2つ目はカノニカルのキーノートです。
カノニカルはUbuntuを支援している会社として有名です。Linux/OpenStackディストリビューションの提供やJuju/MAASといったプロビジョニングツールの提供を行っており、通信業やサービスプロバイダーを中心にOpenStackの先行導入が進む会社でUbuntuの採用が相次いでいます。
今回のカノニカルの講演では、採用事例を紹介するスライドがありました。この中で、日本でのOpenStackの大規模環境として有名なYahoo! JapanとNECの名前を確認できました。
※Yahoo! JAPANが2014年内に約5万インスタンスをOpenStackで構築・実稼働させる予定だ。
今回のキーノートの中で筆者が面白いと思ったのは「Ubuntu Orange Box(Orange Box)」という独自のマイクロサーバーです。
「持ち運び可能な評価・検証マシン」を目指しているらしく、専用ケースに入れてスーツケースのように持ち運びます。Orange Boxはインテルの「Ivy Bridge」CPU搭載マイクロサーバー10台が収められており、それぞれのノードには16GBメモリと120GBのSSD、ギガビットイーサーネットが含まれています。OpenStackの環境構築を試してみるのもあり、Juju/MAASの使い方を学ぶのもありと、Ubuntu OpenStackを手軽に試してみる環境として面白い存在です。
3つ目はAT&TとエリクソンによるキャリアグレードOpenStackにおけるNFV(Network Function Virtualization)の講演が気になりました。
両社ではOpenStackを使用したNFV機能を実現するクラウド基盤を検討しているとのことで、必要な機能の洗い出しを進めているといいます。
「マルチベンダークラウドエコシステムのフレームワークがOpenStackである」という発表者の発言がとても印象に残っています。
キャリアグレードでの運用となると“five-nine”、つまり99.999%以上の可用性が求められます。両社では評価・検証を実施している最中であり、実際にはライブアップグレードやホットマイグレーションなど、目指す機能の実現に向けて、まだまだ今後の課題は山積みのようですが、半年後のOpenStack Summitでどのようになっているか、更新情報を聞いてみたいところです。
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