以上でサーバ側の設定が完了したので、次はクライアント側の設定を行う。
ワーク・フォルダへアクセスするには、Windows 8.1のコントロール・パネルで[システムとセキュリティ]−[ワーク フォルダー]を起動し、[ワーク フォルダーのセットアップ]をクリックする。
上のリンクをクリックするとメール・アドレスを入力する画面が表示されるので、メール・アドレス形式(正確には「UPN形式」。TIPS「Windowsネットワークにおけるユーザー名とドメイン名の指定方法」参照)でユーザー名とドメイン名を入力する。
あらかじめActive Directoryである特定の属性を設定していなかったり、「workfolders.<ドメイン名>」の名前解決ができないなど、設定によっては上記の形式では接続できないことがある。その場合はサーバ名を直接指定するURL形式で入力する。
ドメインに参加していないクライアントや、非ドメイン・アカウント(ローカル・アカウント)でサインインしているPCから接続しようとすると、どのユーザー・アカウントでワーク・フォルダを使用するかを決定するために「Windows セキュリティ」画面が表示されるので、ドメインのユーザー名とパスワードを入力する。
いずれにしろ、正しく接続できると次のような画面が表示される。httpsの設定が正しくない(ルート証明書が正しく登録されていない)などの問題がある場合は、エラーとなり接続できない。
次の画面では、ワーク・フォルダのコピーをローカルのどこに保存するかを指定する。内容を確認後、[次へ]をクリックするとセキュリティ・ポリシーの確認画面が表示される。
内容を確認後、チェック・ボックスをオンにして[ワーク フォルダーのセットアップ]をクリックすればクライアント側の準備は完了である。もしサーバ側にすでにファイルがあれば、ローカルへコピーするなどの処理が行われる。
ワーク・フォルダはエクスプローラでは次のように表示される。
ワーク・フォルダの実体はローカルのフォルダなので、ほかのフォルダと同様に高速に読み書きできる。内容が変更されれば、適当なタイミングを見計らってサーバ側へ通知され、同期処理が行われる。そのとき、サーバ側でデータが更新されていれば(ほかのクライアントがデータを更新するとこのような状態になる)、その内容をローカルに反映させる処理も行われる。ローカル側で何も変更が行われていなくても、デフォルトでは10分に1回はサーバ側へ更新がないかどうかを問い合わせるようになっているが、エクスプローラで右クリックしてポップアップ・メニューから[今すぐ同期]を選べば、すぐに同期処理を開始できる。
ワーク・フォルダの同期処理では、ローカルとサーバ側の内容が完全に一致するように処理される。ローカルでファイルを更新したらサーバ側でも更新されるし、ローカルでファイルを削除したりリネームしたりすると、それがサーバ側にも反映され、さらには、そこに同期しているほかのクライアントにも反映されることになる。
同期処理の状態はコントロール・パネルのワーク・フォルダで確認できる。
これはクライアント側の管理画面だが、サーバ側では次のように表示される。
各ユーザーの同期処理の状態は、ユーザー名のプロパティ画面で確認できる。
今回は、Windows 8.1とWindows Server 2012 R2の組み合わせで実現できるワーク・フォルダについて簡単に見てきた。複数のワーク・フォルダ・サーバとプロキシ・サーバを組み合わせてユーザーのアクセスを振り分けたり、グループ・ポリシーを使って自動的にWindows 8.1クライアントにワーク・フォルダをセットアップしたりもできるが、それらについては割愛する。
Windows OSにおいて、クライアントとサーバ間でフォルダの内容を同期させる技術はいままでもいくつかあったが(「オフライン・ファイル」や「同期センター」など)、同期する項目をいちいち指定しなければならないなど、いまひとつ使い勝手がよくなかった。それと比べるとこのワーク・フォルダはユーザー側では何も指定する必要がなく、単にローカルのファイルやフォルダと同じように扱うだけでよいので簡単である。ほかのユーザーと共有するような使い方はできず、各ユーザーのファイルを複数台のクライアント・デバイス間で同期させることしかできない。そのため、よく使う作業用ファイルだけを選んでワーク・フォルダに入れるなど、その特性を生かして使えば有用なツールとなるだろう。
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