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» 2013年11月15日 18時00分 公開

クラウド基盤としての“Hyper-V”Windows Server 2012 R2登場(2)(2/3 ページ)

[山市良,テクニカルライター]

仮想マシンの稼働率とサービス品質を向上

 Windows Server 2012 R2のHyper-Vには、細かな点を含めると多くの新機能が盛り込まれた。ここでは仮想化基盤やクラウド基盤としての改善点、新機能に注目してみたい。

 物理ハードウェアからOSを切り離すことができるのは、仮想化の特徴でありメリットでもある。少数のサーバ上で複数のOSを同時実行することによる、ハードウェア使用効率の向上はそれをよく表している。物理ハードウェアからの分離は、その上で動作する仮想マシンやアプリケーションの可用性の向上も容易にする。仮想化基盤の可用性を高めれば、その上で稼働する全ての仮想マシンの可用性をまとめて向上できるからだ。ライブマイグレーションを用いて、稼働中の仮想マシンを別のサーバにダウンタイムなしで移動できるので、物理ハードウェアのメンテナンスは業務に影響を与えることなく、いつでも実施できる。

 Hyper-Vはこれまで、Windows Server 2008 R2において、仮想ハードディスクのホットアド/ホットリムーブ、クラスタ環境(ホストクラスタ)でのライブマイグレーションといった機能を備えた。さらにWindows Server 2012では、スナップショットのオンライン結合、非クラスタにおける仮想マシンや記憶域のライブマイグレーションに対応し、「Hyper-Vレプリカ」や「クラスター対応更新」機能の提供など、仮想マシンの稼働率向上につながる機能を標準機能として次々に実装してきた。

 Windows Server 2012 R2では新たに、稼働中の仮想マシンのライブエクスポート、仮想ハードディスクのオンラインリサイズ、Windows Server 2012のHyper-V環境からのクロスバージョンライブマイグレーションを可能とした。これらの新機能を活用することで、仮想マシンや仮想化基盤のメンテナンスとアップグレードのために仮想マシンを停止する必要性はさらに減少し、システム全体の稼働率を大きく向上できるはずだ。

クロスライブマイグレーションは、Windows Server 2012 Hyper-V上の仮想マシンを、Windows Server 2012 R2のHyper-V上に稼働中のまま移行する(画像クリックで拡大表示)

 仮想化基盤の可用性の向上は仮想マシンの稼働率は高めるが、仮想マシン上で動作するアプリケーションの稼働率やサービス品質を改善する余地はまだ残っている。Windows Server 2012では、クラスタ上の仮想マシンのハートビートに加えて、ゲストOSで稼働中のサービスのエラー状態やイベント発生を監視して、仮想マシンのフェールオーバー(別ノードでのリセット)を開始できる。Windows Server 2012 R2では、さらに仮想ネットワークの接続性状態を監視できるようになった。

 複数の仮想マシンを使用してフェールオーバークラスタを構成すると、仮想マシン上のアプリケーションの可用性を高めることができる。Windows Server 2012 R2では、仮想ハードディスクを共有できるようになり、1つの仮想ハードディスクを複数の仮想マシンに同時接続し、クラスタのための共有ストレージ(ゲストOSはSAS接続の共有ディスクとして認識)として利用できるようになる。これまでのようにゲストクラスタ用にiSCSIやファイバーチャネル接続のSANストレージを準備しなくても、手軽にゲストクラスタを作成できるようになる。ただし、仮想ハードディスクの共有は、ホストクラスタのクラスタ共有ボリューム(CSV)、またはスケールアウトファイルサーバ(Windows Server 2012以降の機能)に配置されている必要がある。つまり、仮想ハードディスクの共有を利用したゲストクラスタは、可用性の高い仮想化基盤や記憶域と組み合わせて利用する必要がある。

仮想ハードディスクの共有を利用したゲストクラスタの構成。共有設定する仮想ハードディスクは、クラスタの共有ボリューム(CSV)またはスケールアウトファイルサーバに配置する(画像クリックで拡大表示)

 少数の物理ハードウェアに、仮想化によって複数のOSを集約すると、リソース使用の適切な割り当てがポイントになってくる。例えば、一部の仮想マシンの高い負荷が他の仮想マシンの処理性能に影響を与えるのは問題である。Hyper-Vはこれまで、プロセッサの予約、動的メモリ、ネットワーク帯域幅管理(ネットワークQoS)といったリソース制御機能を提供してきた。Windows Server 2012 R2では、仮想ハードディスクのサービス品質管理(ストレージQoS)が追加され、仮想ハードディスクに対するIOPSの最大性能の強制と最小性能の予約が可能になる。

Linuxを“ほぼ”フルサポート

 Hyper-Vはその登場当初から、ゲストOSとしてのLinuxのサポートに積極的である。Linux用のHyper-V統合サービスのソースコードはLinuxコミュニティに提供され、現在は、GPLv2ライセンスに基づいて公開されている。また、このHyper-V統合サービスはLinuxカーネルの標準ドライバツリーに統合されており、比較的新しいLinuxディストリビューションにはLinux用のHyper-V統合サービス(Hyper-Vドライバ)が組み込まれている。そのため、Hyper-V仮想マシンにLinuxをインストールすれば、追加のコンポーネントなしでHyper-V上で最適化されて動作するようになっている。

 Linux用のHyper-V統合サービスの機能は着実に向上したが、動的メモリやVSS(Volume Shadow Copy Service)ライブバックアップには対応していなかった。特に、VSSライブバックアップに対応していないことは、実運用環境への導入を阻む制約となっていただろう。今後提供される新しいLinux用のHyper-V統合サービスでは、ついに動的メモリとVSSライブバックアップへの対応機能を備える。また、VGAに制限されていたグラフィックス機能も、フルHD対応の高解像度ビデオドライバの提供で改善される。これらの機能は、2013年6月に提供が開始された「SUSE Linux Enterprise Server 11 SP3」にすでに実装済みである。その他のLinuxについては、新しいバージョンに組み込まれるか、各Linuxディストリビュータの更新サービスを通じて提供されることになるだろう。

最新のLinux用Hyper-V統合サービスは、動的メモリとVSSライブバックアップに対応した。これまではバックアップ実行時に、ボリュームスナップショットを作成するにはLinux仮想マシンを一時停止状態にする必要があった(画像クリックで拡大表示)

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