ネットアップ、「clustered Data ONTAP」新版で性能・機能を底上げ今後のストレージはクラスタ構成が当たり前

ネットアップは7月11日、同社ストレージの最新OS、「Data ONTAP 8.2」の国内販売開始を発表した。拡張性を向上するとともに、きめ細かなクラスタ構成機能や高度なQoS機能を搭載。ビジネスとしてのクラウドストレージサービスにも使いやすくなっている。

» 2013年07月11日 19時18分 公開
[三木 泉,@IT]

 ネットアップは7月11日、同社のストレージOSの新バージョン「clustered Data ONTAP 8.2」の国内リリースを発表した。

 同社マーケティング本部 本部長 ダニエル・ハンソン氏は、8.2を待っていた国内ユーザーが多く、ユニファイドストレージ「FASシリーズ」の販売に弾みがつくと話す。また、同社のストレージOSはこれまで「Data ONTAP」との名称のもとに、スケールアウトが可能な「Cluster-Mode」、従来型の「7-mode」の2種の動作モードを提供してきたが、clustered Data ONTAPへの名称変更により、Cluster-Modeの推進にリソースを集中するという。7-modeは8.2でも残っているが、今後は顧客に対し、積極的に勧めることはない。

ノンストップ性能向上、QoS機能も強化

 clustered Data ONTAP 8.2における、おそらく最大の機能強化ポイントは、ノンストップオペレーションの実現。これは、新たにコントローラ単位でのクラスタリング機能を搭載したために可能になった。従来は、あるストレージノードで2つのコントローラを動かしていても、片方のコントローラを通っているトラフィックをもう一方のコントローラに引き継がせることができなかった。このため、計画メンテナンスの場合もストレージノードをいったんダウンさせるしかなかった。clustered Data ONTAP 8.2では、ストレージノードをダウンさせずにメンテナンスができるようになった。

ネットアップの基本テーマは変わらない。NAS/SAN双方に対応した単一OSで、共通の豊富なデータマネジメント機能を提供することだ。今回のOS新バージョンでは効率性、拡張性、安定性、制御性などをさらに強化した

 同じ理由で、従来はCluster-Modeを利用するために最低2ノードが必要だったが、1ノードからでも使えるようになった。また。2ノード構成では、別途ネットワークスイッチを用意することなく相互接続できるようになった。

 QoS機能の強化点は、IOPSあるいはMB/sで指定できるようになったことにある。ファイル、ボリューム、LUN、論理テナント空間を単位として指定が可能。サービス事業者は、自社のストレージサービスで、IOPSやスループットに応じた課金ができることになる。この機能はNASでもSANでも利用できる。「将来は遅延に基づくQoSも実現する」と、米ネットアップのData ONTAP/管理製品グループ 戦略/プロダクトマネジメント担当バイスプレジデント、ジョン・フレデリクセン(John Frederiksen)氏は話した。

米ネットアップ Data ONTAP/管理製品グループ 戦略/プロダクトマネジメント担当バイスプレジデント ジョン・フレデリクセン氏

 また、SnapVaultを使ったストレージ装置間バックアップでは、重複排除とデータ圧縮を効かせたままネットワーク転送できるようになった。このため、消費ネットワーク帯域を減らすことができる。

 拡張性も高まった。SANストレージとしての利用ではこれまで最大4ノード構成が可能だったが、これが8ノードに拡大。最大4万9000個のLUNを作成できるようになった。NASとして使う場合には24ノード構成が可能となり、1万2000個のボリュームを作成できるようになった。

「Software Defined Storageでも先行」を強調

なお、ネットアップは同時に、同社がSoftware Defined Storageについても先駆的な取り組みを行ってきたと説明した。SANとNASの双方について、ハードウェアリソースからデータアクセス/データサービスを分離して提供できる唯一のストレージソフトウェアがclustered Data ONTAPだという。

 clustered Data ONTAPは、専用ストレージ装置のFASシリーズだけでなく、ストレージ仮想化装置のVシリーズにも搭載されている。 Vシリーズでは他社ストレージ製品や汎用ストレージ製品を含めて単一のストレージリソースプールにまとめ上げ、その上で論理的な切り出しができる。さらにネットアップは、「Data ONTAP Edge」という、仮想マシンとして動作するソフトウェアオンリーの製品も提供している。ONTAP Edgeは最大容量こそ20TBに限定されるものの、どこにでも配置できるメリットがある。当初はリモートオフィスでの利用を想定していたが、最近ではクラウドサービス(IaaS)上で使うユーザーが増えているという。


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