日本IBM、「IBM SmarterCloud Orchestrator」を国内発表クラウド環境の構築・管理を自動化

IBM SmarterCloud Orchestratorは、OpenStackとTOSCAに対応し、迅速で柔軟なクラウド環境の構築や管理のほか、クラウド上で稼働するアプリケーションの可搬性を確保するクラウド管理ソフトウェアだ。

» 2013年05月22日 17時38分 公開
[藤本和彦,@IT]

 日本IBMは2013年5月22日、企業におけるオープンクラウド環境の構築と管理を自動化するソフトウェア製品「IBM SmarterCloud Orchestrator」を発表した。大規模なクラウド環境を有する企業に対して、複数のクラウド間での連携やシステムの移行などを支援する。5月24日から販売を開始する。

日本IBMの高瀬正子氏

 IBM SmarterCloud Orchestratorは、仮想マシンやネットワーク構成からなるIaaSレイヤの管理に「OpenStack」を採用し、その上位層であるPaaSレイヤは「OASIS TOSCA」に準拠している。これらの標準規格に対応することで、迅速で柔軟なクラウド環境の構築や管理のほか、クラウド上で稼働するアプリケーションの可搬性を確保する。

 なお、日本IBMは今回の発表に先立つ5月13日にも、オープンクラウドの積極展開について発表しており、OpenStackやTOSCAといったオープンスタンダードを推進することで、IaaS/PaaSでのクラウド間の相互運用性を高めていく方針を表明している(関連記事:オープンクラウドに舵を切るIBM、OpenStack/TOSCAでIaaS/PaaSの相互運用性を強化)。

 日本IBM ソフトウェア事業 クラウド&スマーター・インフラストラクチャー事業部長 高瀬正子氏は、「クラウド環境の構築・運用においては、管理ツールは多く存在するが連携していない、ワークロードが最適化されていない、イベントトリガによる手続きに人手を要する、仮想マシンの増加によりクラウドリソースが枯渇する、異なるクラウド環境間の連携が難しい、といった問題点がある。IBM SmarterCloud Orchestratorがこれらの課題を解決する製品である」と記者会見で述べた。

 IBM SmarterCloud Orchestratorには、クラウド環境の構築や管理を自動化するオーケストレーション機能を実装している。また、この機能を利用するためのセルフサービスポータルも提供する。クラウド基盤の構築に必要なリソースやワークロード、サービスなどの資源要素は、ポータル画面上からアイコンなどを組み合わせるGUI操作のみで行える。クラウド構成の作成やプロビジョニングなどの作業は自動で行われる。

 クラウド基盤の資源管理に必要な承認ワークフローも、ポータル画面からGUI操作のみで作成、自動化することができる。事前に必要な構成や設定情報を組み合わせた自動化パッケージも複数用意される。

ワークフローの設計イメージ

 加えて、作成したクラウドの構成や設定の情報は、セルフポータルサービス上で、仮想イメージ(IaaS)と仮想パターン(PaaS)としてカタログ化し、管理できる。仮想イメージ/パターンは、単体および複数の仮想イメージ/パターンを組み合わせた自動化パッケージとしてデプロイすることで、他のクラウドと共有し、クラウド環境の連携や複製、拡大などを行える。

 パターンや導入手順のナレッジは、IBMの「マーケット・プレイス・ポータル・サイト」で、IBMや同社ビジネスパートナー、他のユーザー企業のベストプラクティスを共有できる。

 IBM SmarterCloud Orchestratorを導入するメリットについて、高瀬氏は、1)ベンダロックインの排除によるユーザー企業のコスト最適化、2)OSやアプリケーションのパターン化による迅速なクラウドサービスの提供、3)ユーザー企業の業務プロセスに合わせたワークフローとUIの設計、プロビジョニングの自動化、の3点を強調した。

 価格は、上記機能を備えた通常版が8万6835円/1コア(税込)、監視機能と課金用メータリング機能を追加したエンタープライズ版が16万4115円/1コアとなっている。

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