トレンドマイクロは11月5日、企業向けのファイル共有ソリューション「Trend Micro SafeSync for Enterprise」を発表した。企業内に置いたストレージに保存したファイルを社内外で共有でき、利便性と安全性を両立させるソリューションを目指す。
トレンドマイクロは2013年11月5日、企業向けのファイル共有ソリューション「Trend Micro SafeSync for Enterprise」を発表した。企業内に用意したストレージ製品と組み合わせ、安全性と利便性を両立するファイル共有サービスを実現するソフトウェア製品で、ポリシーを無視して利用されることの多かった個人向けのファイル共有ツールからの乗り換えを目指す。
現在ファイル交換の方法としては、オンラインストレージやUSBメモリなど、多くの方法が利用されている。しかも、そのほとんどは企業のポリシー、ルールにかかわらず、個人向けのサービスを業務でも使っていることが多いという。ITR User Viewコンテンツ管理2013の調査によると、仕事でも個人向けオンラインストレージを利用していると答えたのは43.5%と高いが、利用に関する規定があるかどうか分からないと回答したのが半数を超える状態であるとの結果が出た。またIT管理者は、従業員がオンラインストレージを利用しているかどうかを把握できておらず、万が一データの漏えいが起きたとしても、所在や流れが把握できない状況だ。
トレンドマイクロでは業務で利用するデータを手軽に共有したいという従業員のニーズと、重要な電子データを安全に管理したいというIT管理者のニーズを満たすものとして、オンプレミスでのファイル共有ソリューション、Trend Micro SafeSync for Enterpriseを提供する。企業内に置いたストレージに対して、社内メンバーがアクセスできるチームフォルダを設定し自動的に暗号化する、社外取引先に共有する、ファイル共有情報の一元管理が行えるなどの機能を持つ。ユーザーアカウントはActiveDirectory連携が可能であり、企業向け機能も強化している。
Trend Micro SafeSync for Enterpriseでは、ファイルサーバの特定のフォルダを「チームフォルダ」として設定すると、このフォルダに保存されたファイルが自動的に暗号化される。チームメンバーであれば、PCからでもiOS/Androidからでもこのファイルへのアクセスが可能となる。
また、ファイルに対して共有用の公開URLが設定できる。万が一誤ったメール送信先にこのURLを送ったとしても、正しい権限がなければアクセスできない。
トレンドマイクロではOutlook向けのプラグインを用意しており、メールで送信する際に実ファイルを添付するか、URLへのリンクにするかを選択できる。添付ではなくURLリンクにすることで、メールサーバの保存容量を節約できるとしている。また、管理コンソールではユーザーごとの容量や、チームフォルダのコントロール、またファイルの共有状況などを一括して確認できる。
トレンドマイクロ ビジネスマーケティング本部 ソリューションマーケティング部 マネージャー 坂本健太郎氏は「いままでファイル共有サービスはSaaSで提供されているものが多かった。利便性も重要だが、企業としてデータを管理できるかも重要。そのため、あえてオンプレミス、ソフトウェア型で提供する」と述べる。
製品開発ポリシーとしてユーザーの利便性を下げず、安全性を保つということを掲げ、「USBメモリを禁止するような企業が多かったが、私たちはアクセス制御、セキュリティを確保した上で、便利なものは使おうという考え方で製品開発を行っている。この製品についても、ファイル共有を利便性を下げずにデータの安全性を保っていくというポリシーで作っている」(坂本氏)と述べた。
Trend Micro SafeSync for Enterpriseは11月27日より発売で、1アカウントあたり2960円(1000ライセンス/初年度)。1ユーザーあたり複数のデバイスを持っている場合でも1アカウントとして扱う。
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