次期Server OSであるWindows Server 2012 R2のプレビュー版の配布が開始された。仮想化機能などが強化された、その概要を解説する。
2012年9月にWindows Server 2012の発売が開始されてからまだ1年も経っていないが、もう次のバージョン、「Windows Server 2012 R2」の情報が公開され、同時にプレビュー版の配布も始まった。今回はこのプレビュー版の速報をお伝えする。
Windows Server 2012 R2は、Windows Server 2012のバージョンアップ版として開発が進んでいる。先日Preview版が公開され、誰でもダウンロードして評価できるようになった。
Windows Server 2012 R2は現行のWindows Server 2012のマイナー・バージョンアップとなる製品である(バージョン番号はWindows Server 2012の6.2から6.3になる予定)。機能的にはWindows Server 2012の各機能をリファインしたものになり、大幅な機能追加はないが、全体的には仮想/クラウド対応の強化(Azure Pack)やネットワーク機能の強化(SDN)、パフォーマンス改善や生産性向上などを特徴とする。詳細は以下のページが詳しい。最終製品版の正式なリリース時期や製品構成などはまだ発表されていない。ただ、Windows 8.1よりもいくらか早くリリースされるようである。
以下に主要な機能改善点・追加機能などをまとめておく。
機能カテゴリ | 内容 |
---|---|
iSCSI関連 | ・VDHXベースのiSCSIターゲットの改善 ・iSCSIターゲットの最大セッション数の強化 |
SMBプロトコル | ・スケールアウト・ファイル・サーバにおける、自動的なクライアントとのロードバランシング ・小規模I/O負荷に対するパフォーマンスの改善 ・クラスタ化した仮想マシンにおけるVHDXファイルの共有(クラスタ共有ボリュームやSMBスケールアウト・ファイル・サーバでのVHDXの利用) ・SMB 3.0を使ったHyper-Vのライブ・マイグレーション ・SMBの使用帯域の制限 ・(機能制限)SMB 1.0は今後廃止に |
Windows展開サービス | ・PowerShellサポートの追加 |
Active Directory | ・AD FSにおけるアクセス制御要素の拡張、ほか |
DFS名前空間とDFS複製 | ・PowerShellサポートの追加 ・破損データベースの修復 ・ステージング・ファイル・サイズの調整 |
DHCP | ・クライアントのFQDNなどに基づいたDNS登録のためのDHCPポリシーのサポート ・DNSのPTR登録の許可/拒否オプションのサポート ・PowerShellサポートの追加 |
DNS | ・ゾーン・レベル統計値のサポート ・PowerShellサポートの強化 |
フェイルオーバー・クラスタ | ・共有VHDXファイルのサポート ・シャットダウン時の自動マイグレーション ・ネットワーク切断時の自動マイグレーション ・動的Witness ・クラスタ管理を容易にするクラスタ・ダッシュボード |
グループ・ポリシー | ・IPv6サポートの強化 ・起動時間を短縮するポリシー・キャッシング |
Hyper-V | ・共有VHDXファイルのサポート ・仮想マシン実行中の仮想ディスクの動的リサイズ ・ストレージQoSのサポート ・仮想マシンの世代1/2のサポート ・セッション・モードの拡張(USBやスマート・カードを含む各種ローカル・デバイスのサポート) ・仮想マシンの自動アクティベーション |
IPAM | ・役割ベースのアクセス制御 ・仮想アドレス空間の管理 ・外部データベースのサポート |
リモート・デスクトップ | ・セッション・シャドウイング ・オンラインデータ重複除去 ・DirectX11.1サポート |
Windows PowerShell 4.0 | ・バージョンは4.0に ・Save-Helpによるヘルプのダウンロード、ほか |
Windows Server 2012 R2 Essentials | ・ドメインのメンバ・サーバとしての導入のサポート ・OEM構成に基づく実機もしくは仮想マシンへの導入のサポート ・サーバの役割の1つとしても導入可能 ・ユーザー・グループのサポート ・クライアントごとではなく、ユーザーごとのファイル履歴のバックアップ管理 ・Offcie 365統合 |
Windows Server 2012 R2の主な新機能 |
Windows Server 2012 R2のPreview版は以下のページからダウンロードできる。Windows Server 2012 R2以外に、SOHO/スモール・ビジネス向けサーバ「Windows Server 2012 R2 Essentials」のプレビュー版、システム管理用ソフトウェア「System Center 2012 R2」のプレビュー版、次期データベース・サーバ「SQL Server 2014」のCTP1(技術評価版)、クラウド管理用パッケージである「Windows Azure Pack」のプレビュー版も同時にダウンロードできる。ダウンロードするにはMicrosoftアカウントが必要なので、あらかじめ作成しておくこと。
ダウンロードしたい製品のリンクをクリックすると、各Preview版のダウンロード・ページに移動するので、バージョン(ISOイメージかVHDファイル)を選択後、[今すぐダウンロードする]をクリックする。するとダウンロードする言語(日本語版か英語版かの選択)などを指定するプロファイル画面が表示されるので、適切なものを選択する(VHDは英語版のみ)。初回のダウンロードの場合だけ、ダウンロード・マネージャ(Akamai NetSession Interface)のインストールを要求する画面が表示されるので、インストーラをダウンロード後、インストールしておく。
ダウンロードしたISOファイルは、そのままDVD-Rに焼いたり、USBメモリに書き込んだりして利用する(TIPS「Windows 7のインストールUSBメモリを作る(Windows 7 USB/DVD Download Tool編)」)。仮想環境にインストールする場合は、ISOファイルをそのまま仮想マシンにマウントすればよい。
Preview版のインストールに必要なキーはダウンロード・ページに記述されているので(JGXYY-7NMTC-MHKY3-QCC9B-VQRG7)、それを使う。Windows Server 2012 R2 Preview版のHyper-V上の仮想マシンにインストールする場合は、そのページに記述されている「仮想マシン自動ライセンス認証キー:XVNRV-9HTX4-TH2JD-HVJQD-QRQWG」を使用する(「Automatic Virtual Machine Activation[英語]」も参照)。このWindows Server 2012 R2 Preview版は2014年1月15日まで利用できる。
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