ActionMailerのSMTP設定、テンプレートで送信&ActiveModelの基本的な使い方とバリデーション開発現場でちゃんと使えるRails 4入門(10)(1/2 ページ)

エンタープライズ領域での採用も増えてきたRuby on Railsを使ってWebアプリケーションを作るための入門連載。最新版の4に対応しています。今回は、SMTPにGmailも使えるActionMailerの設定、ERB記法で埋め込むメールのテンプレート、永続化しないデータをActiveModelで扱う方法などを解説。

» 2014年11月04日 18時00分 公開
[著:林慶、監修:山根剛司株式会社アジャイルウェア]

※編集部注

本連載はRuby on Rails 4の入門連載です。Rubyについて学びたい方は連載「若手エンジニア/初心者のためのRuby 2.1入門」をご覧ください。


「開発現場でちゃんと使えるRails 4入門」のインデックス

連載目次

ActionMailerとActiveModel

 今回はRailsのMVCアーキテクチャとは別のコンポーネントについて紹介します。一つはWebアプリケーションからメールを送信する機能を作るためのActionMailer、もう一つはDBに保存しない・永続化しないデータをActiveRecordのデータと同じように取り扱えるようにするActiveModelの紹介です。

 いずれも必ず使用するコンポーネントというわけではありませんが、「Webアプリケーションでメールを送りたい」という要求は多くあり、永続化しないデータを扱う機会も少なくありません。前回の「RailsテストフレームワークRSpecのインストールと基本的な使い方、基礎文法」までと同様に、GitHubにあるサンプルプログラムの「book_library」を使って、メールの送信機能と複数のパラメーターを取る検索機能を作り、それらの使い方を学んでみましょう。

メール機能を作るActionMailer

 ActionMailerはメールの送受信を行うためのライブラリです。今回はメールの送信にのみ着目しますが、受信機能を作ることもできます。また、独立したライブラリなのでRails以外のアプリケーションでも使えます。

SMTPにGmailも使えるActionMailerの設定

 メールの送信機能を作っていく前にActionMailerの設定を行いましょう。ここでは「development」環境の設定を行うので「config/environments/development.rb」を編集します。

 まず、「development」環境のデフォルトではActionMailerのエラーを無視するようになっているので、エラーを無視しないように変更します。こうしておかないとメールの送信に失敗してもエラーが起きず、原因が分かりません。次に示す「config.action_mailer.raise_delivery_errors」の設定をコメントアウトしてください。

# Don't care if the mailer can't send.
# config.action_mailer.raise_delivery_errors = false

 これにより、送信に失敗するとエラーが出力されるようになります。アプリケーションのサーバーが起動している場合は、設定を反映するために再起動しましょう。

 次に「config/environments/development.rb」にSMTPの設定を次のように追加します。

config.action_mailer.delivery_method = :smtp
config.action_mailer.smtp_settings = {
  address:              'smtp.address',
  port:                 25,
  domain:               'book.library.domain',
  user_name:            'your.email@example.com',
  password:             '<password>',
  authentication:       'plain',
  enable_starttls_auto: true
}

 このSMTPにはGmailのものを使うこともできます。これで、ひとまず開発環境におけるActionMailerの設定が完了しました。それではメール送信機能を実装してみましょう。

コマンドでできるActionMailerのファイル生成

 RailsではActionMailerのファイルを生成するためのコマンドが用意されています。次のコマンドでActionMailerにおけるメーラーとメール本文を定義するテンプレートを配置するディレクトリ、そしてテストコードを生成できます。

$ rails g mailer authentication_mailer
create  app/mailers/authentication_mailer.rb
invoke  slim
create    app/views/authentication_mailer
invoke  rspec
create    spec/mailers/authentication_mailer_spec.rb

 メーラーは「app/mailers」に作られ、「アクション」と呼ばれるメソッドでメールを定義するなどコントローラーによく似ています。またメール本文のテンプレートは「app/views」に作られたメーラーの名前のディレクトリ(ここでは「app/views/authentication_mailer」)に、アクションに対応するビューとして追加していきます。

メーラーの「アクション」

 メーラーではメールの種類ごとにアクションを定義します。例えば、ユーザー登録が完了したことを通知するメールやパスワードのリセットURLを通知するメールごとにメールタイトルや本文の内容が異なるため、アクションによりそれらを分けて定義します。また認証に関するメールとは異なる場合、新たに別のメーラーを作るといいでしょう。以下にメールを定義するアクションの例を示します。

class AuthenticationMailer < ActionMailer::Base
  default from: "system@xxxxxxx.xxxxxxx"
 
  def complete_registration(user)
    @user = user
    mail {
      to: user.email,
      subject: 'ユーザー登録が完了しました。'
    }
  end
end

 この例ではメーラー「AuthenticationMailer」において、「complete_registration」アクションが定義されています。アクションは最後に「mail」メソッドを呼び出してメールオブジェクトを返します。「mail」メソッドに渡すハッシュでメールの宛先や送信元、タイトルを設定します。これらのパラメーターのデフォルト値をメーラー全体で設定する「default」メソッドも用意されており、上のコードの2行目のようにして設定します。

ERB記法で埋め込むメールのテンプレート

 「mail」メソッドが呼ばれると、そのアクションのテンプレートがレンダリングされます。「complete_registration」アクションであれば「complete_registration.text.erb」がレンダリングされます。これは次のようにテキストにRuby式をERB記法で埋め込んだERBテンプレートです。

<%= @user.name %>様
 
ユーザー登録が完了しました。
 
身に覚えがない場合は inquiry@xxxxxxx.xxxxxxx までお問い合わせください。

「deliver」メソッドでメールの送信

 アクションを実行しただけではメールは送信されません。メールを送信するにはメールオブジェクトの「deliver」メソッドを呼び出す必要があります。実際にはコントローラー中などで次のコードのように呼び出します。

def create
  @user = User.create(user_params)
 
  if @user.save
    @mail = AuthenticationMailer.complete_registration(@user)
    @mail.deliver # if Rails.env.production?
 
    redirect_to root_path
  else
    render 'new'
  end
end

 メールの送信機能を開発している間は実際にメールが届くか調べるため「deliver」メソッドを実行できるようにしておきます。しかし、完成した後も回帰テストが行われるたびにメールが送信されるとうっとうしいので、メールが届くことを確認できたら「deliver」メソッドの後ろのコメントアウトを外して「production」環境でのみ送信されるようにしておくといいでしょう。

 コントローラーのアクション(ここでは「create」)のサンプルではインスタンス変数「@mail」が存在していることを確認できれば十分です。

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