指定したフォルダー内の画像をスライド形式で表示させるには2カ月で160本作った還暦開発者が送る10のアプリ開発ノウハウ(5)(2/2 ページ)

» 2013年11月18日 18時00分 公開
[薬師寺国安,PROJECT KySS]
前のページへ 1|2       

ロジックコードを記述する(MainWindow.xaml.vb)

 次に、[ソリューション・エクスプローラー]内のMainWindow.xamlを展開して表示される「MainWindow.xaml.vb」のコードを記述する。

 ここでは、コードが長くなるため、コードを一部省略している。全てのコードはサンプルをダウンロードして「MainWindow.xaml.vb」ファイルで確認してほしい。

Option Strict On
‘ ファイルの閲覧、開くファイルの選択、名前、拡張子、ファイルの格納場所の選択を行うことのできるクラスの含まれる、
’ Windows.Storage.Pickers名前空間をインポートする。
Imports Windows.Storage.Pickers
‘ ファイル、フォルダーおよびアプリケーションの設定を管理するクラスの含まれる、
‘ Windows.Storage名前空間をインポートする。
Imports Windows.Storage
‘ コンテキストメニューおよびメッセージダイアログのサポートを提供するクラスの含まれる、
‘ Windows.UI.Popups名前空間をインポートする。
Imports Windows.UI.Popups
‘ 遷移アニメーション、表示状態、またはアニメーションUIのコンポーネントに、アニメーションおよび
‘ ストーリーボードAPIを提供するクラスの含まれる、Windows.UI.Xaml.Media.Animation名前空間をインポートする。
Imports Windows.UI.Xaml.Media.Animation
Public NotInheritable Class MainPage
    Inherits Page
‘ BitmapSource型のリストであるメンバー変数imageFileを宣言する。
    Private imageFile As List(Of BitmapSource)
    Private index As Integer = 0
    Private myCount As Integer = 0
‘ フォルダーとその内容を操作し、その状況を提供するStorageFolderクラス型のメンバー変数myFolderを宣言する。
    Private myFolder As StorageFolder
‘ 要素の厳密に型指定(この場合IStorage型)された、読み取り専用のコレクションを表す、
‘ IReadOnlyCollection(Of IStorageFile)型のメンバー変数myFileCollectionsを宣言する。
    Private myFileCollections As IReadOnlyCollection(Of IStorageFile)
リスト2 MainWindow.xaml.vb(一部抜粋)

 以降、MainWindow.xaml.vbの主要なメソッドについても、解説する。

[フォルダーを選択]ボタンがタップされた時の処理(folderSelectButton_Clickメソッド処理)

    Private Async Sub folderSelectButton_Click(sender As Object, e As RoutedEventArgs) Handles folderSelectButton.Click
        index = 0
        Try
            Dim myFolderPicker = New FolderPicker
            myFolderPicker.SuggestedStartLocation = PickerLocationId.PicturesLibrary
            myFolderPicker.FileTypeFilter.Add(".jpg")
            myFolderPicker.FileTypeFilter.Add(".png")
            myFolder = Await myFolderPicker.PickSingleFolderAsync
            myFileCollections = Await myFolder.GetFilesAsync
            myCount = myFileCollections.Count
            imageFile = New List(Of BitmapSource)
            For Each result In myFileCollections
                Dim myBmp As New BitmapImage
                myBmp.SetSource(Await result.OpenReadAsync)
                imageFile.Add(myBmp)
            Next
            countTextBlock.Text = index + 1 & "/" & myCount
            ImageSlide(index)
        Catch
            Exit Sub
        End Try
    End Sub

 以降、上記コードの中身を詳細に見ていこう。

 まず、非同期処理が行われるため、メソッドの先頭にAsyncを追加する。

 次にユーザーがフォルダーを開いて選択できるようにするUI要素を表す、新しいFolderPickerのインスタンス、myFolderPickerオブジェクトを作成する。

 フォルダー・ピッカーがユーザーに示すフォルダーを検索する際の初期位置を設定する、SuggestedStartLocationプロパティに、PicturesLibraryを指定する。フォルダー・ピッカーが表示するファイルの種類を指定するFileTypeFilterで、「.jpg」と「.png」を指定しておく。

