Windows 8.1(Preview版)の変更点や新機能を開発者視点で紹介。Windows 8用に作られたWindowsストア・アプリにはどんな影響があるのか?
Windows 8.1のPreview版が一般に公開された。バージョンが0.1上がっただけのマイナー・チェンジのように思われるかもしれないが、Windowsストア・アプリ開発者にとってはメジャー・バージョン・アップというべき大きな変化がある。
今回と次回は、アプリの計画にさえも影響を与える大きな変更点をまず解説する。また、その変更が、Windows 8用に作られたWindowsストア・アプリに及ぼす影響も見ていく。そして最後に、Windows 8.1 Previewで強化された機能や新機能を紹介する。コードは全てC#で記述する。
先月開催されたマイクロソフトの開発者向け年次カンファレンス「Build 2013」において、Windows 8.1 PreviewとVisual Studio 2013 Previewが公開され*1、ダウンロードも可能になった*2。
本稿では、これらのPreview版に基づいて解説していく。正式な製品版のリリースはまだ先のことであり、Preview版は製品版と異なる可能性もあることをご理解いただいたうえでお読みいただきたい。また、Preview版で開発したアプリは、本稿執筆時点ではWindowsストアに登録できないことにもご注意いただきたい*3。
本稿では、次の略称を使用する。
なお、本稿で示すC#のサンプル・コードは、VirtualBox*4上で64bit版Windows 8.1 Pro Previewを動かし*5、Visual Studio Ultimate 2013 Previewを使って動作を確認した。
*1 関連記事:「「Build 2013」レポート:Azureのサービス強化、Windows 8.1プレビュー、Bing Developer Services……「Build 2013」ダイジェスト」、「Windows 8レボリューション:第20回 GUIを改善したWindows 8.1 Preview」
*2 本稿執筆時点では、次のURLから入手できる。
・Windows 8.1 Previewhttp://windows.microsoft.com/ja-jp/windows-8/preview
・Visual Studio 2013 Previewhttp://www.microsoft.com/visualstudio/jpn/2013-preview
なお、Preview版であるから不具合も少なからずあることを承知して試していただきたい。Win 8.1のIMEは入力できないことがあるし、VS 2013が作成するプロジェクトのStringsフォルダの下にあるフォルダは「ja-JP」であるべきところが「en-US」になっているなど、使い始めればすぐに気付く不具合もある。
*3 本稿執筆時点では、Win 8.1ストア・アプリの登録開始日も未定のようである。参考:「there are no specific dates regarding the submission process」(2013/6/26, Prashant H Phadke, Microsoft)
ただし、8月後半にWin 8.1 RTM(製造工程向けリリース)がOEMへ提供されると報道されていることから、一般ユーザーへの提供もそれほど遠くないと予想される。一般ユーザーへの提供時には、Win 8.1ストア・アプリの登録も可能になっているはずだ。
*4 オラクルのVirtualBoxは、https://www.virtualbox.org/から入手できる。最新版(4.2.16以降)でWindows 8.1に対応したようだ。
*5 64bit版のWindows 8.1はCMPXCHG16B(マイクロソフトの表記では「CompareExchange128」)というCPU命令を使うため、ちょっと古めの64bit CPUではインストールできないことがあるので注意してほしい。なお、VirtualBoxの以前のバージョンではこの命令が無効になっているが、コマンドラインからの操作で有効にできる(筆者のブログ記事を参照)。
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