日本IBMの2014年度のソフトウェア事業は「SMACS」に注力。このための施策として、パートナーと広く協業、エンドユーザーへの直悦的なアプローチも推進する考えを示した。
日本IBMは2014年2月4日、2014年度の事業戦略説明会を開催、次期の4つの注力分野を示した。
会見で登壇した日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏は、ソーシャル・モバイル・アナリティクス・クラウド・セキュリティ(SMACS:Social Mobile Analytics Cloud Security)領域への注力を挙げた。
SMACS領域への対応を拡大させるための施策として、まず、自社アプリケーション群のクラウド対応を挙げた。
ハイブリッドクラウドでは、オンプレミスクラウド環境向けの垂直統合システム「PureApplication」で提供している「パターン」の技術をSoftLayerにも適用させ、シームレスなハイブリッドクラウド環境運用の素地を提供していくとしている。
また、Business Process as a Service(BPaaS)として、「Business Process Manager on Cloud」「BLUWorks Live」といった業務プロセス定義や実行サービス、ワークフロー類の実行環境をパブリッククラウドで提供する。併せて「Business Process Manager Application Pattern」として、PureApplication System向けのパターンも配布する。
SaaS領域では「SmarterCloud for Social Business」として、ソーシャルプラットフォームを提供する。
DB2 10.5に盛り込まれたBLUアクセラレーションのテクノロジとCognos Business Intelligenceを統合してデータウェアハウスもクラウドで提供するという。早期アクセスプレビュー版を2014年2月まで無償提供するとしている。また構成管理用にEclipse Orionをベースにした「JazzHub」もクラウド提供を行っている。こちらは現在無償トライアル提供中だ。
またBlueMixでは、他社クラウドサービスを含めたソフトウェアスタックを操作すべくCloudFoundryの技術をベースにPaaS環境を実現する。
事業戦略を発表したマハジャン氏は「IBMのソフトウェアはインフラストラクチャニュートラル」であることを強調、全方位的にクラウド環境に対応していくことを示した。
次にWatson Foundationの活用推進を挙げる。「Watson」はIBMが研究を続けている人工知能エンジンのことだ。自然言語処理や機械学習などの技術を組み合わせており、人間同様に自然言語を解釈し、自然言語で適切な回答を導き出すことを目指している。米IBMでは、2014年1月9日にグローバルでWatson Groupの立ち上げを宣言したばかりだが、ここではWatsonを実現するテクノロジである、自然言語処理エンジンを稼働させるためのシステム基盤の整備を推進する、という意味合いで理解すると分かりやすいだろう。従来の企業内データ活用基盤整備ソリューション群を利用した最終形態、あるいは象徴としてのWatsonが掲げられた形だ。
さらにメッセージとして打ち出しているSystems of Engagement(企業内に蓄積されている既存の構造化データとM2MやIoTで語られる非構造化データとを有機的に結び付けるシステム)の実現が掲げられた。
これら全ての施策が冒頭のSMACS領域へのアプローチのための施策として行われる。
マハジャン氏は、「従来、日本IBMでは大手中心のビジネスを展開してきた。SMACS領域に注力するということは、従来よりも広く顧客を獲得していく必要がある。そのため、今後はパートナービジネスが重要になってくると考えている。加えて、事業部門のエンドユーザーにもアプローチしたい」と語った。
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