 指定方法は、jpgを例にとると、「myFolderPicker.FileTypeFilter.Add(".jpg")」というコードにし、「("*.jpg")」ではないことに注意してほしい。

 PickSingleFolderAsyncメソッドで、ユーザーがフォルダーを選択できるようにfolderPickerオブジェクトを表示する。

 GetFilesAsyncメソッドでフォルダー内のファイルを取得し、メンバー変数myFileCollectionsで参照しておく。

 Countプロパティでフォルダー内のファイルの個数を取得し、メンバー変数myCountに格納しておく。

 BitmapSource型のリストである、新しいインスタンス、imageFileオブジェクトを作成する。

 コレクション・メンバー変数myFileCollections内のファイルを、変数resultに格納しながら、以下の処理を行う。

 新しいBitmapImageのインスタンス、myBmpオブジェクトを作成する。SetSourceメソッドに、「Await result.OpenReadAsync」と指定して、ランダムアクセス用のストリームを開き、myBmpオブジェクトに、BitmapSourceのソースイメージを設定する。

 BitmapSource型の新しいリストであるimageFileオブジェクトに、AddメソッドでmyBmpオブジェクトを追加する。

 「何枚目中何枚目の画像か」を表示するcountTextBlockに、1ずつ加算されるメンバー変数indexとmyCountの値を、文字列「/」で連結して表示する。

 画像をスライド表示するImageSlideメソッドを実行する。引数として、1ずつ加算されるメンバー変数indexの値を渡す。

画像をスライドして表示させるImageSlideメソッド処理

 この処理が今回のアプリの肝となる。プログラム上でストーリーボード処理を行う。

    Private Sub ImageSlide(ByVal Index As Integer)
        If Image2.Source Is Nothing Then
            Image2.Source = imageFile(0)
        Else
            Image1.Source = imageFile(myCount - 1)
            Dim myTranslateTransForm As TranslateTransform = DirectCast(Image2.RenderTransform, TranslateTransform)
            Image2.Source = imageFile(Index)
       ‘ これより以下の処理が今回の肝。ストーリーボード処理をプログラム上で実行する。
            Dim myDoubleAnimation As New DoubleAnimation
            With myDoubleAnimation
                .From = 600
                .To = 0
                .Duration = New Duration(TimeSpan.FromSeconds(2))
                .EasingFunction = New BackEase()
            End With
            Dim myStoryBoard As New Storyboard
            Storyboard.SetTarget(myDoubleAnimation, myTranslateTransForm)
            Storyboard.SetTargetProperty(myDoubleAnimation, "TranslateTransform.X")
            myStoryBoard.Children.Add(myDoubleAnimation)
            myStoryBoard.Begin()
            If Index <= 0 Then
                Index = 0
                prevButton.IsEnabled = False
            End If
            If Index >= myCount - 1 Then
                nextButton.IsEnabled = False
                Index = myCount - 1
            End If
            countTextBlock.Text = Index + 1 & "/" & myCount
            End If
    End Sub

 Image2コントロール(前面に表示される画像)のSourceプロパティに画像が指定されていない場合は、BitmapSource型のリストであるメンバー変数imageFileのインデックスが「0」の画像を指定する。そうでない場合は、以下の処理を行う。

 Image1コントロール(背面に表示される画像)のSourceプロパティにおいて、BitmapSource型のリストであるメンバー変数imageFileのインデックスに、myCountから-1した値の画像を指定する。背面には、指定したフォルダー内の、最後の画像が表示されることになる。

 Image2オブジェクトのTranslateTransformオブジェクトを取得する。TranslateTransformクラスは、2次元X、Y座標系内のオブジェクトを移動するクラスだ。

 新しいDoubleAnimationのインスタンス、myDoubleAnimationオブジェクトを作成する。Fromには「600」、Toには「0」、Durationには「2秒」を指定する。EasingFunctionプロパティでは、アニメーションに適用されるイージング関数を設定できる。ここでは「BackEase」を指定している。BackEaseクラスは、指定されたパスのアニメーションを開始する直前に、逆の動きを与えるイージング関数を表す。

