OpenStackは、はるか昔に「オープンソース・プロジェクト」という形容を大きく超えた活動になっている。OpenStack FoundationのCOOであるマーク・コリアー(Mark Collier)氏と、同組織のエグゼクティブ・ディレクターであるジョナサン・ブライス(Jonathan Bryce)氏に、現在の課題や今後の計画を聞いた。
OpenStackは、はるか昔に「オープンソース・プロジェクト」という形容を大きく超えた活動になっている。OpenStack FoundationのCOOであるマーク・コリアー(Mark Collier)氏と、同組織のエグゼクティブ・ディレクターであるジョナサン・ブライス(Jonathan Bryce)氏に、現在の課題や今後の計画を聞いた。
OpenStackは、本記事執筆時点で131カ国の約1万3000人が関わる膨大な活動になっている。その活動の内容も多様だ。OpenStack Foundationにおける最大の課題は、まさにここから来るとブライス氏は話す。
「コミュニティもソフトウェアも、非常に速いペースで動いている。このペースに対応し、確実に成長できるように図っていくことが最大の課題だ。例えばOpenStack Foundationでは、すべてのコードをテストするインフラを運営している。数千、数万のパッチがコントリビュータから出され、その数はどんどん増えている。コミュニティの拡大を支えるためには、テストのためのインフラも拡大し続けなければならない。OpenStack Foundation自体のスタッフは少数なので、コミュニティのメンバーと協力して、こうした課題に対処していかなければならない。だが、こうしたやり方が、OpenStackが世界中に広がってきた理由でもある」。
OpenStack Foundationの理事会(Board of Directors)にとっての2014年における優先事項の1つは、認定活動にある。ブライス氏は次のように説明した。
「理事会では、クラウド(サービス)が『OpenStackクラウド』と呼ばれるための要件を定義する活動に取り掛かっている。これに含まれるのは、OpenStackのどの部分がインストールされている必要があるか、どのAPIが提供されているかといった点だ。何が動いているかについてのテストスイートも用意しようとしている。その目標は、OpenStackをベースとしたクラウドが増えてきたとしても、ユーザーがこれらの環境で同じような機能が期待できるようにすることだ。ツールやワークロードが、別のOpenStack環境では動かないといったことを避けられるようにしたい」。
この作業は現在進行中で、2014年の早い時期には、すべての要件を定義し、テストを作り上げる予定だという。
一方、エンジニアのための認定試験も、2014年後半の開始に向けて準備中という。
「OpenStackの強みの1つは、参加者の地理的な多様性にある」とコリアー氏はいい、ブライス氏も「アジア太平洋地域の人たちにもっとリーチするために、この地域に来たかった」と話す。OpenStack Foundationは2013年11月、同組織が半年ごとに実施しているOpenStack Summitを初めて米国外(香港)で開催した。結果としてOpenStack Summit 2013 Hong Kongは約50カ国から約3000人を集めた。前回の米オレゴン州ポートランドにおけるOpenStack Summitでは35カ国であり、人数だけでなく参加国数という点でも、過去最大のサミットになった。アジア太平洋地域からの参加者は前回6パーセントだったものが、今回は45パーセントに達したという。
だがもちろん、OpenStack SummitだけがOpenStack Foundationの関わるイベントではない。2014年2月に日本OpenStackユーザ会が開催するOpenStack Days Tokyo 2014などのイベントを通じて、さらに多くのユーザーや開発者にリーチしていきたいという。
「日本には以前から、力強いOpenStackコミュニティが存在している。私たちが米国外でOpenStackについて話をしに行った最初の国は日本だ」(ブライス氏)。2012年にはNEC、そして2013年には日立がゴールドメンバーとして参加したことで、OpenStackを使う側、提供する側の双方での支持の広がりを実感しているという。
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