米シスコシステムズは5月4日(米国時間)、米レッドハットと協業し、OpenStackをベースとした統合インフラ製品群を提供すると発表した。第1弾製品は、2014年中に提供開始されるという。両社は通信事業者向けのNFVソリューションでも協力関係を深めようとしている。
米シスコシステムズは5月4日(米国時間)、Unified Computing System(UCS)新製品の発表と同時に、米レッドハットと「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」を採用した統合インフラ製品群を提供していくと発表した。シスコとレッドハットの協業は、新しい話ではない。だが、両社が1つの製品の提供で協力するという「核」ができれば、その関係がさらに深まることが考えられる。また、シスコのOpenStackに関する戦略がいま一つ不透明だと感じていた人々に対し、レッドハットのOpenStackディストリビューションへの注力というメッセージを伝えることにもなる。
新製品群には、「Cisco UCS Integrated Infrastructure for Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(UCSO)」という長い名前がついている。UCSOは、3製品で構成される予定という。
2014年中に提供されるのは「Starter Edition」。これはOpenStackによる中規模のプライベートクラウド導入を迅速・容易に行えるようにするもの。ほかに大規模なOpenStackインフラの展開を迅速に行えるようにする「Advanced Edition」、そしてACI(Application Centric Infrastructure)を活用したポリシーベースのインフラ運用を実現する「Advanced ACI Edition」を計画しているという。
シスコはさらに、プライベートクラウドを含むクラウド間連携の取り組み「Intercloud」や、アプリケーションのニーズに基づいてITインフラを制御する取り組みCisco ACI(Application Centric Infrastructure)」で、2社は協力していくと発表している。
ACIに関連した2社の協力は、すでに知られている。シスコが主導するOpenStack NeutronのGroup Policyワーキンググループには、レッドハットも当初から参加している。これは、OpenStackのネットワーク機能に、ACIと整合性のとれたポリシーモデルを実装するものだ。だたし、ACIはポリシーモデルだけでは実現できない。OpFlexプロトコルなどもかかわってくる。2社の協力関係拡大が、Group Policyを超えるものなのかは明確ではない。
興味深いのは、プレスリリースで、「Cisco Evolved Services Platform」についても2社が協力していくと述べていることだ。Cisco Evolved Services Platformは、NFV(Network Function Virtualization)を踏まえた通信事業者向けの仮想化インフラソリューションとして、シスコが推進しているもの。レッドハットも同社のOpenStackディストリビューションで、通信事業者のNFVニーズをつかみつつあり、これに関連して2014年6月に欧州のシステムインテグレータeNovanceの買収を発表した。プレスリリースには詳しい説明がないが、OpenStackを使ったキャリアNFVで、両社の協力関係が大きな実を結ぶ可能性がある。
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