 新しいStoryboardのインスタンス、myStoryBoardオブジェクトを作成する。SetTargetメソッドでタイムラインにDoubleAnimationのインスタンスであるmyDoubleAnimationオブジェクトを指定して、タイムラインの対象になるオブジェクトに、TranslateTransformとして宣言したmyTranslateTransformオブジェクトを指定する。

 SetTragetPropertyメソッドで、タイムラインにDoubleAnimationのインスタンスである、myDoubleAnimationオブジェクトを指定して、アニメーション化するプロパティに、"TranslateTransform.X"と指定する。X軸に沿ってオブジェクトが水平移動する。

 Storyboardのインスタンス、myStoryBoardオブジェクトにAddメソッドで、myDoubleAnimationオブジェクトを追加する。

 BeginメソッドでStoryboardを実行する。

 引数として渡されたIndexの値が、0か0より小さい場合は、「←(前)」アイコンの使用を不可とする。

 引数として渡されたIndexの値が、指定したフォルダー内のファイルの個数を格納しているmyCount-1と同じか大きい場合は、「→(次)」アイコンの使用を不可とする。

 何枚目中何枚目の画像かを表示する、countTextBoxに1ずつ加算されるメンバー変数indexと、myCountの値を、文字列”/”で連結して表示する。

「←(前)」アイコンがタップされた時の処理(prevButton_Clickメソッド処理)

    Private Sub prevButton_Click(sender As Object, e As RoutedEventArgs) Handles prevButton.Click
        nextButton.IsEnabled = True
        If index <= 0 Then
            index = 0
            prevButton.IsEnabled = False
            Exit Sub
        Else
            index = index - 1
            ImageSlide(index)
        End If
    End Sub

 「→(次)」アイコンの使用を可能にする。メンバー変数indexが0か0より小さい場合は、「←(前)」アイコンの使用を不可とし、処理を抜ける。そうでない場合は、メンバー変数indexを1ずつ減算し、そのindexの値を引数にImageSlideメソッドを実行する。

「→(次)」アイコンがタップされた時の処理(nextButton_Clickメソッド処理)

    Private Sub nextButton_Click(sender As Object, e As RoutedEventArgs) Handles nextButton.Click
        prevButton.IsEnabled = True
        If index >= myCount - 1 Then
            nextButton.IsEnabled = False
            index = myCount - 1
            Exit Sub
        Else
            index = index + 1
            ImageSlide(index)
        End If
    End Sub

 「←(前)」アイコンの使用を可能にする。メンバー変数indexが指定したフォルダー内のファイルの個数を格納している「myCount-1」と同じか大きい場合は、「→(次)」アイコンの使用を不可とする。そうでない場合は、メンバー変数indexの値を1ずつ加算し、このindexの値を引数にImageSlideメソッドを実行する。

次回は、カメラの画像に、何か音声のコメントを付けて保存し、再生させる

 今回はここまでだ。また次回の記事でお会いしよう。次回は、カメラからの画像に、何か音声のコメントを付けて保存し、再生させる

関連リンク

本コンテストでは、2013年9月1日〜12月1日に新たにWindowsストアに新規公開されたアプリを募集します。入賞したアプリの製作者には、総額130万円の賞金が授与されますので、ふるってご応募ください。

著者プロフィール

PROJECT KySS 薬師寺 国安(やくしじ くにやす)

1950年生まれ。フリーVBプログラマ。高級婦人服メーカーの事務職に在職中、趣味でVBやActiveXに取り組み、記事を執筆。2003年よりフリー。.NETやRIAに関する執筆多数。Windowsストアアプリも多数公開中(約270本)。

 

Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。

Microsoft MVP for Development Platforms - Windows Phone Development(Oct 2012-Sep 2013)。

Microsoft MVP for Development Platforms - Client Development(Oct 2013-Sep 2014)。

PROJECT KySSは、1997年に薬師寺聖と結成したコラボレーション・ユニット


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

AI for エンジニアリング
「サプライチェーン攻撃」対策
1P情シスのための脆弱性管理/対策の現実解
OSSのサプライチェーン管理、取るべきアクションとは
Microsoft & Windows最前線2024
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。