ガートナージャパンは2015年1月21日、毎年実施している世界のCIOを対象としたアンケート調査の2015年版の結果を発表した。これに基づき、日本のCIOに対し、3つの逆転思考が重要と提言した。
ガートナージャパンは2015年1月21日、毎年実施している世界のCIOを対象としたアンケート調査の結果を発表した。これに基づき、日本のCIOに対し、3つの逆転思考が重要と提言した。
調査は84カ国のCIO、2810人を対象として実施した。このうち日本は61人。同社のCIO向けプログラムである「エグゼクティブプログラム」メンバーを中心としているため、一般より情報感度の高いCIOの考えが反映されていると考えられるという。
ガートナーは数年前から、「CIOにとって、自社の製品やサービスのデジタル化の進行は、危機であるとともに自社に対する貢献のチャンス」と訴えている。今回の調査では、「企業全体でデジタライゼーションを推進する場合の推進役の役割配分」を聞いており、回答は日本と世界全体で大きな違いが見られたという。
日本のCIOの回答の平均は、「CIO」が34%で「事業部門リーダー」が28%の配分、これに対して世界のCIOの回答は、「CIO」が47%、「事業部門リーダー」が17%の配分だったという。この違いの理由としては、欧米のCIOが、スペシャリストとして雇用されることが多いのに対し、日本のCIOはジェネラリストとしての役職であること、他の部門長も兼務しているために、日常業務に忙殺されていること、などが考えられるという。
ただし、デジタル化を象徴するような、ガートナーのいう「スマート・テクノロジー」への対応では、日本のCIOのほうが概して積極的な回答をしている。例えばモノのインターネットでは、19%が「投資済み・展開済み」と答えている(世界は7%)。
この結果を受けて、ガートナー エグゼクティブプログラムのグループバイスプレジデント兼エグゼクティブパートナーの長谷島眞時氏が語ったことをまとめると、次のようになる。
「デジタル化が企業のビジネスを変えそうだというのは、予測から実感に変わりつつある。では、デジタルリーダーをだれが担えるか。一時期、CIOには担えないという議論があったが、結局のところ誰もいない。CIO・情報システム部門にできることを、過小評価すべきではない。
大きな問題は、経営陣の、情報システム部門に対する見方が固定化していること。情報システム部門は、コスト削減ばかりを求められるなか、運用コストを前年より減らし、その余りを、新しい取り組みのための原資にするしかなかった。こうした考え方を変えるマネジメントの姿勢が重要。
とはいえ、デジタルリーダーは、何もしないで誰かがやってくれるファンクションではない。社内を説得していく役割を担うのがリーダーであり、さらに次のリーダーも育成していかなければならない。組織や部下を大切にすることも重要だが、デジタルリーダーという観点では、CIOが率先して社内に働き掛けていく必要がある」
長谷島氏が提言した「3つの逆転思考」とは、「まずデジタルありきで考えてみる」「ITそのものが直接企業収益をもたらすと発想する」「上意下達ではなく、他部門を巻き込んだ『ワイガヤ文化』を推進する」。より具体的には次のようになる。
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