「日本市場全体が一気にクラウドサービスに移行を始める予兆」が見えた? これから始めるクラウドで、うまくITのトレンドに乗って効果を出すための、考えるヒントを識者に聞いた。
前回は、@ITの読者がどのようにIaaSないしクラウド環境を利用しているかについて紹介した。記事中では、AWSなどのクラウドサービスを積極的に利用する読者像が見えた一方で、約4割の読者がIaaSを業務で利用していない、という事実が明らかになった。
では、今、これから選定する場合にはどう考えるべきなのだろうか?
編集部では、クラウドサービス事業者全般を広くウォッチし、独自の指標で定点観測をしているクラウドアーキテクトの川田大輔氏に別途コメントを求めた。
編集部 現在、AWSが市場をけん引、グーグルやマイクロソフト、IBMなどがグローバルでサービスを展開、競合する状況が続いていますが、一方で国内クラウドサービス事業者は日本企業特有のニーズに対応するサポートを行っているように見えます。
川田氏 (トップグループに位置する事業者は)ユーザーからの引き合いが強いですね。AWSやマイクロソフトはもちろん、NTTコミュニケーションズが展開するBizcloudなど、国内事業者も好調のようです。
編集部 一般的なサーバー機器などがコモディティ化しつつあり、「どれでも同じ」になってきている現在では、多くのIT資産が、コストをかけて所有することの意義を失いつつあります。規模の経済の利点を享受できる点で、多くのIT資産がクラウドサービスに移行していく流れがあるのではないでしょうか。
川田氏 その通りだと思います。クラウド利用による所有しないITは経営上のメリットも大きいですし、従来、安定運用確保のために振り向けられていた予算と人員を事業競争力強化のために振り変える余裕も生まれます。大型の案件も増えていますし、動きの鈍かった国内大手IT企業も軒並み決算説明会でクラウド強化に言及するようになってきています。この流れはもはや止められないでしょう。
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