日本マイクロソフトは2014年4月18日、都内で「SQL Server 2014」の発売を記念して、イベントを開催。キーノートには米マイクロソフトのバイス プレジデントである沼本健氏が登壇し、「ビッグデータ活用を成功に導く鍵」と題した講演を行った。
日本マイクロソフトは2014年4月18日、都内で「SQL Server 2014 発売記念フォーラム」を開催した。冒頭のキーノートには、米マイクロソフト コーポレートバイスプレジデントの沼本健氏が登壇。「ビッグデータ活用を成功に導く鍵」と題した講演で、ビッグデータ活用における重要な要素として、「インメモリ機能」と「ハイブリッドクラウド」、そして「ビッグデータの民主化」を挙げた。
インメモリ機能については、「最新のSQL Server 2014ではコアエンジンにインメモリ機能が組み込まれた」と沼本氏は説明。既存のアプリケーションと高い互換性を持つ他、既存のハードウェアをそのまま活用してインメモリのパフォーマンスが実現できるよう設計されているため、新たにハードウェアを更新する必要もないという。
ハイブリッドクラウドについて沼本氏は、「マイクロソフトのプラットフォームは、データの発生場所や形式に関わらず、処理が可能な共通のアーキテクチャを備えており、オンプレミスのデータをクラウドで処理したり、クラウドのデータをオンプレミスで処理したりすることも可能だ」と述べた。中でも、SQL Server 2014とMicrosoft Azureの組み合わせは、クラウド上に災害対策サイトやバックアップを設定する手法が多くのユーザーから支持を得ているという。
ビッグデータの民主化については、多くのビジネスユーザーが使い慣れている「Excel」の「Power BI」機能により、誰もがビッグデータを活用できる環境を提供するという。沼本氏は、「いくらデータがあっても、組織やビジネスのインパクトに繋がらなくては意味がない。皆が実データに基づいて分析できるツールが必要で、そのためにPower BIを活用してほしい」としている。
沼本氏の次に登壇したのは、アイ・ティ・アール(ITR)のリサーチ統括ディレクター/シニア・アナリストの生熊清司氏。生熊氏は、ITRが2013年10月に実施したインメモリデータベースに関する市場動向調査から、「一部領域での導入も含め、回答者の23%は既に導入済みと答えている。また、1年以内に導入予定との回答が19%、具体的な取り組みを始めているとの回答が12%など、インメモリデータベースへの関心は非常に高い」と話す。
ただし、インメモリデータベースの導入には懸念点もあるという。ITRの調査によると、36.5%の回答者が運用管理コストの増加に対する懸念を抱いていたという。そのため生熊氏は、現在利用しているデータベースシステムとの互換性が高い製品を選択するようアドバイスしていたという。
しかし、SQL Server 2014のようにインメモリ機能が組み込まれた製品が登場した今では、「通常のデータベースにインメモリ機能が統合されている製品を選択すればよい」と語る。そうすれば「同じ開発環境を使うことができ、運用管理環境も変える必要はない。アプリケーションの作り替えも不要だ。データベースにビルドインされたインメモリがあれば、何も変えることなくそのメリットが享受できる」と生熊氏は説明した。
これまでインメモリデータベースは特殊な用途のみに使われていたが、インストールベースの多いSQL Serverの最新版にインメモリ機能が統合されたことで、「これからはインメモリを使うかどうかではなく、インメモリをいかに使うかが鍵になる」と生熊氏は述べた。
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