次のパネラーは、グーグルの山崎富美氏(Fumi)。「日本の開発者コミュニティは世界に例を見ないほど素晴らしい」という観点から意見が出ました。
この日の午前中、Web標準のテストスイートを作成するイベント「Test the Web Forward」が開催されていたのですが、今回のイベントでは全体で609個のテストケースが書かれ、世界記録が樹立されたと発表されました。参加者の高いスキル・習熟への好奇心・参加者同士の助け合いといった要素が相まって、この記録が作られたそうです。
そのうえで、「みんなの力を集めることで成功事例を作っていけるのでは?」という提案が山崎氏からありました。世界のコミュニティを数多く知っている山崎氏は「日本のコミュニティは本当に素晴らしい。1日に50個以上のIT勉強会が開催されたり、Android Bazaar and Conferenceでは、3800人の参加イベントをボランティアベースで開催されるのは世界でも例を見ないこと。それはすごいことだと自覚し、自信を持ってほしい」と強調します。
グーグルは、ある特定の技術に興味を持った開発者が集まり共同開発する「コードラボ」というを取り組みを行っています。日本で開くコードラボでは、チューター・参加者がお互いに助け合い、良いサイクルが回っており、そこからJSXのように世界に誇るアクティビティも生まれているそうです。W3Cへの貢献もそのような助け合いの精神から生まれることで、世界での日本の存在感が爆発的に増していくだろうと山崎氏はまとめました。
3番目のパネラーはW3CのHTML Working GroupなどでActivity Leadを務めるマイケル・スミス(Michael Smith)氏。「問題こそがWeb進化の原動力」との見解を示しました。
W3Cでの仕様化の第一歩は、まず現在の問題を知ることから始まります。その問題に対し、さまざまな解決策が議論され、仕様としてまとめられていきます。従って、W3Cの立場として欲しいのは解決策ではなく「問題点」ということです。
「普段開発を行っていく際に、ブラウザに機能がないために代替え策を講じたり、不満を感じることもあるでしょう。その際は、ぜひそれを伝えてほしい」「ブラウザに積まれている機能の中には、失敗だったものもあります。localStorageやApplication Cacheはその典型。失敗だったことを知ることで、Indexed Database(ちょっと使いづらいですが……)といった新しい仕様が生まれました」(スミス氏)といった重みのある発言がありました。
とにかく問題があったら、それをフィードバックしてほしいとのこと。それらの問題点こそが、次世代のWebを作り上げることになるとスミス氏は協力を求めました。
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