IoE(Internet of Everything)による新市場の開拓への取り組みも――シスコシステムズが2015年の事業戦略を発表した。
シスコシステムズは2014年10月2日、8月から始まった同社2015年度の戦略説明会を開催した。同社代表執行役員社長の平井康文氏は、「Advance Japan」というビジョンを掲げ、「今まで作り上げてきた『エキサイトメント』を実行に移す年にしていく」と抱負を述べた。
同社はこの数年、「顧客とのパートナーシップ」に加え、社会貢献や働きがいのある職場作りといった事業戦略を掲げてきた。2015年度もその路線を踏襲しつつ、同社の特性を生かした日本の「変革」や顧客企業のビジネス上の成果達成などを支援していくという。
一連の戦略の中で重要なキーワードが「クラウド」と「データセンター」だ。「不透明な経済環境において、今や『クラウドか否か』ではなく、当たり前のように『まずクラウド』『クラウドファースト』になっている」(平井氏)。この分野に向けて、同社が掲げる「アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)」をいっそう推進する他、「Data Center as a Service(DCaaS)」の提供、クラウドとクラウドとをつなぐ「Intercloud」の展開などに取り組む。
ACIは、同社が「Cisco UCS」などのサーバー製品で実現してきた一元的な管理を、「Cisco Application Policy Infrastructure Controller(Cisco APIC)」を介してデータセンター全体に適用していこうという構想だ。国内では既にサイバーエージェントがACI/APICを採用し、データセンター管理の効率化に取り組んでいる(関連記事)。
DCaasは、「Cisco UCSをコンピューティングリソースとしてだけ提供するのではなく、顧客のデータセンターにシスコのアセットとして導入し、運用管理を行うもの。OPEX型のサービスだ」(平井氏)。現在、野村ホールディングスと事業モデル確立に向けた取り組みを進めており、今後、サーバーコンピューティングリソースだけでなく、ストレージなど他の分野にもサービス型での展開を拡大する予定という。
Intercloudは、2014年3月にリリースした「Intercloud Fabric」を介して、「Microsoft Azure」や「Amazon Web Services(AWS)」「IBM SoftLayer」といったさまざまなパブリッククラウド、そして顧客が構築したプライベートクラウドを接続し、橋渡ししていく(関連記事)。「かつてのインターネットがIPによっていろいろなネットワークを統合したのと同じように、APIを介してさまざまなクラウドをつないでいく。これにより、アプリケーションやワークロードのモビリティを高めていく」(平井氏)。世界中で30を超えるパートナーがインタークラウドをサポートしており、国内ではNTTデータと伊藤忠テクノソリューションズが加わっている。
同時に、2020年開催予定の東京オリンピックも視野に、IoE(Internet of Everything)による新市場の開拓にも取り組んでいくという。具体的な取り組みの1つとして、東京に本社を置くsmart-FOAへの出資を決定した。smart-FOAでは、さまざまなセンサーから収集した情報に基づいて、リアルタイムの問題解決や意思決定を支援する「Flow Oriented Approach(FOA)」概念に基づくアプローチによるソリューションを展開している。今回の出資を機に、「製造現場向けの新しいIoEソリューションの共同開発、販売を進めていく」(平井氏)という。
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