東大とNTTコム、スマホを用いたO2Oの実証実験インターネット接続とデジタルサイネージを同時提供

東大とNTT Comは、無線LANアクセスによるインターネット接続サービスを提供するとともに、スマートフォンやタブレットPCに対して、イベント情報などをリアルタイムに配信する実証実験を5月3〜5日に実施する。

» 2013年05月02日 17時48分 公開
[藤本和彦,@IT]

 東京大学(東大)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、無線LANアクセスによるインターネット接続サービスを提供するとともに、スマートフォンやタブレットPCに対して、イベント情報などをリアルタイムに配信する実証実験を5月3〜5日に実施する。O2Oを取り入れたマーケティング戦略の有用性などを検証する。

 NTT Comは、東大で研究開発されたアクセスポイント仮想化技術に初期段階から着目し、2012年3月から東大と共同研究を推進している。今回の実証実験においては、ネットワーク仮想化対応の無線LANアクセスポイントでインフラを構築。ネットワーク仮想化技術を用いることで、インターネット接続用プロトコルのほか、情報配信サービス用のビーコン信号を使った通信「BeaconCast」と呼ばれるプロトコルも同時に処理可能にしている。これにより、無線LANアクセスサービスを提供すると同時に、同じアクセスポイントから情報配信・情報収集の付加価値サービスを提供することを可能にした。

 BeaconCastとは、東大が新規開発したプロトコルで、電波が混雑した状況でもアクセスポイント上から近隣の不特定多数の利用者に認証なしで同報を行う情報通信形態である。このほか、デジタルサイネージの発信者が利用するコンテンツ作成配信システムと利用者がコンテンツを受信するスマートフォンアプリケーションも新規開発された。

 実証実験は、2013年5月3〜5日に東京国際フォーラムで開催のイベント「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」で行われる。イベント来場者は、貸与された端末(200台)を利用して、場内に配置されたアクセスポイントからインターネットに接続できると同時に、イベント情報などデジタルサイネージ配信を受け取ることができる。

 東大とNTT Comは、この実証実験を通じて、「ネットワーク仮想化対応のアクセスポイントにより、無線LANのインターネットアクセスサービスと付加価値サービスが同時利用できること、BeaconCastプロトコルにより、電波が混雑した状況においてもアクセスポイント上から近隣の不特定多数の利用者に認証なしで確実に同報通信ができること、巨大イベントにおけるO2Oマーケティング戦略の有用性、について検証する」(東大とNTT Comのプレスリリースより)としている。

 今後の展開として、さらなるO2Oへの応用、災害時における緊急情報のブロードキャストへの適用、バックホール回線のトラフィック削減、トラフィックをデータマイニングすることで利用者の好みに最適化された広告を提供するアド・ターゲティング機能の開発など、同技術を幅広く商用化するためのビジネスモデルの検討を進める予定。

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