IcehouseをリリースしたばかりのOpenStack。今回はSDNとの関係や、物理的なストレージ環境を考慮した永続的なデータ格納について紹介していきます。
日本仮想化技術のたまおきです。
私の所属する日本仮想化技術では2カ月に1回「OpenStack最新情報セミナー」という無料のセミナーを開催しております。前回は2014年2月に「次世代の超高密度サーバの活用法とは」というタイトルで日本HPの阿部敬則氏に「HP Moonshot System」について講演いただきました。
今回は2014年4月10日に「ネットワーク仮想化の最新動向〜Software Defined Infrastructure(SDI)を目指して」というタイトルでミドクラの高嶋隆一氏とブロードバンドタワーの西野大氏に講演いただきました。セミナーは200人を超える事前申し込みをいただき、OpenStackとSDNへの関心の高さを再確認しました。
今回の「たまおきのOpenStackウォッチ」は、セミナーの内容を中心にお話しします*。
NeutronはOpenStackの主要機能コンポーネントの1つで、仮想ネットワークの制御を行います(以前は、Quantumと呼ばれていました)。Neutronが制御対象のリソースは、ネットワーク、サブネット、ポート、ルーターなどです。
Neutronは、ネットワークの基本機能だけでなく、仮想ファイアウォール(FWaaS)や仮想ロードバランサー(LBaaS)などの高レイヤーまでを制御しています。
Neutronはリソース制御のリクエストを受け取るNeutron APIと、リソースを制御するためのNeutron Pluginによって構成されています。
Neutron Pluginには物理ネットワークを制御するものが数多くあり、多くのネットワーク機器メーカーが自社製品を対応したPluginを開発しています。
・ | Open vSwitch Plugin |
---|---|
・ | Linux Bridge Plugin |
・ | Modular Layer 2 Plugin |
・ | Nicira Network Virtualization Platform(NVP) Plugin |
・ | Ryu OpenFlow Controller Plugin |
・ | Cisco UCS/Nexus Plugin |
・ | NEC OpenFlow Plugin |
・ | Big Switch Controller Plugin |
・ | Cloudbase Hyper-V Plugin |
・ | MidoNet Plugin |
・ | Brocade Neutron Plugin |
・ | PLUMgrid Plugin |
・ | Mellanox Neutron Plugin |
現在稼働しているOpenStack環境ではOpen vSwitch Pluginが使われていますが、Modular Layer 2(ML2)PluginがNeutronのリファレンス実装になり、Open vSwitch PluginおよびLinux Bridge Pluginを削除する方向にあります。
今後は、ML2 Pluginを利用することが多くなりそうです。
「SDNはソフトウェアでネットワークに対して動的制御を行う仕組み全般を指しているが、SDN対応製品は数多くあり、“SDN”の定義は各社まちまちである」とミドクラ高嶋氏は指摘、ソリューションの適用領域でそれら“SDN”分類を分類してくれてました。
分類はデータセンター内で使用するクラウドネットワークスタックと、データセンター内やWANで使用するネットワーク機器との連携・制御に大きく分けられます。
クラウドネットワークスタックは、SDN対応製品とクラウド基盤と連携しながら動作し、クラウドネットワークの仮想化を実現します。
ブロードバンドタワーの西野氏は、クラウドネットワークの仮想化を実現するソフトウェアとして、ミドクラのMidonetやVMware NSX、OpenDaylight、OpenContrailなどを挙げます。
クラウドネットワークスタックはクラウド基盤との親和性が高く、自動化技術などと組み合わせてクラウド基盤の運用管理コストの削減に貢献します。
ネットワーク機器との連携・制御は、Neutron APIやベンダー独自API、OpenFlowを活用し、SDN対応製品とクラウド基盤とで協調しながら動作し、仮想・物理ネットワーク間の連携や統合制御を行います。
ネットワーク機器との連携・制御は、NeutronやTripleOなどのデプロイメントツールでも積極的な機能拡張が予定されており、OpenStackのプロジェクトの中でも注目の領域の1つです(関連記事)。
なお、当日のセミナーで使用した資料はSlideshareに、セミナー内容はUstreamにアップロードされていますので参照してみてください。
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