「フラッシュ」「ハイパーコンバージドインフラ対コンバージドインフラ」「データレイク」「パブリッククラウド対プライベートクラウド」「コンテナ対仮想マシン」「フラッシュ」「Software Defined Storage」などのバズワードあるいは宗教論争を、どう理解すればいいのだろうか。
IT業界では「バズワード」と呼ばれる流行語や、「Aこそが優れている、Bではダメだ」といった宗教論争がよく見られる。だが、表面的な議論に終始していることがあまりにも多い。そこで、以下では、フラッシュとハイパーコンバージドインフラについて、これらのバズワードあるいは宗教論争の裏に見えるものを紹介する。
筆者は以前、「フラッシュメモリは、コンシューマーニーズにけん引され、今後も容量単価の低下と大容量化が確実に進みます。(中略)これに伴って、エンタープライズ向けにおいても、技術的欠点を補う工夫を加えた上で、フラッシュの用途はますます拡大していきます」と書いた。実際にこの動きは加速している。例えば、容量単価が1ドル/GBを切るオールフラッシュストレージはすでに登場している。
現時点では、「フラッシュだとどんなトランザクションがどれだけ高速化するのか」「どのデータベースをフラッシュに載せるべきか」「デスクトップ仮想化にフラッシュストレージを使うべきか」など、ユーザー組織における悩みどころは多い。だが、今後もフラッシュの容量単価の下落が続けば、「フラッシュをどうしても使わなければならない理由」を考える必要性は次第に薄れ、さらに下落すれば、「フラッシュを使わない理由」を考えるようになるだろう。
「ハイパーコンバージドインフラ」は、日本ではもっと認識が深まっていい製品ジャンルだ。2014年までは、事実上Nutanixの独り舞台だったが、最近ではヴイエムウェアの仕様およびソフトウエアに基づき、同社のパートナーが製品を提供する「VMware EVO:RAIL」など、選択肢が広がってきた。
「ハイパーコンバージドインフラ」は、端的にいえば、ストレージに専用装置ではなくソフトウェアストレージを採用している製品。物理ハードウエアは内蔵記憶媒体を備えたサーバーのみだ。典型的には、2Uサイズのラックマウント型シャーシに、4つのサーバーモジュールを搭載するなど、密度を高めた設計になっている。
この種の製品についての認識が日本で深まるべき理由は、多くの企業の社内におけるITインフラ運用を積極的に改善できる可能性を秘めているからだ。
コンバージドインフラ製品(「統合インフラ製品」「垂直統合インフラ製品」などと訳されてきた)は、専用ストレージ装置をサーバーと組み合わせ、多くの場合一製品として提供している。だが、実際の運用はサーバーとストレージを別個に行わなければならない。これは、専用ストレージ装置の機能を活用したいユーザー組織にとっては当たり前だろう。だが、ストレージ装置の機能に興味のないユーザー組織にとっては、煩わしい。これに対し、ハイパーコンバージドシステムでは、ハードウエアを一体的に管理できる。さらにいえば、運用でハードウエアをあまり意識する必要がない。
また、ハイパーコンバージドインフラは、コンバージドインフラに比べ、より小規模な構成からスタートし、積木のように筺(きょう)体を追加することで、拡張していけることが多い。もちろん、構成の自由度は低いし、専用ストレージ装置ならではの機能も使えないが、「ITインフラはアプライアンス的に使えればいい」と考える組織にとってはメリットがある。言い方を変えれば、社内ITインフラを、よりクラウド的に調達・運用できることになる。
「フラッシュ」「ハイパーコンバージドインフラ対コンバージドインフラ」に加え、「データレイク」「パブリッククラウド対プライベートクラウド」「コンテナ対仮想マシン」「フラッシュ」「Software Defined Storage」と、計6つのITインフラに関する流行語あるいは宗教論争について、IT INSIDER No.44「ITインフラのバズワード、6つのウソ、ホント」で真実を探りました。お読みいただければ幸いです。
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