一介のエンジニアが人生の節目節目で考えたこと、今回は初めてリーダーを務め、失敗した話です。
こんにちは、松坂です。
「キャリアアップとは異なるキャリアの話」というコンセプトの下、前回は私が新卒のころの出来事を取り上げました。集団生活が苦手な大学生が、新卒で中堅の(わりとクラシックな風土の)システムインテグレーター(SIer)に入社し、独特の文化に馴染むために悩んだ話を書きました。会社はビジネスを目的とする組織なので、細かい規範や文化にはそれなりの背景があり、一つ一つ追いかけていけば、何となく筋道が分かる、ということでした。
今回はリーダーという職務について書きます。
リーダーという言葉は、会社によって使われる範囲が異なるのでなかなか難しいのですが、ここではプレーイングマネージャー的な意味で、現場サブリーダーからプロマネくらいまでを含みます。
私は子どものころ「協調性がありません」と通信簿に書かれていた口です。また、就職して1〜2年はプログラマーとして小さなプロジェクトを転々と移動していたために、チームを意識する機会もありませんでした。チームは個人の集合だと思っていましたし、リーダーは単なる意思決定責任者だと思っていました。
その辺りの考えに変化が起きたのは入社2〜3年目にかけて、リーダーを実際に担うようになったころです。きっかけとして思い浮かぶことが、2つほどあります。
1つは研修でリーダーシップやセルフマネジメントを学んだこと。そして、実際のプロジェクト内のチームリーダーを勤めて失敗したことです。
今回はその辺りの話を書こうと思います。
当時、私は別の会社に1人で常駐して仕事をしていました。並行して自社の小さなチームのリーダーも兼任していましたが、レポートライン上の中間点でしかなかったので、自分では「リーダー」や「マネージャー」という意識はほとんどありませんでした。
メンバーたちとは現場が違うのに部署単位でレポートラインが作られて、どうにも違和感がありました。定期的に目標設定などの面談をするのですが、どうも目的がピンとこない。自分でもよく分からないまま、
私「取りあえず部署の目標はこんな感じなので、ブレイクダウンしてこんな感じでやろう」
メンバー「でも、今の仕事ではこんなことやらないんですけど。達成できないと評価下がるんですよね」
私「では、ここの文言をこんなふうにしたらどうだろう。『実現しました』と言えなくもない」
このようなやりとりをするのですが、「これは意味がない気がするね」と互いに分かっているので、どうにも生温い雰囲気になるわけです。「このままでは、いかん」と上司の誰かが思ったのでしょうか、私は中堅社員向けの研修に突っ込まれました。
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