「滑舌が悪い」とお困りの方、漠然と悩んでいるだけではありませんか? 問題点を把握して改善に向けた「筋肉トレーニング」をしましょう ※オリジナル動画付き
皆さま、こんにちは。キャリアヴォイスの山崎美和です。
本連載では、ヴォイストレーニングからライトニングトークデビューまでを、若手のビジネスパーソンと共に学んでいきます。文章だけでなく、ポイントとなる動画も掲載しますので、併せて見ていただくとより深く理解できるでしょう。
前回は発声をテーマに、日々の生活に取り入れやすい簡単なトレーニングを紹介しました。今回は、声を磨くステップ「滑舌」にスポットを当てます。
ヴォイストレーニングの受講者に参加理由を聞くと、「滑舌が悪いので良くしたい」との答えを多く聞きます。しかし、続けて「どの発音が苦手ですか?」「どんな言葉が言いづらいのですか?」と問い掛けると、皆さんとたんに考え込んでしまいます。
何となく苦手と思っているだけでは、意識していないのと同じです。そこから一歩踏み出すには、「どんなときに言いづらいと感じたのか」「どんな場面で人から発音を聞き返されたのか」など過去の経験を振り返り、苦手なポイントを明確にすることが大切です。
「分かる」から「できる」ようになるための「学習の4段階(ステージ)」を紹介しましょう。
役に立つ学びとは、2の「できないことを意識する=分かる」で終わらせずに、4の「意識しなくても、できるようになる」ことです。実際に身体を動かして行動に移してこそ、徐々にできるようになり、自分自身のものになるのです。
滑舌も同じです。前述の「滑舌が悪い」と答える方は、できないことを意識していますから、第1ステージはクリアしています。次のステップは「分かる」ことです。
滑舌が悪いと漠然と思っているよりも、「どの音が発音しづらいのか」「どんな組み合わせのときに、言葉がもたつくのか」など、苦手な音や組み合わせを「分かる」(知る)と、第2ステージに上がります。
次は「克服」です。苦手な発音や言葉の組み合わせを繰り返し練習して「できる」ようになれば、第3ステージに達します。最終的に「意識しなくてもできる」ようになれば、文字通り「滑らかな舌の動き」で話せるようになります。
最初に「何ができないのかを分かる」ための滑舌トレーニングします。「発音基礎」や「早口言葉」を声に出して読み、自らの声に耳を傾けてください。前回練習した発声も意識してくださいね。
まずは「ア・エ・イ・ウ・エ・オ・ア・オ」から始めましょう。
アナウンサーや役者の発音練習は、「ア・イ・ウ・エ・オ」ではなく「ア・エ・イ・ウ・エ・オ・ア・オ」と声を出します。この配列は、滑舌を良くし、正しい口の形を意識できるのです。
練習法は3段階です。苦手な音や行があったら、チェックしてください。
1 ア、エ、イ、ウ、エ、オ、ア、オ
2 ア〜エ〜イ〜ウ〜エ〜オ〜ア〜オ〜
3 アエイウエオアオ
次のリストを、それぞれ3段階のパターンで発声しましょう。
アエイウエオアオ カケキクケコカコ
サセシスセソサソ タテチツテトタト
ナネニヌネノナノ ハヘヒフヘホハホ
マメミムメモマモ ヤエイユエヨヤヨ
ラレリルレロラロ ワエイウエヲワヲ
ガゲギグゲゴガゴ カ゜ケ゜キ゜ク゜ケ゜コ゜カ゜コ゜
ザゼジズゼゾザゾ ダデヂヅデドダド
バベビブベボバボ パペピプペポパポ
「カ゜ケ゜キ゜ク゜ケ゜コ゜カ゜コ゜」という見慣れない表記があります。
これは「鼻濁音(びだくおん)」です。「ガギグゲゴ」をそのまま発音すると耳障りなので、アナウンサーや役者など話のプロは、ガ行を鼻に抜いて柔らかく発音します。
原則、単語の中や末尾のガ行は鼻濁音で発音します。「映画館(エイカ゜カン)」「音楽(オンカ゜ク)」「賞味期限(ショウミキケ゜ン)」などです。他にも「私が〜○○したのですが〜」の「が」は「カ゜(鼻濁音)」です。
鼻濁音が分からない方は、ニュースやナレーションを注意深く聞いてみましょう。お薦めなのは、フジテレビ系列の朝の情報番組「めざましテレビ」の軽部真一アナウンサーです。軽部さんは、鼻濁音を明確に出しているので、良いお手本になります。
今回の映像では、割り箸を使ったトレーニングを紹介します。
目的は、舌の動きをチェックすることと、割り箸をくわえて負荷をかけることで、口の周りと舌の筋肉を鍛えることです。スポーツジムで筋肉を付けるためにバーベルやマシンで負荷をかけるのと同じ仕組みです。
声帯、口の周り、舌もそれぞれ筋肉です。繰り返し練習すれば、必ず努力に応えてくれますよ。
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