ZFS Storage Applianceと共にオラクルが示したクラウド時代のストレージ環境Flash、Disk、Tapeをシームレスに扱う

日本オラクルが、クラウド/ビッグデータ時代を考慮したストレージ製品ラインアップの戦略を示した。Oracle Databaseを軸にFlash、Disk、Tapeのストレージラインアップを強化するオラクル。ZFS Storageの新ラインアップ発表と共にクラウド時代のストレージ像も示した。

» 2015年01月16日 20時45分 公開
[原田美穂,@IT]

 日本オラクルは2014年1月15日、同社ストレージ製品「ZFS Storage」の新ラインアップ「ZS4-4」を発表した。同製品は同シリーズ現行品である「ZS3-2」と並んで提供する。

 ZS4-4は最大でCPU120コア、DRAMキャッシュを3Tバイト搭載可能(コントローラー辺り1.5Tバイト)。単一ボリュームで最大3.5Pバイト搭載できる。

 同製品の説明に登壇した日本オラクル システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス プリンシパル・セールス・コンサルタント 迎田俊樹氏は「大容量メモリを搭載することでフラッシュストレージよりも高速なI/Oを実現できる。ZFSのアプローチでは、単体で十分にスケールアップできるので、スケールアウト型ストレージと比較してコントローラ通信などのボトルネックが発生しない」と、製品構成の利点を示した。

 同製品ラインアップの特徴の一つに、オラクル製品群との緊密な連携が挙げられる。例えば、「データベースマシン」として展開する「Exadata」で実装しているデータ圧縮技術「HCC(Hybrid Columnar Compression)」も搭載する。

 システム管理面では「Oracle Intelligent Storage Protocol(OISP)」が搭載されているため、Oracle Database側でパフォーマンス管理などを一元的に扱える特徴も持つ。また、OISPを利用した分析機能「ZS Analytics」も提供し、ストレージ側からも、「Oracle Database 12c」の特徴的機能であるデータベースの仮想的なインスタンスである「プラガブルデータベース」単位でのデータI/Oの状態も集計・分析できる。

 データ暗号化については、ディスクレベルではなくLUNレベルで実行する機能を持つ。OSよりも上の層で暗号化することで、他のセキュリティポリシーなどとの連携が可能だ。

 オラクルでは、ZFS Applianceの他、2014年10月にはフラッシュストレージ製品である「Oracle FS1」を発表している。こちらは、オールフラッシュ構成の他、筐体内でHDDを加えたストレージ階層化も可能な製品だ。データの利用頻度だけでなくアプリケーション情報を加味した階層化が可能なコントローラーが搭載されている点が特徴だ。

 一方、オラクルでは旧ストレージテックのテープストレージラインアップも持つ。同社 システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス シニア・セールス・コンサルタント 山崎隆文氏は、米IDCらによる市場調査レポートを基に、データアーカイブ市場が拡大するとの見解を示した。その上で、近年のテープメディアにおける技術革新(バリウムフェライト磁性の採用やアラミド素材による長期保存技術)やLTFSの普及などにより、今後はテープドライブの利用が増加する、との見通しを示す。

 LTFS(Linear Tape File System)は、LTOテープドライブをファイルシステム同様に扱うためのファイルシステム。オラクルでは、このファイルシステムの拡張として、テープライブラリとも連携したLTFS LE(Library Edition)も提供しているため、これを使った場合、ユーザーはデータの格納先がテープライブラリであることを意識せず、NAS同様に利用できるようになる。ストレージコントローラーからも同様にシームレスな階層化が可能になるという。

 会見冒頭で、クラウド時代に向けた同社ストレージ戦略を語った同社 システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス 本部長 宮坂美樹氏は、米IDCの調査資料を基に「今後デジタルデータは爆発的に増加する。一方で、その80%は90日を経過するとほとんどアクセスされなくなる。クラウド/ビッグデータ時代では、アクセスは少ないが消せないデータをいかに効率的に管理するかが課題になる」と指摘した。

 米国では大規模データセンター運営者らを中心に「Flape(Flash+Tape)」という言葉がしばしば使われるようになってきているという。ビッグデータ時代、クラウド時代といわれるが、その多くがアーカイブしても問題がないデータだとも言われる。アーカイブに際して、容量単価や長期保管性能を考慮すると、扱いやすくなったテープドライブを選択する流れが徐々に出てきているという。ディスクがすぐさま不要になるとは考えにくいが、オブジェクトストレージと並んでNASの代替先の一つとして考慮できるものも出てくるのではないだろうか。

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