最近ではASP.NETを基盤として多様なフレームワークが開発されている。だが、小規模な業務アプリ開発において、これらは絶対に必要な存在ではない。本連載では、「素のASP.NET」を利用して、簡易的な業務アプリを開発する方法を紹介する。
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本連載では、部門コンピューティング(Excel+VBAで簡単な業務アプリを開発するようなこと)レベルの開発手法として、ASP.NETを利用した軽量Webアプリ開発を説明する。タブレットを利用した業務アプリのプロトタイプ実装や、Excel+VBAの業務アプリのWebアプリへの移行などの参考にしていただきたい。
なお本連載では、最小限のセットアップでWindowsを活用できるよう、可能な限りGUIツールを利用することなくコマンドラインとエディターのみで開発する方法を説明している。
ASP.NET MVCの発表以降、ASP.NETを取り巻くフレームワークの充実ぶりには目を見張るものがある*1。
*1 本サイトのASP.NET MVC入門【バージョン3対応】、ASP.NET Web API入門などを参照。
本記事は、それに対して悪くいえば逆張りをするものだ。つまり、ASP.NETを素の状態で利用してWebアプリを開発する方法について説明し、その利用を勧める。
素の状態のASP.NETといっても.NET Framework登場時から用意されていたポストバックを利用したフォームベースのASP.NET(ASP.NET Webフォーム)のことではない。本連載ではそれすら利用せず、直接ASPXファイルにプログラムを埋め込んだ開発方法を説明する(なお、本連載では個別のファイルの拡張子には小文字の「.aspx」を利用するが、ASP.NETの埋め込みHTMLファイルを示す場合はASPXと大文字で記述する)。
この開発方法を、コードビハインドによるDLLのコンパイルを伴わず、エディターのみで開発することから、ここでは「軽量ASP.NET開発」と呼ぶことにする。比較対象となるのは、フレームワークを利用しないPHPやRubyのWebアプリケーション開発だ。
なお本記事では、IIS 7.5以上、ASP.NET 4.5を前提とする。RDBとしてSQL Server Express 2008 R2を利用する。これらのコンポーネントは、Web Platform Installerを利用することで簡単にダウンロードとセットアップができる。
ただし、すでにこれらに準ずる環境が用意できるのであれば、Web Platform Installerを利用する必要はない。例えば、Windows 8.1であればコントロールパネルの[Windowsの機能の有効化または無効化]で[インターネット インフォメーション サービス]−[World Wide Webサービス]−[アプリケーション開発機能]−[ASP.NET 4.5]をチェックすることで、上記のうちSQL Server Express以外を用意できる。
またRDBについては、本記事ではWeb Platform Installerで取得しやすいことからSQL Server Express 2008 R2を例とするが、バージョンに依存した機能は利用しないので、2012などを利用しても構わない。
本連載の目的は最初に述べたように、軽量ASP.NET開発を行うための情報を提供することにある。このため、本記事内のサンプルに出現するC#、SQL、JavaScript、HTMLといった個別の技術要素については、特に強調したいことがない限り説明は省略する。読者自らがそれぞれの情報に当たっていただきたい。
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