日本のWeb開発者がW3Cの標準化にどう貢献していけるのか。国内外の著名人によるパネルセッションで、熱い議論が交わされた。本稿ではその模様をお伝えする。
W3C(World Wide Conthothium)の海外中心メンバーと日本人Web開発者の交流イベント「W3C Developer Meetup - Tokyo 2013」が2013年6月8日に都内で開催されました。
その中で、「Japanese developers contributing to W3C standards(日本のWeb開発者がW3Cの標準化にどう貢献していけるか?)」と題したパネルセッションでは、熱い議論が交わされました。パネラーは国内外の著名人による大変豪華な顔ぶれ。それぞれの意見や提案はとても貴重なものばかりでした。
本稿ではその模様をお伝えします。
まず、モデレーターを務めた筆者、小松健作(NTTコミュニケーションズ)より、パネルセッションの趣旨について説明します。
筆者は日ごろの業務でW3Cの標準化活動にかかわりつつ、HTML5コミュニティ(html5j)を運営しています。そして、その活動を通じWeb開発者のアクティビティの高さや力を肌で感じています。その力を、Webの国際標準化にもっと向けることができれば、日本とW3Cは共にもっとハッピーになれるはず。そんな想いから、このパネルセッションを企画しました。
「W3Cへの貢献」というと「Webの新たな仕様を書くこと!?」と難しく考えがちですが、実際はもっと身近です。例えば、次のように明日からできることはたくさんあります。
何よりも大切なことは、こういった活動を行うに当たり「国際的な視野を意識的に持っていること」です。そのような観点から、5人のパネラーから意見をいただきました。
最初のパネラーは、html5jでリーダーを務める白石俊平氏(オープンウェブ・テクノロジー)。高いモチベーションを持つことが重要との意見が挙がりました。
白石氏が、コミュニティ運営の中で最も気を使っているのは「メンバーみんなのモチベーションを上げること」とのことです。W3Cへの貢献でも、「モチベーションをどのように上げていくかが重要な鍵」と指摘しました。モチベーションは大きく2つに分けられ、「ボランティアとしてのモチベーション」と「ビジネスとしてのモチベーション」があると話します。
「ボランティアとしてのモチベーション」については、Test the Web Forward(後述)などコミュニティ主導の活動が進められており、この流れを継続していくことが大切と説きます。「ビジネスとしてのモチベーション」については、日本製ブラウザが少ないこともあり、いろいろと困難な側面もあるが、「日本発でW3Cの仕様を作り、それがビジネスに大きな影響を及ぼす」流れを作っていくためには、努力しなければならないと語りました。
また、「モチベーションを阻害する考えを持たないようにする」ことも大切とし、例えば「大企業の文化を変えられない」「英語が苦手だから」といったネガティブな考えを持たず、「僕らは世界を変えられる!」というポジティブな思考でモチベーションを保ち続けてほしいと白石氏は締めくくりました。
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