セールスフォース・ドットコムとオラクルは、広範囲な提携を発表した。セールスフォース・ドットコムがオラクルのプラットフォームを採用する一方、オラクルが自社アプリケーションにセールスフォース・ドットコムのサービスを統合するという2つの要素で構成されている。
セールスフォース・ドットコムとオラクルは、クラウドのプラットフォームからアプリケーションにわたる広範囲な提携を発表した。
提携の内容は、セールスフォース・ドットコムがオラクルのプラットフォームを採用する一方、オラクルが自社アプリケーションにセールスフォース・ドットコムのサービスを統合するという2つの要素で構成されている。
クラウドプラットフォームに関しては、セールスフォース・ドットコムがOracle Linux、Exadata、Oracle Database、Javaミドルウェアプラットフォームを採用する計画。
アプリケーションの分野では、オラクルが人材管理アプリケーションのFusion HCM、およびFinancial CloudにSalesforce.comのサービスを統合する計画。
セールスフォース・ドットコムは創業当初から基盤のデータベースにOracle RACを採用してきたが、サーバのハードウェアにはデルを、ミドルウェアにはResin Java Application Serverを採用していた。今後はクラウドの基盤としてオラクルのExadataとソフトウェア製品を採用する。
一方のオラクルは、同社が提供する統合業務アプリケーションにおいてセールスフォース・ドットコムが提供するSFAやCRMなどと競合してはいるものの、そこを乗り越えて人材管理や財務管理などのアプリケーションとセールスフォース・ドットコムのサービスを統合することになる。
セールスフォース・ドットコムはクラウドの基盤的技術をこれまで以上にオラクルに依存することになり、一方でクラウド市場で出遅れているオラクルは、クラウドでのサービス展開にセールスフォース・ドットコムの力を借りるように見える今回の提携。かなり緊密な内容に見える。
オラクルCEOのラリー・エリソン氏と、セールスフォース・ドットコムCEOのマーク・ベニオフ氏は不仲だと言われてきた。
その発端が2011年のOracle OpenWorldだ。マーク・ベニオフ氏の基調講演が前日にオラクルによって勝手にキャンセルされ、ベニオフ氏は翌日レストランを急きょ借り切って自前の講演を実施。そこで「偽のクラウドに気をつけろ!」と、オラクルのExadataを引き合いに出して攻撃。
しかしその日の夕方に行われたラリー・エリソン氏の基調講演では、データが他のユーザーと混ざってしまうし、伸縮性もなく、独自言語のような偽のクラウドはどっちだ! と、今度はエリソン氏がセールスフォース・ドットコムの批判を繰り広げて反撃した、という経緯がある。
両者の不仲はここから続いていると思われていたが、2人はもともとオラクルの上司と部下。ベニオフ氏がオラクルを辞める際には、エリソン氏が「もしうまくいかなかったら帰ってくればいいよ」と、優しい声をかけていたほどの仲だった(マーク・ベニオフ著「クラウド誕生」p45)。
こうした関係があって、今回の緊密な提携へと発展したのではないだろうか。
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