なおVS 2013では、この「this.Close()」と記述する際、「this.」と入力すると、そのthis(=Displayオブジェクト)に含まれるメンバーの一覧が自動的に表示される。前回も簡単に説明したが、これはIntelliSense(インテリセンス)と呼ばれる機能である。IntelliSenseは、[Ctrl]+[Space]キーを押すことで、手動でも表示できる。また、文字の入力途中で[Ctrl]+[Space]キーを押すと、コードの入力を補完してくれる。IntelliSenseを使いこなせば開発生産性を高められるので、ぜひ使い慣れてほしい。
以上で、アプリを終了する機能を実装できた。これを再度ビルドして実行すると、今度は実際にアプリが終了するようになったはずだ。
次に、「フォームがフェードアウトしながら終了する機能」を実装しよう。
ここでは、フォームのフェードアウトを行う、次のようなシグネチャのメソッドを追加しよう(ソースコードに書き込めばよい)。
private void FormFadeOut()
{
}
このFormFadeOutメソッドに、フォームをフェードアウトさせる機能を実装する(後述)。
FormFadeOutメソッドの追加が終わったら、先ほど実装した「アプリを終了する処理」の前に、そのFormFadeOutメソッドを呼び出すようにしよう。具体的には、次のようなコードになる。
private void menuItemClose_Click(object sender, System.EventArgs e)
{
// フォームをフェードアウトさせる
FormFadeOut();
// フォームを閉じる → アプリを終了する
this.Close();
}
仕上げとして、実際のフェードアウト処理をFormFadeOutメソッド内に記述する。フェードアウトとは徐々にウィンドウが見えなくなっていくことなので、現在50%の不透明度(前回の解説でOpacityプロパティを50%に指定した)を49、48、47……と、1つずつ減らしていけばよい(不透明度が減っていく=透明になっていく)。ただし、コンピューター(CPU処理)のスピードは非常に速いので、単に減らすだけだと、あっという間に0%まで減ってしまう。そこで、1%減るごとに1ミリ秒だけ処理を停止することにしよう(処理の停止には、System.Threading名前空間に所属するThreadクラスの静的メソッドSleepを使えばよい)。これにより少し時間をかけてフェードアウトするようになる。
このフェードアウト処理を実装したのが、次のコードである(※実はコード内に正しくない部分があるが、これは以降の説明のための故意の誤りである)。
private void FormFadeOut()
{
for (int n = 49; n >= 0; n++)
{
// 49%から1%ずつ不透明度を少なくする(=透明になる)
this.Opacity = (double)n / 100;
// 1%減るごとに1ミリ秒処理を停止する
System.Threading.Thread.Sleep(1);
}
}
ここまででコーディングは完了である。
さっそく、完成したソースコードをビルドしたら[Ctrl]+[F5]キーを押すかメニューバーから[デバッグ]−[デバッグなしで開始]を選択して実行してみよう。実行した「時計」アプリのフォーム上で右クリックしてコンテキストメニューを表示し、そのメニューから[終了]を選択すると、次の画面のように、アプリがフリーズして「応答なし」の状態になってしまった。これは先ほど実装したコードに何らかのバグがあるためと考えられる。
このアプリには、「バグ(Bug)」があるためそれを取り除く「デバッグ(Debug)」が必要となる。よって次に、そのデバッグ方法について解説する(バグの箇所はお気づきの方も多いだろうが、ここでは目をつぶっていていただきたい)。
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