6月12日より開催中のINTEROP TOKYO 2013では、多様なSDN(Software Defined Networking)製品が展示されている。SDNはデータセンター事業者や通信事業者だけのための話ではない。企業がデータセンター/クラウドサービスを自在にあやつるためのツールにもなる。
6月12日より開催中のINTEROP TOKYO 2013では、多様なSDN(Software Defined Networking)製品が展示され、SDN ShowCaseでは、20のテーマで実際にこうした製品が動作している姿を見ることができる。
SDNはデータセンター事業者や通信事業者だけのための話ではない。企業がさまざまなデータセンター/クラウドサービスの一部ネットワークセグメントを、自在に自社のデータセンターネットワークに組み込めるようになることを意味する。別の言い方をすれば、ネットワークがサーバ、ストレージと一体化し、企業が社外の各種データセンター/クラウドに対して、自社のデータセンターを自在に拡大、縮小できるということだ。一部のITベンダは「Software Defined Data Center(SDDC)」という言葉を使い始めているが、それはまさに、企業のデータセンターの境界が、現状のように物理的な場所で規定されるのではなく、ソフトウェアで論理的に規定できるようになるということにつながる。
一部のクラウドサービスでは、ユーザー企業がVPNで接続できるようになっている。そのいい例はAmazon Web Services(AWS)のAmazon VPCだ。NTTコミュニケーションズも6月11日、「Bizホスティング Enterprise Cloud」サービスで、ヴイエムウェア(旧Nicira)の技術を採用し、VPN機能を提供すると発表した。VPN接続にかかわるネットワーク設定作業を、ユーザー企業もクラウドサービス事業者も、意識する必要がないことが望ましいし、そうなるほどSDN的だ。
ただし、これには次がある。ユーザー企業がやりたいのは、個々のクラウドサービス事業者のITリソースを、自社データセンターのITリソースの一部として使えることだけではない。複数のクラウドサービスを自在に併用し、あるいはその時々の判断によって新たなクラウドサービスに移行できることが、最終的には望ましい。現在の状況では、クラウドサービス事業者の併用や移行がやりにくい。
これをSDN的にいえば、SDNコントローラがユーザー企業側になければならない。クラウドサービス事業者だけでなく、ユーザー企業がSDNコントローラを持ち、サーバやストレージと一体的に運用できるようにしたうえで、自社のコントロールのもとに、複数のクラウドサービスを自在に活用できるようにならなければならない。
SDNはデータセンター事業者や通信事業者だけのための話ではない。企業がクラウドサービスを使いこなすためのツールになっていくというのが、今後の進化の1つの形だ。
SDNについて、極力技術的な詳細を排除した解説を、「SDN、非エンジニアが知るべき最小限の知識」にまとめていますので、ぜひご覧ください。
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