グーグルの各種サービスを支えるOSSベースのデータセンターインフラ技術を一般に提供するとして、CoreOSがエンタープライズレベルで利用できるコンテナー管理機能を持つ「Tectonic」を発表した。
米CoreOSは2015年4月6日(現地時間)、同社が提供するLinuxディストリビューション「CoreOS」と各種オープンソースソフトウエア(OSS)スタック、「Kubernetes」を組み合わせたインフラ基盤「Tectonic」のプライベートベータ版を発表した。
米CoreOSはこれに合わせて、米グーグルのベンチャーキャピタルである「Google Ventures」主導で1200万ドルの資金を調達したことも発表した。
Kubernetesはグーグルが「Gmail」や「Google検索」といった大規模アプリケーションの管理用に社内で使っていたツールを基に、2014年6月に開かれたカンファレンス「DockerCon」で一般向けのOSSとして発表したプロダクトだ。Kubernetesはアプリケーションコンテナー「Docker」のデプロイや健全性管理、レプリケーション機能、コンテナー同士や外部との接続を容易にする機能を一括で提供する。このときのDockerConでは、同時にマイクロソフトが「Microsoft Azure」でのKubernetes対応を発表、米レッドハット、米IBMも賛同を表明している(関連記事)。
米CoreOSではCoreOSだけではなく、アプリケーションコンテナーランタイム実装の一つである「rkt」、CoreOSの設定やログを格納するキーバリューストア型データベースソフトウエア「etcd」、クラスター構成を仮想的に単一に見せ、スケジューリングやコンテナー管理の機能を担う「fleet」、オーバーレイネットワーク機能とその管理を担う「flannel」など、アプリケーションコンテナー向けのOSS開発プロジェクトを多数手掛けることでも知られている。もともとCoreOS自体がデータセンターでの大規模運用を想定して構成されたLinuxディストリビューションであり、DockerなどのLinuxコンテナー機能を利用したプロダクトを想定している。
Tectonicのブログでは、Tectonicを発表した背景として「アプリケーションコンテナーをサポートするソフトウエアスタックをどう構築するか決めようとしても、コンテナー技術の選択肢は数が多く、混乱も多い」と課題を指摘。Tectonicではこの課題を解消する目的で最善のコンテナー技術をパッケージ化し、導入しやすいソリューションの提供を目指すとしている。
Tectonicには、CoreOSのソフトウエアスタックとKubernetesに加え、ワークフローとダッシュボード用の管理コンソール、Linuxコンテナー構築と共有のための統合型レジストリ、導入自動化のためのツールが含まれる。
CoreOSでは、Tectonicを利用することで、DockerやKubernetesといったOSSプロダクトの組み合わせながら、エンタープライズの要件に対応したアプリケーションコンテナー運用が可能になるとしており、現在、TectonicのWebサイト上ではプライベートベータプログラムの参加者を募っている。
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