プライベートクラウドDBaaSを指向したOracle Exadata Database Machine X4DB集約・統合とサービス化に向けて

オラクルが「データベースアプリケーションのプライベートクラウドでの統合に最適」として、データベース専用マシンを発表。マルチテナントアーキテクチャ型データベースの利点を生かしながら、OLAP/OLTP混在環境でのパフォーマンスおよび信頼性向上を目指してハードウェア/ソフトウェアを刷新する。

» 2014年01月21日 15時46分 公開
[原田美穂,@IT]

 2014年1月21日、日本オラクルは同社の垂直統合型システム「Oracle Exadata Database Machine」の第5世代となる「X4」を発表した。2008年に第1世代となるV1をリリース、その後V2を、2010年にはX2として初めて「X」のラインアップを発表した。2012年のX3の後を受けてのリリースとなるため「4」の数字を持つが、第5世代の製品である。

 X4の特徴は、ハードウェアスペックが高まっているだけでなく、OSやファームウェアレベルで、データベース処理に最適化、高速化のためのチューニングが施されている点にある。

 Oracle Database 12c由来のCPUリソース管理や、Exadata側の高速・安定的なSQL処理を目的としたメッセージング処理、ネットワーク帯域最適化などの機能が盛り込まれている。

 「CPU、データベースアプリケーション、ネットワーク、ストレージの各リソースレイヤーで最適化を行っている」(同製品の開発責任者である米オラクル データベースサーバ技術担当 エグゼクティブ・バイスプレジデント アンドリュー・メンデルソン氏)

 X4では、フラッシュメモリ容量が44.8TBになり、同時にフラッシュメモリ向けの「Exadata Smart Flash Cache」では、12cが持つデータ格納の自動階層化機能を使い、ホットなデータのみをフラッシュキャッシュ領域に格納、格納時にインラインで圧縮を行う。特に非圧縮の表を対象とする場合、Advanced Row Compressionを使用すると「実質的には物理容量の約2倍、88TBのデータを格納できる」(メンデルソン氏)としている。

 また、Exadataの初期から提供しているデータベース側の機能だが、SQLクエリを受け付ける際、ストレージサーバー側にオフロードする機能を持っており、ストレージサーバー側で並列に処理を行った上で必要な行・列のみをデータベースサーバー側に返すことができる。

 深いクエリを投げた場合に起こり得る、CPUのパフォーマンス低下やそれに伴うシステムダウンのリスクを回避する目的もある。

 高速かつ大量のトランザクション処理とバッチ処理のように、複雑な構成のワークロードであっても、各々に対して自動的にパフォーマンス最適化を行えるDBaaSプラットフォームであるとしている。

 「データベースを集約し、プライベートクラウドにDBaaS環境を構築するのに最適なシステム」とし、「データベースクラウド」であると表現した。この環境を利用することで、データベースのオンデマンド・セルフサービス化も現実的なものであるとした。

 旧来のExadata Database Machineとの完全互換・相互運用性も確保している(データベースアプリケーションは11gR2および12cに対応)。

 日本国内での販売戦略については同社専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏から発表があった。壇上で、三井住友海上あいおい生命保険が契約業務管理システム刷新に際して、国内金融系企業で初めて同製品を採用したことを発表した。

このほか、ISVパッケージのExadata対応の状況については、SAPなどのグローバルなベンダーが既に対応している他、国産ERPパッケージベンダが認定アプリケーションとなったことを発表した。「SuperStream-NX(スーパーストリーム)」「ProActive E2(SCSK)」「COMPANY(ワークスアプリケーションズ)」の3製品だ。

 また、新たにExadata Database Machineを含む、同社の「エンジニアドシステム」のユーザーを対象に、通常保守費用の中でパッチ適用、サポート対応、障害検知の3つのサービスを提供することも発表した。

 この会見の冒頭では、昨年8月末に同社執行役社長となったデレク・エイチ・ウィリアムズ氏が登壇、SaaSアプリケーションの普及と併せてエンジニアドシステムおよびOracle Database 12cに注力していくことを、あらためて表明した。

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