レッドハット、クラウド時代の新たな抽象化レイヤとしてDockerコンテナを推進Red Hat Summit 2014

米レッドハットは、4月15日より開催しているRed Hat Summit 2014で、Linux OSのパワーを改めて強調した。具体的には、物理サーバからクラウドまでの多様なインフラ環境をカバーする、アプリケーションのための統合プラットフォームとして、コンテナ型仮想化技術を推進していく取り組みを説明した。

» 2014年04月17日 08時50分 公開
[三木 泉,@IT]

 米レッドハットは、4月15日より開催しているRed Hat Summit 2014で、Linux OSのパワーを改めて強調した。具体的には、物理サーバからクラウドまでの多様なインフラ環境をカバーする、アプリケーションのための統合プラットフォームとして、Dockerとの提携に基づく、コンテナ型仮想化技術の推進について説明した。

 米レッドハットの製品およびテクノロジ担当上級副社長/プレジデントであるポール・コーミエ(Paul Cormier)氏は基調講演で、「ある仮想化ベンダの前CEO(注:前ヴィエムウェアCEOのポール・マリッツ氏のことだと思われる)が『従来型のOSは消え去った』と言ったが、それはLinuxには当てはまらない」とし、OSの存在価値がますます高まっていると話した。

ポール・コーミエ氏は、コンテナ仮想化による、アプリケーションのハードウェアからの分離のメリットを話した。

 「OSは、物理、仮想、プライベートクラウド、パブリッククラウドの融合の、本当の意味での推進力になっている」。同氏は、アプリケーションがすべての上に立つ、そしてアプリケーションに対して、単一の継ぎ目のない環境を提供できるのがOSだと話した。

 「アプリケーションは可搬性を求める」。現在広く行われているのは、仮想マシンの上にアプリケーションを構築し、運用すること。これによって、組織内の仮想化環境および各種のクラウドサービス間にまたがる可搬性は一応確保できる。ただし、仮想マシンの形式や導入エージェントが異なるため、変換などの手間が掛かることがある。また、フルにOSを含んだイメージはサイズが大きくなる。そもそも物理サーバを使いたいというニーズには対応できない。こうした問題を解決し、アプリケーション開発者と運用担当者の仕事を円滑化するために、コンテナ型仮想化技術が有効だというのがレッドハットの主張だ。

 レッドハットは2013年9月、Dockerとの提携を発表した。Red Hat Enteprise Linux(RHEL)の次期バージョンであるRHEL 7では、Dockerを優先コンテナ仮想化形式として組み込む。

 具体的には、次のような活動を行うという。

  • Fedora、CentOS、Red Hat Enterprise Linuxにまたがるプロジェクトとして、コンテナ型仮想化という用途に最適化した軽量ホストOSを開発する、「Project Atomic」を開始する。このコンテナホストOSでは、OS自体のアップデートやそのロールバックを、きめ細かく実行できる。
  • 米レッドハットは、Project Atomicに基づく製品、「Red Hat Enterprise Linux Atomic Host」を提供する。Red Hat Enterprise Linuxと並ぶ、別個の製品という位置付けだ。Atomic Hostは、Red Hat Enterprise Linuxにおけるハードウェア認定を継承する。
  • レッドハットは2014年3月、Dockerコンテナ形式でパッケージングされたアプリケーションの認定プログラムを開始すると発表した。
  • レッドハットは、OpenShiftのアプリケーションコンテナをDockerと統合、Dockerコンテナ形式でパッケージングされた認定アプリケーションをサポートする。
  • 米レッドハットのPaaS製品/サービスのベースとなっている「OpenShift Origin」内に、新規プロジェクトとしてGearDを創設。OpenShift上での、コンテナ型仮想化を活用したアプリケーションのデプロイメントや運用を支援する仕組みを開発する。これには、Gitなどとの連携により、ソースコードからアプリケーションコンテナの作成作業を簡素化する仕組みや、複数のコンテナホストにまたがるアプリケーションコンテナ間の接続やオーケストレーションを行う仕組みが含まれる。
Dockerの統合により、OpenShiftの機能やサービスは、急速な強化が可能になる。マルチコンテナ構成のアプリケーションを構築する環境も整ってくる

 「コンテナ技術はLinuxコミュニティにおいて、最もホットな技術の1つ。コンテナとして構築される機能やアプリケーションは、今後どんどん増えてくる。Dockerをサポートすることで、OpenShiftはこうしたコンテナを容易に活用できるようになる」とコーミエ氏は説明している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。