大きく変わるWindowsストア・アプリ開発 〜 ビュー状態に関連する変更点特集:次期Windows 8.1&Visual Studio 2013 Preview概説(前編)(2/6 ページ)

» 2013年07月19日 16時57分 公開
[山本康彦,BluewaterSoft]

Visual StudioとWindowsストア・アプリの関係

 本題に入る前に、VS 2012/VS 2013とWindowsストア・アプリの関係を整理しておこう。下に示す表のようになる。

 VS 2012で新規にWindowsストア・アプリを作成すると、Win 8ストア・アプリになる。Win 8ストア・アプリは、Win 8でもWin 8.1でも動作する。

 VS 2013で新規にWindowsストア・アプリを作成すると、Win 8.1ストア・アプリになる。Win 8.1ストア・アプリはWin 8.1でしか動作しない。

 VS 2012で作成したWindowsストア・アプリのソリューションやプロジェクトを、VS 2013で開いて編集/ビルド/デバッグ実行できる※A。ただし、次に述べる「Retarget」をしないことが条件だ。また、VS 2013で作業をした後で再びVS 2012で編集/ビルド/デバッグ実行できる。この場合に作成されるアプリは、Win 8ストア・アプリだ。

 VS 2012で作成したWindowsストア・アプリのソリューションやプロジェクトを、VS 2013で「Retarget」してWin 8.1ストア・アプリ用に変換できる*6。多くのケースでは手作業での修正も必要になるだろうが、Win 8ストア・アプリのコードを、Win 8.1ストア・アプリ用に変換してくれるのだ。RetargetするとVS 2012では編集/ビルド/デバッグ実行できなくなる。

ストア・アプリの種類 Win 8上 Win 8.1上
Win 8ストア・アプリ 動作する 動作する
Win 8.1ストア・アプリ 動作しない 動作する
Windows 8のバージョンと、Windowsストア・アプリの関係

Visual Studioのバージョン Win 8ストア・アプリ Win 8.1ストア・アプリ
VS 2012 作成可、編集可 作成/編集とも不可
VS 2013 編集可※A、Retarget可 作成可、編集可
Visual Studioのバージョンと、Windowsストア・アプリの関係
表中の「編集可」というのは、本文にあるように「編集/ビルド/デバッグ実行できる」という意味だ。

*6 Retargetについては、後述する。

※A 2013/08/26追記。VS 2013 Expressでは、Win 8アプリのプロジェクトをそのまま編集することはできず、「Retarget」が必須になる。そのまま編集可能なVS 2013は有償版(Professional、Premium、Ultimate)に限られる。お詫びするとともに、訂正させていただきたい。


アプリの計画に関わる2つの大変更

 Windowsストア・アプリ開発者は、この2つの変更をしっかり把握してほしい。アプリのプランニング(要件定義)にまで関わってくる大変更なのだ。

 1つは、ビュー状態の廃止である。Win 8ストア・アプリでのメインの画面と付随するスナップ画面という主従関係がなくなり、Win 8.1ストア・アプリでは複数のアプリが対等の関係で画面上に並ぶようになる。さらに、ビューの幅もユーザーが自由に変更できるようになる。全画面から最小幅(後述)の間の任意のサイズできちんと機能するように画面のレイアウトを設計しなければならないのだ。

 2つ目は、検索機能が検索チャームからアプリ内に移動することだ。Win 8ストア・アプリでは、アプリ内の検索機能を呼び出すために検索チャームを使え、と言われてきた。Win 8.1ストア・アプリでは、アプリ内に検索ボックスを設置せよと、大きく方向転換されるのだ。

 今回はこの大きな変更の第1点であるビュー状態の廃止について詳しく見ていく。検索チャームに関連する変更点については次回紹介しよう。

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