても、BLU Accelerationだからと特別なことは必要ない。通常のバックアップ処理で運用できるし、BIツールなどからのアクセスも既存テーブルと変わらない。また通常のテーブルとBLU Accelerationのテーブルを、ジョインし検索することも可能だ。
現状では、BLU Accelerationが設定されたテーブルには、バッチで値をロードすることが想定されている。これにはDB2標準の機能だけでなく、Informaticaなどのサードパーティ製品も利用可能だ。SQLでのINSERT、DELETE、UPDATEにも対応し、差分更新もできる。
「当面は、データマートなどの1日に1回程度の更新頻度データを念頭に置いています。今後はさらにこの技術が利用できるワークロードを拡大していく計画」とのことだ。
また、ヴィンセント氏はクラスタ機能である「pureScale」の拡張もエキサイティングだと言う。内部的な改良を加え、可用性、拡張性がさらに向上していることから、「拡張性は競合他社の2倍。これは追随できるものではありません」と断言。
pureScaleの可用性ではHADR(High Availability Disaster Recovery)に対応した。自動でフィジカルログを渡せるようになったことで、ログシッピングを独自に行っているような場合には、かなり有効だ。
災害対策については、さらに大きな拡張がある。「Geographically Dispersed. DB2 pureScale Clusters(GDPC)」だ。「実はこれが、今回のDB2で最も興味深いものかもしれません」とヴィンセント氏。
これは、地理的に相当程度離れたサーバノード間で、pureScale構成をとれるというもの。「例えば、都市間、具体的には70km以内であれば、1つのデータベースインスタンスに見えます」(ヴィンセント氏)
このGDPCにより、完全にアクティブ/アクティブのディザスターリカバリー構成が実現できる。ノード間接続には、InfiniBand、あるいはEthernetが利用できる。
さらに、JSONデータタイプのサポートも、エキサイティングだとヴィンセント氏は言う。JSONはドキュメントフォーマットであり、JavaScriptから利用できることもあり人気がある。スキーマレスであるため、素早く開発が行える。データモデルがいらないので、開発の際にいちいちDBAとやりとりする必要もない。このように簡単に素早く利用できるため、JSON型で扱えるMongoDBやCouchDBなどの新しいデータベースがいま注目を集めている。
とはいえ、CouchDBなどにはトランザクション機能がない。今回DB2にMongoDBライクなAPIを追加したことで、JSON型のデータを扱えるようにした。これにより、JSONでもDB2の提供するトランザクション処理や可用性を使えるようになった。
取材の最後にヴィンセント氏は、今後のデータベース選定の在り方、データベース開発に携わるアーキテクトとして、示唆に富んだコメントを残してくれた。
「ビッグデータの時代になりNoSQLが注目されたが、むしろリレーショナルデータベースの重要性は増すでしょう。これまではトランザクション性能、スケーラビリティ向上といったことに終始してきましたが、これからはデータを活用できるかどうかです。そういう意味では、ゲームチェンジが起こっています。データベース選定の基準が変わり、機能比較ではなく、いかにしてデータを使えるようにできるかがポイントになると思います」(ヴィンセント氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.