ヴイエムウェア、DaaSサービスを6月末までに国内提供開始へデスクトップ仮想マシン待機サービスも

ヴイエムウェアは5月20日、同社のクラウドサービス「VMware vCloud Air」で、仮想デスクトップサービス(DaaS)「VMware Horizon Air」の国内提供を発表した。災害対策のための仮想デスクトップ待機サービスも提供される。

» 2015年05月21日 06時39分 公開
[三木 泉@IT]

 ヴイエムウェアは2015年5月20日、同社のクラウドサービス「VMware vCloud Air」で、仮想デスクトップサービス(DaaS)「VMware Horizon Air」を6月末までに日本のデータセンターから提供開始すると発表した。大きな特徴はWebブラウザーをクライアントとして使えること、そして「Horizon Air Desktop DR」という、災害対策のための仮想デスクトップ待機サービスだ。

 これは、ヴイエムウェアのデスクトップ仮想化ソフトウエア「VMware Horizon」の機能を、クラウドサービスとして提供する仮想PC型デスクトップ仮想化サービス。加えて、ユーザーに対するサーバベースのアプリケーション提供のために、リモートデスクトップサービス(RDS:旧ターミナルサービス)ホスト用サーバーがデフォルトで提供される。

 Horizonの機能を受け継ぎ、新サービスでは、仮想デスクトップ環境へのアクセスにPCoIPベースのHorizonクライアントを利用する。同クライアントソフトウエアはWindows、Mac、iOS、Androidに対応している。さらに、HTML5対応Webブラウザーからもアクセスできる。こうした幅広い利用環境への対応が、DaaSとしての提供と組み合わせられることで、適用範囲の拡大につながる可能性がある。ヴイエムウェアはまた、社内でのHorizon運用との併用が容易であることもアピールしている。社内のActive Directoryとの同期による統合的な認証管理もできる。

 Horizon Airは、下表のようにStandard、Advanced、Enterpriseの3つのモデルで提供される。最低購入数はいずれも50。料金体系は、vCloud Airの一般的なサービスと同様、請求書ベースの、月額課金となっている。契約期間は、1、12、24、36カ月。事前一括支払い、月払い、年払いが選べる。一括購入したポイントを必要に応じて使うことで、無駄な料金の支払いを防げるサービスもある。若干複雑だが、顧客が自らの利用形態や都合に合わせられるよう、幅広い選択肢を提供するという。

Horizon Airで提供される仮想デスクトップのモデル。支払いについては、多様な方法が用意されている

 料金の例として、ヴイエムウェアはStandardを12カ月契約した場合、予想価格は1デスクトップ当たり月額4300円という。

いざというときのために仮想デスクトップを待機させるサービス

 Horizon Airでは、「Horizon Air Desktop DR」がオプションで提供される。

 これは、特定エンドユーザー用に、仮想デスクトップ環境を事前に設定したイメージを、vCloud Air上に稼働しない状態で待機させておき、非常時に立ち上げて使えるというもの。ここでもActive Directoryとの連携で、ユーザー情報と認証の管理が行える。

 起動指示から立ち上げまでに掛かる所要時間によって、「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の3クラスが提供される。料金の目安は、Standardのブロンズが1か月契約の場合、1デスクトップ月額700円。一度立ち上げると、別途日額300円で最低7日間、つまり2100円が掛かる。もともとディザスタリカバリ(災害対策)のためのサービスだが、パッチ当てのテストなどのための利用も考えられるという。

Horizon Air Desktop DRは、立ち上げまでに掛かる時間により、3つのサービスクラスで展開される

 なお、Desktop DRでは、ユーザーのアプリケーションデータを、何らかの形で事前にバックアップしておく方法は提供されていない。必要であれば、別途vCloud Airにバックアップするなどが必要。ただし、Horizonで使えるDropbox的なストレージ同期機能である「Content Locker」がvCloud Airに対応すれば、ユーザーのデータを復旧できるようになるはずだ。ヴイエムウェアでは、Horizonで提供中のモバイル端末管理機能「AirWatch」とともに、ContentLockerを、Horizon Airで提供する計画があるとしている(提供時期は未定)。

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