ノートパソコンやデジタルカメラ、スマートフォンなどさまざまな機器がサポートするSDメモリーカード。しかしサイズだけでなく容量や性能などにより、いくつかの規格から成り立っている。場合によってはせっかく購入したSDカードが利用できないことになるので、規格を理解しておくとよい。
今や「SDメモリーカード」(以下、SDカード)は、ノートパソコンに限らずスマートフォンやデジタルカメラなどさまざまな機器で利用できるメモリーカードの標準だ。しかしSDカードには、SD、miniSD、microSDの3つの異なるサイズがあり、また容量や性能(スピードクラス)にもバリエーションがあるため、購入時にどれを選択すればいいのか際に迷うことも多い。そこで、ここではSDカードの規格を整理する。
SDカードのサイズに関する規格としては、「SD(フルサイズSD)」と「miniSD」、「microSD」の3種類がある。miniSDとmicroSDは、アダプターを利用することで、フルサイズSDとして利用することもでき、多くの製品ではアダプターとセットで販売されている。またmicroSDをminiSDに変換するアダプターも販売(microSDカードの中にはminiSDの変換アダプターを同梱するものもある)されており、物理サイズでいえばmicroSDを購入しておけば全てのサイズに対応できる。
なおminiSDは、一時携帯電話などでサポートされていたが、現在はサポートしている機器がほとんどない状態だ。実際、下表の「容量規格とサポート容量」を見ても分かるように、SDXCでは、すでにminiSDに対して規格化されていない。
さらに容量に対する規格もあり、最大2Gbytesまでの「SD」、4Gbytes以上32Gbytesまでの「SDHC」、32Gbytes以上2Tbytesまでの「SDXC」の3種類のカードタイプが規定されている。サイズと容量の組み合わせは次の通りである。
容量規格 | サポート容量 | フルサイズSD | miniSD | microSD |
---|---|---|---|---|
SD | 最大2Gbytes | ○ | ○ | ○ |
SDHC(High Capacity) | 4Gbytes以上32Gbytesまで | ○ | ○ | ○ |
SDXC(Extended Capacity) | 32Gbytes超2Tbytesまで | ○ | × | ○ |
容量規格とサポート容量 |
SDXCをサポートする機器の場合は、全ての種類のSDカードが利用できる。一方、SDしかサポートしていない機器の場合は、SDHCとSDXCのカードタイプは利用できないので注意したい。機器がどの規格までサポートしているか確認した上でSDカードを選ぶ必要がある。
機器側/カード側 | SD | SDHC | SDXC |
---|---|---|---|
SD | ○ | × | × |
SDHC | ○ | ○ | × |
SDXC | ○ | ○ | ○ |
SDカードの容量規格の互換性 |
サイズと容量に加え、SDカードには「SDスピードクラス」と呼ばれる性能指標が規定されている。読み書き時のデータ転送速度が2Mbytes/sec以上のものを「Class 2」、4Mbytes/sec以上のものを「Class 4」といった具合だ。
さらに高速対応として規格化された「UHS(Ultra High Speed)インターフェース」(後述)にも、現在、「UHS Speed Class1」と「UHS Speed Class3」の2つのスピードクラスが規定されており、UHSインターフェース対応機器で使用した際のデータ転送速度が定められている。
クラス | データ転送速度 | 動作するBusインターフェース | |
---|---|---|---|
スピードクラス | Class 2 | 2Mbytes/sec | ノーマルスピード(NS) |
スピードクラス | Class 4 | 4Mbytes/sec | ノーマルスピード(NS) |
スピードクラス | Class 6 | 6Mbytes/sec | ノーマルスピード(NS) |
スピードクラス | Class 10 | 10Mbytes/sec | ハイスピード(HS) |
UHSスピードクラス | UHS Speed Class 1 | 10Mbytes/sec | UHS-II/UHS-I |
UHSスピードクラス | UHS Speed Class 3 | 30Mbytes/sec | UHS-II/UHS-I |
SDカードのスピードクラス スピードクラスは、「最低でもこれくらいの速度でデータを転送できます」というSDカードの「実力」の目安を表している。 |
加えてSDカードと対応機器をつなぐ物理的インターフェース(Busインターフェース)にも、性能の規定がある。まず、全てのSDカードタイプで「ノーマルスピード(NS)」と「ハイスピード(HS)」の2種類が規定されいる。さらにSDHCとSDXCの2種類のカードタイプに対しては、転送速度を向上させた「UHS-I」と「UHS-II」が規定されている。
このBusインターフェースと前述のスピードクラスは、その違いが分かりにくく混同しやすい。ざっくり説明するなら、前者はSDカードと機器の間の最高転送速度を、後者はSDカード側で保証される最低限の書き込み速度をそれぞれ規定している。
ノーマルスピードおよびハイスピードカードは、UHS-I/UHS-II対応機器で使用できるものの、UHS-I/UHS-II対応機器の性能は対応SDカードでのみ発揮できる。
Busインターフェース | カードタイプ | Busスピード | 仕様バージョン |
---|---|---|---|
ノーマルスピード | SD/SDHC/SDXC | 12.5Mbytes/sec | 1.01 |
ハイスピード | SD/SDHC/SDXC | 25Mbytes/sec | 2.00 |
UHS-I | SDHC/SDXC | 50Mbytes/sec (SDR50/DDR50)、104Mbytes/sec (SDR104) | 3.01 |
UHS-II | SDHC/SDXC | 156Mbytes/sec、312Mbytes/sec | 4.00 |
SDカードのBusインターフェース 「Bus(バス)」とは、SDカードと対応機器の間でデータをやり取りするための電気信号線のこと。「Busスピード」は、SDカードと機器間の信号線上でどれだけ速くデータを転送できるか、その最高速度(上限値)を表している。 |
例えば、前述のUHS Speed Class 3対応カードをノーマルスピード対応機器に装着した場合、カード自身は30Mbytes/secの実力を持っているのに、実際には最高でも12.5Mbytes/secでしか転送できないことになる。
このようにSDカードといっても、複数の規格によって構成されていることから、気を付けないと目的の機器で利用できない製品を購入してしまうことになる。利用したい機器のマニュアルなどで、どの規格に対応しているのかを確認した上でSDカードを購入した方がよいだろう。
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